こんにちは!画家の黒沼です。
今回のテーマは絵が上達する模写です。
模写って皆さんどんなイメージを
持っているでしょうか?
退屈でつまらない…
模写なんかやってても個性は見つからない。
模写なんかやっても絵はうまくならない。
こんなイメージを持っている
画家さんも多いかもしれません。
しかし、これらは全て誤解です。
しっかりポイントを押さえて
効果的な模写の練習ができれば
楽しみながらサクサク絵のスキルを
上達させ、自分の個性も見えてくる。
それくらい模写は効果的な
練習方法なのです。
今回は効果抜群の練習方法、模写について
私の知る限りのノウハウをお伝えいたします。
是非最後までお読みください。
目次
絵が上達する模写とは
絵が上達する模写とはズバリ
目的を持った模写です。
「今回の模写では、この名画の
構図を移す練習をしよう。」
「今回の模写では、この名画の
線の表情を移す練習をしよう。」
「今回の模写では、この名画の
大まかな色の配置を移す練習をしよう。」
「今回の模写では、この名画の
見せ場の一部分を移す練習をしよう。」
このように、自分が模写する名画の
どの要素を抽出するのかをしっかり意識して
移すことで
効率的に絵を上達させる
ことが出来るでしょう。
模写で絵が上達する理由
絵を上達させる上で
模写は極めて効果的です。
現代において画家=表現者
というイメージがありますが
これは今から200年ほど前にできたもので、
絶対の価値観ではありません。
今から5,600年前ルネサンス期の画家は
皆、職人でもありました。
職人ですからクライアントを満足させる
高い技術を求められたわけです。
多くの若き画家は、まずは見習いとして
親方の工房で下働きをしながら
親方の作品を手伝っていたわけですが
彼らがどんな方法で絵の練習を
していたかといえば
「模写」と「クロッキー」です。
また、日本においても江戸時代以前、
絵師は職人でした。
彼らも先輩絵師の絵画作品を模写して
構図や色彩の研究をしていたようです。
画家を目指す方は
マネ=パクリ=悪
というイメージを持っていて
模写のように、既にあるモノの表面を
ソックリにマネするような練習に
罪悪感や抵抗感を持っているかた
が多いようですが
このように、歴史を振り返っても
画家の練習方法の王道が模写だったわけで
独創的な作品を生み出すための基本的な
技術を養うためには模写に取り組む
べきなのです。
ここで少し、マネすることの重要性
についてお話しておきます。
少々話がそれますが、現代の画家として
結果を出すためにとても重要なお話なので、
少々お付き合いください。
「黒沼にできたんだから、
俺にだってできるはずだ。」
こんな安易な発想で、自己流でブログや
YouTube、メルマガを始めて失敗する方が
時々いらっしゃいます。
確かに私が「頼りなさそう」な
印象なのは認めます笑
しかし、私は少なくともブログやYouTube、
メルマガを使ったビジネスで結果を出すための
“最低限の知識”は持っているつもりです。
また、必要に応じて常に
新しい知識を取り入れています。
上手くいかないときは、上手くいっている人
のやり方をなんのためらいもなくマネします。
まあ黒沼も勉強してなんとかやっているんだぜ
という話です。
これはインターネット集客だけに
とどまる話ではありません。
絵も同じです。
結果を出すためには
①既に成功している人を研究する
②とりあえず結果が出るまでマネしてみる
という発想が大切です。
まだなんの知識も実績もない未熟な
チョコザイのオリジナリティなど、
表現しても“イタイ”だけなのです。
オリジナルなものを生み出す楽しさや
価値は私も本当によくわかります。
自分で創意工夫して0から何かを作ることが
本当に大好きです。
しかし結果を出すためには、よりクオリティーの
