【デッサン初心者必見】課題やモチーフの選び方、練習方法を解説

こんにちは!画家の黒沼です。

美大受験をした方は良く知っていると
思うのですが、

美大受験ではほとんどの専攻科
でも、デッサンの試験が
課せられています。

それほど、デッサン力は自由に創作
する上で必須の基礎的な能力なのです。

今回はそんなデッサンの練習方法や
モチーフの話です。

美大受験カルチャーの一部を垣間見れる
内容なので是非、

チェックしてみてくださいね。

 

目次

初心者にはデッサンの練習が必要なわけ

「俺、美大生じゃないからさぁ」

こんな風に美大生でないことを気にして、
画家になるのを諦める子が結構います。

 

しかし、正直言って美大生と
絵の好きな一般大生は大して変わりません。

趣味でイラストを描いていたり、
photoshopやCGソフトをいじっている子でも、
美大生顔負けのスキルを持つ子は多いです。

 

ただ、一つだけ美大生と一般大生の間に
決定的な違いがあります。

それが

デッサンの訓練を積んでいるかどうか

 

 

今回はデッサン力と練習に向くモチーフを
初心者向けに紹介していきます。

 

 

デッサンとは

はじめに断っておくと基本的に
デッサンは作品ではありません。

本来的には、人に見せるためのものではなく、
スポーツ選手が陰でやる筋トレ
のようなものです。

古い時代の巨匠のデッサンを見れば
良くわかりますが、

紙の空いている部分にメモ書きのように
描いています。

 

人に見せるための画面構成もなく
作品を長持ちさせるための材料や下地の
工夫もない即興的なメモだったんですね。

 

しかし、この習作としてのデッサンにも
大きな意味があります。

 

あなたがプロの作家として作品を作ったり、
見たりするための基礎を養えるんです。

一部の企業が最近では、就職の際に
デッサンの試験を課していたり、

ポートフォリオにデッサン作品の
掲載を義務づけたりしているようです。

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素材の扱いに慣れる

デッサンはとにかく素材がシンプルです。
紙への炭の付き具合で全てが決まります。

素材がシンプルな分、素材のコンディション
や力加減などに神経を使わないと、

弱々しい単調なデッサンしか
描けなくなってしまいます。

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客観的な観察力

デッサンは素材がシンプルな分、
モチーフの観察と観察した印象の定着
神経を使わないと、

弱々しい単調なデッサンしか
描けなくなってしまいます。

モチーフと自分の作品を常に客観的に観察し、
色と形を直し続けること
デッサンとも言えます。

デッサンはちなみに「修正する」という
言葉から派生した単語のようです。

 

 

デッサンをするときの姿勢と椅子の位置

モチーフの形、色を正確に写し取ることは
簡単なことではありません。

あなたの座る椅子の位置が変われば
あなたの背筋の伸び具合が変われば

モチーフの輪郭、モチーフ同士の
重なり合い方は大きくずれます。

 

常に同じ位置からモチーフを
観察できるように、背筋を伸ばし

椅子の足の位置の床に印を貼って
臨みましょう。

 

 

デッサンに必要な道具

鉛筆
カッター
練り消し
画用紙
木製パネル
画用紙とパネルを固定する道具
イーゼル
フィキサチーフ

デッサンに必要な道具は以上です。
道具の詳しい説明はコチラをご覧ください。

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2017.10.31

 

 

デッサン用鉛筆とは

字を書く時の鉛筆は
HBやB、Fなどが多いですが

デッサンでは、より幅広い階調が必要なため、
6H~6Bの鉛筆を用意しましょう。

 

 

デッサン用鉛筆の削り方

デッサン用の鉛筆は、より広い面を
平滑に弱い筆圧で塗るために、
上の図のような削り方をします。

カッターナイフと紙やすりを使うと
このような芯を長く出した削り方ができます。

 

 

初心者向けデッサン練習方法ー素材編

鉛筆でカラーチャートを作る

デッサンでは、グレーの色幅をできるだけ
多く作る必要があります。

そのため、上の画像のようなカラーチャート
予め鉛筆で作ってみると良いでしょう。

 

 

 

初心者向けデッサン練習方法ー明暗編

光源とモチーフと観察者の位置関係

複数の蛍光灯のある部屋でデッサンを描くと、
影が落ちる方向が良くわかりません。

慣れるまでは、暗い部屋で一つの光源で
モチーフを照らし描いてみると良いでしょう。

この時、光源とモチーフと観察者の
位置関係を強く意識して、
モチーフのカゲの形と濃さ
観察してみましょう。

 

光源に対するモチーフの面の向き

上の図のように光源の方を
向いている面ほど明るいです。

 

モチーフの明暗の境界:稜線とは

 

1 明るいゾーン
2 陰
3 影
4 反射光

上の図のように1つの光源で描くと
明るいゾーンと暗いゾーンの
境目が確認できます。これを稜線といいます。

 

モチーフの暗いゾーンを陰、
モチーフが床に落とすカゲを影といいますが、
これら、陰と影の形は上の動画のように
決まります。

 

初心者向けデッサンモチーフ

白い球体、立方体

 

先程の概念図を実体化したような
幾何石膏が売っています。

絵画教室には初心者向けのモチーフとして
置いてあるかもしれません。

 

 

白い円柱

これも幾何石膏のひとつですが、
円柱を描くときには注意が必要です。

図のABCD全てが同じ図形になるように
対称に描きましょう。

 

また、円柱の上面の形は目線の高さから
離れるほど丸に近づいていきます。

 

コンクリートブロック

 

幾何形体のデッサンに慣れてきたら、
質感のあるモチーフに挑戦してみましょう。

ブロックの穴の位置を左右対称になるように
描くこと

ブロックの表面の手触りを再現すること
がポイントです。

 

初心者向けモチーフは幾何形体!?