高いものを生み出すためには
これを一時的に我慢する必要があるのです。
独自の価値観やビジネスを生み出すのは
上手くいっている人のマネをして
結果を出せるようになってからに
すべきだと思います。
自分なりに、現状の最適解
(今うまくいっている実例)を見つけ出し、
習得する必要があるのです。
最適解を追求していった先に、どうしても
残ってしまう、排除しきれない
あなたの癖や息遣いのような
ものがきっと存在します。
それがあなたにとっての
“個性”なんだと思います。
たくさんお勉強しようが、
上手くいっている人のマネをしようが
あなたの個性が汚れたりなくなったり
することは決してありません。
むしろ個性はその鍛錬の先に
見えてくるものなんです。
この発想で模写に取り組むことが
私はとても重要だと思います。
模写で絵を上達させていた画家たち
模写で絵を上達させていた
画家たちは数多く存在します。
模写は決して初心者のためだけの
練習方法ではないようです。
歴史に名を残すような画家たちも
先輩画家の絵を模写して構図や
素材の扱い、描写の技術を
研究していたんです。
バロック期の画家ルーベンスは
ダヴィンチの壁画を模写していますし
ルネサンス期の画家のラファエロは
先輩画家であるダヴィンチの作品、
モナリザを模写していますし
このように写実主義の画家マネも
ルネサンス期の画家ラファエロの構図を
引用して作品に生かしています。
江戸時代の絵師、酒井抱一も先達
尾形光琳の屏風を模写しています。
そして、その尾形光琳も先達の
俵屋宗達の屏風を模写して
この絵を描いたのです。
ここで紹介したのはどの画家も
その時代を代表する、歴史に名を残す
レベルの巨匠たちですが
彼らも模写を通して
研鑽を積んでいたんですね。
模写しても絵が上達しない理由
絵が上達する模写の重要性が
少しずつ見えてきたでしょうか?
ここでは逆に多くの画家が模写で
やりがちな「失敗」を紹介していきます。
絵が上達する模写=目的を持った模写
でした。
もうお分かりの方もいるかもしれませんが
逆に目的を持たずにやる
模写はムダになってしまうのです。
完璧な模写では絵は上達しない?
模写しても絵が上達しない方で多いのが
絵を完璧に細部まで模写しようと
するパターンです。
絵を描く方は真面目な方も多いので、
模写をしたほうが良いとお伝えすると
本物ソックリになるまで何か月もかけて
1枚の絵を模写する方が
結構いらっしゃいます。
もちろん、そういった完コピも良いのですが、
そういった模写は異常に
時間がかかってしまいます。
よくプロのリアリズムの画家が美術館に交渉して、
数か月間美術館に通い、毎日名画の前に
イーゼルを立てて
完璧に名画を模写する
なんて姿が報道されたりしますが
これは初心者にはオススメしません。
初心者が名画を細部に至るまで
完璧に模写しようとすると
絵の表面を機械的に何も考えずに移す
「作業」をしてしまうからです。
模写=退屈で忍耐力のいる作業
というイメージを持っているかたは
この「無目的な機械的な模写」を
やっているからかもしれません。
名画は優れたものであればあるほど
初心者には
「どうやって描いたかわかりません。」
しかし、絵の練習を積んでいくと少しずつ
名画の成り立ちが見えるようになります。
完全無欠に見える絵肌も
〇線
〇白黒グレーの3段階の塗り分け
〇稜線付近の鮮やかな差し色
〇稜線付近の細かな質感描写
〇ピントのやりとり
〇画面四隅の細かな描写
などなど様々なパーツが組み合わさって
できていることがわかるようになるのです。
このような名画の「分解」ができるように
なって初めて、完コピ模写は意味を持ちます。
初心者はこの様々なパーツを1つずつ
着実に写し取るような模写を
やるべきなのです。
模写で絵が上達しても個性は見つからない?
模写で絵が上達することは
わかりますが模写をしていても
自分の個性や世界観は見つからない
気がします。
こんな意見を頂くこともあるのですが、
これも誤解です。
確かに1枚や2枚模写したくらいでは、
自分の個性や世界観は見えてきません。
しかしこれは当たり前です。
実際に名画の画像を見なくとも、
その画家のタッチを再現できるくらいの
練習量が必要なのです。
私も修業時代、気に入った画家の絵を
何枚も模写しました。
この記事に載せている画像は
「比較的上手くいったもの」だけを
載せています。
見せられないレベルの模写も、
大量に裏でやっています笑
ちなみにこれらの模写は
名画の構図を白、黒、グレーの3色で
再現するという目的を持って
取り組んでいます。
このように大量に「良いな~」と
思ったものを簡単に模写すると
名画のエッセンスを
手が覚えるのです。
すると自分の絵を描いている時も
巨匠の技が自動的に発動したりします。
フェルメールのピンボケのグラデーション
を作る感覚が
リベーラのハイコントラストな光の表現が
シャルダンの間の意識や
カサついた筆のタッチが
自分の絵を描いている時にも自動的に
繰り出されたりするのです。
個人的なオススメとしては
好きな画家複数人の名画を
何枚も模写することです。
一人の画家の作品ばかりを模写していると、
完全にその画家の劣化コピーのような
技術ばかりが身につくことになります。
しかし複数人の画家の絵を模写することで
自分がなんとなく「良いな~」と
思う作風が総合されて
あなたらしい絵が
描けるようになるのです。
よく自分にとっての世界観や個性が
見つからず困っている画家さんがいますが
基本的にインプットが足りないだけ
のことが多いのです。
数多くの名画を鑑賞するだけでなく
模写もやることで画家に必要な
良質なインプットを得ることが出来ます。
自分だけの個性や世界観が
見えてこない!
そんなときは自分がなんとなく
「良いな~」と思う画家を
複数チョイスして
模写しまって総合する
というのがオススメですね。
個性の作り方
ここでもう少しだけ個性や
世界観について掘り下げます。
アクリル絵の具で描いたものです。
金箔が貼られており、最後にメノウで
磨いて仕上げてあります。
この技法は黄金背景技法といって
1000年前のヨーロッパで用いられた
祭壇画の技法です。
ルネサンス以前でありリアルな絵を描くためのデッサン理論は
存在していませんでした。
のような図像が描かれたわけです。
夕日が自然に当たっているように描くため、
ピクサー映画でも使われているような
金箔を使った絵画は存在します。
の演出を諦め、平面的で装飾的な絵を
描いているということです。
を駆使して、ある角度から見たときだけ、
リアルな奥行きのある空間を感じる
思って制作しています。
訓練し身に着け、組み合わせることで
あるのです。
にも理由があります。
技法にこだわりのある画家です。
美人画が大好きです。
日本人にとって飾りやすく、
売れるのです。
という、絵を売るための場所で死ぬ気で
格闘した結果
時間がかかっています。
速く上手く、たくさん描く必要があり、
毎日を送っています。
最低賃金を割ってしまい、
日本では生活できないのです。
時間をかけなくても描けるような
絵が並ぶことが多くなるわけです。
時間をかけられるのかといえば
お金と時間の不安から
解放された状態だからです。
を習得していて
を理解しており
絵を売った経験があり
制作時間が有り余っている
つまりおそらく私にしか描けないのです。
あなたが人生を通して複数のジャンルに
本気で取り組むことで生まれるのです。
その分制約が増えて
実際はそんなことはありません。
生まれるものなんですよ。
個性を表現しても貧相な作品
しか生まれません。
模写で絵を上達させるコツ①:構図を観察
模写で絵を上達させるための
具体的な方法の解説に入っていきます。
ここまでお話した通り、模写をするときは
目的を持って、名画の一要素を抽出する
意識で移すと良いでしょう。
名画は様々な要素で成り立っていますが
1つ目が「構図」です。
構図とは簡単にいえばモチーフの
「切り取り方」と「配置」です。
よく美大受験生が描く石膏デッサンでは
「正解の構図」が決まっているので
合格者作品の構図、つまり画面への
収まり方をトレースする練習をやります。
石膏デッサンは白い背景に石膏像を描く
という極めてシンプルな構成ですが
こういったシンプルな構成以外でも
「正しい構図」というのはあります。
誤解を恐れずに言いますが、
正直申し上げて
良い構図と悪い構図