 

幾何形体のデッサンは非常にストイックな
作業ですが、形のくるい(実物とのずれ)
を見つけやすいので、おすすめです。

 

 

初心者向けデッサン練習方法ー構図編

過去の巨匠の名画には様々な
大胆な構図の作品があります。

構図の妙で巧みな表現がされていますが、

今回は表現力よりも再現力を、
構成力よりも描写力を鍛えたいところです。

↑初心者は最も基本的な、
モチーフとその周りの空間を描くための構図
で描いてみましょう

 

デッサンの流れ

 

モチーフの形をとる、形を合わせる

 

モチーフの縦横比、大小関係、輪郭の形
注目して線を引いていきます。

 

 

人工物がモチーフの場合、このように
補助線を長めに引いて形をとると

正しい遠近感、構造
を持った形をとらえられます。

 

モチーフの陰影(調子)を移しとる

光源を1つに設定し、薄目で見たときの
モチーフの明暗の印象
画面に移していきます。

この時、モチーフの陰の形が
モチーフの表面に貼りついているように
描きましょう。

また、床からの反射光を意識して、
回り込みを感じるように描きましょう。

 

 

モチーフの立体感を出す

モチーフを薄目で見たときの
明るさの印象を移しただけでは、
立体感は出てきません。

面とり石膏像のように、モチーフを
ポリゴン化するイメージで

面の向きが大きく変わる位置を
探りながら描いていきます。

 

モチーフの質感を出す

モチーフの形、光の印象、立体感が出たら、
モチーフの手触りを再現していきましょう。

モチーフの質感は稜線付近に顕著に出るので
稜線付近を重点的に描いていきましょう。

モチーフの材質の光の反射具合を
再現するイメージで描きます。

岩や毛皮など、ざらついた質感の物は、
細かい点や短い線のタッチを
入れていくように

金属やガラスは、見たままの
色の細かい変化を徹底的に追い、
真っ白から真っ黒まで作るイメージで
描いていきましょう。

 

 

モチーフの周りの空間を出す

空間の演出方法は大きく分けて、

線遠近法(パースペクティブ)
明暗法(キアロスクーロ)です。

線遠近法は、モチーフの置かれた
テーブルの縁の傾きや、
床のタイルの大小関係などを
正確にとらえることです。

目線の高さから離れるほど、
物の上面(底面)が良く見え、
目線の高さにかぶさると、
モチーフの上面(底面)は線になる
ということを意識してみましょう。

明暗法は、光源とモチーフの位置関係を
明るさで表現する方法です。

光源に近い場所ほど明るく、
光源から遠い場所ほど暗いです。

 

光源とモチーフの位置によって、
モチーフの陰影の形が変わるので
これに注目しましょう。

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モチーフの固有色を再現

 

上の写真の花のように
モチーフ自体についている色を固有色
といいます。

モチーフについている色を
白黒コピーした時のグレーの明るさ
をイメージして、再現していきます。

 

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デッサンで彩度を表現する方法

「このデッサンは彩度を感じないんだよな~。」
「影が発色してないんだよな~。」

美大受験予備校生時代、ベテラン講師の一人に
そんなことを言われました。

「デッサンはモノクロの表現なんだから、
それができないのは当たり前じゃん~。」

言われた時にはそう思ったのですが、講師の意図が
後々わかってきました。

 

 

これはかなりマニアックなテクニックなので、
一部の人にしか伝わらないかもしれません。

デッサンでは、鉛筆、消しゴム、意外に
ガーゼやティッシュを使いますね。

鉛筆で塗ったグレーをガーゼやティッシュで
こすると、炭が紙の凹凸の奥まで入っていき

もやっとしたグレーができます。
これが彩度の低いグレーなんだそうです。

 

逆に新品の画用紙に鉛筆で塗っただけの
グレーは紙のエンボスの凹凸が見えて

ざらっとしたグレーをしています。
これが彩度が高いグレーなのです。

 

そしてこの、もやっとしたグレーと
ざらっとしたグレーを並置すると、

ざらっとしたグレーが鮮やかに
もやっとしたグレーが鈍く

見えて、彩度を感じるデッサンが
出来上がるのです。

 

 

さらにマニアックな話をします。

このテクニックを応用すると、
デッサンで色相までも疑似的に
再現できるのです。

 

まずはこの色相環をみてください。

色相環の12時の部分に黄色
6時の部分に青があります。

3時の部分に、赤紫
9時の部分に、青緑があります。

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この色相環は↑の図のように
黄色に近づくほど明るく
青に近づくほど暗くなります。

黄色が最も黄色らしく鮮やかに見える
色は明るい黄色であり

赤紫が最も赤紫らしく鮮やかに見える色
は中間の明るさの赤紫であり

青が最も青らしく鮮やかに見える色
は暗い青なのです。

 

これを先ほどの彩度の話と
組み合わせると、鉛筆で色味
を感じさせることができるのです。

つまり

明るい色×ざらっとしたグレー→黄色
中間の明るさ×ざらっとしたグレー→赤紫か青緑
暗い色×ざらっとしたグレー→青

 

を感じるデッサンが描けるわけです。
なかなか言葉では伝わらない
かもしれませんが、

意識してデッサンを描いてみると、
そのうちわかります。(遠い目)

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