というのがあります。
絵の訓練を積んだ「わかっている人」の
描く絵は、見ていて心地よいリズム感のある
「良い構図」であることが多く
初心者がなんとなく画面にモチーフを
配置したような絵は「悪い構図」
であることが多いのです。
絵の構図に関しては
「みんな違ってみんな良い」
なんて甘っちょろい世界
ではありません。
むしろ絵の構図というのは西洋絵画にとって
心臓部分のようなもので
最も重要な要素といって良いのです。
よく何を描いたか全くわからない抽象絵画に
「〇〇のコンポジション」という名前が
ついていることがあります。
コンポジションとは
「構図、構成」という意味です。
そして、抽象画とは、具象画から、
モチーフの立体感や奥行き、聖書の物語を
説明するための意味などの
「余計なもの」を取り除いて、
絵画のエッセンスのみを
「抽出」したものなのです。
つまり近代以降のヨーロッパ人は絵画
にとって最も重要なのは「構図」
だと結論したようです。
(構図は色と形でできているので、
「色と形」というキーワードは近代以降の
絵画の批評に頻繁に登場します。)
さて、話が少し逸れましたが、その重要な
「構図」の要素をだけを抽出した模写が
絵を上達させるための
1番のオススメだと思います。
模写で絵を上達させるコツ②:画面四隅の形を観察
模写で絵を上達させる上で
意識すべきなのが
画面の四隅の処理です。
名画の多くは画面の四隅を
しっかり緊張感をもって
描いています。
これは言葉ではなかなか
伝えづらいのですが、
画面の四隅をただ細かく
リアルに描けば良い
というわけではないのです。
こちらのフェルメール
の作品をご覧ください。
フェルメールはこのような室内画を
よく描いていますが、4隅を締める意識
を学ぶ上で格好の教材です。
どの隅もまったり抜けているところがなく、
細かい形で分割されていたり、
強い黒で締められてりしています。
画面の四隅がしまっていると
絵画の画面の四角形が強い存在感を
もって見えてきます。
模写で絵を上達させるコツ③:光の形を観察
模写で絵を上達させる上で
最も初心者が効果を実感しやすいのが
名画の光の形を模写する
というものです。
先ほど紹介した構図の話はちょっと
本質的過ぎて初心者には
ピンとこないかもしれません。
しかし、名画の光の形に注目して
模写をすると「質感」をデッサンで
リアルに表現する能力が上がります。
この練習方法でオススメなのが
バロック絵画の模写です。
バロック絵画はほぼ全て、暗闇の中に
モチーフがあって、スポットライトを
浴びているような設定で描かれています。
モチーフの光の形が黒い画面内に浮遊
している、そんな印象の絵が多いのです。
この光の形を観察して
模写してみましょう。
毛皮や布のような
柔らかいモノの光の形と
金属やガラスのような
硬質なモノの光の形はだいぶ違います。
模写で絵を上達させるコツ④:陰影の形を観察
模写で絵が上達させる上で
名画の模写と併せてオススメしたいのが
写真模写です。
最近ではオシャレな写真素材が無料で
手に入るサイトがたくさんあります。
私はピクサベイというサイトを
よく使っています。
写真のカゲの形に注目して模写をすると
「形態感」や「空間」をデッサンで
リアルに表現する能力が上がります。
カゲには2種類あってモチーフの
暗い部分を陰、モチーフが床に
落としているカゲを影と呼びます。
光の設定がはっきりした写真を
見つけて、陰と影の形を
模写してみましょう。
陰の形を性格に再現できると
モチーフの形態感を
とらえることが出来ます。
影の形、位置を正確に再現できると
空間を感じる絵を描くことが
出来るようになるでしょう。
模写で絵を上達させるコツ⑤:3色で名画を観察
模写で絵が上達する上で重要なのが
大まかな3色で塗り分ける
意識を持つことです。
今回は絵画系の美大生の鉄板練習メニュー
【3色模写】について解説していきます。
昔から、画家の練習メニューといえば
クロッキーと模写だったわけですが
憧れの名画を完璧に模写していたら
いくら時間があっても足りませんよね。
そこで、名画のエッセンスのみを
抽出し、短時間で吸収したいわけです。
それを可能にするのが
3色模写なわけです。
画面を美しい形で切り分ける能力
画面を素早く3段階の色で塗り分ける
美しい構図で絵を描く
これらはどれも、画家に必要な能力ですが
すぐに身につくものではありません。
これらの能力を身に着ける最も
効率的な練習方法が
名画を白、黒、グレーの3色で模写する
ことなのです。
美術館にあるような名画は
遠くから見たときにも
凄まじい存在感を持っていますよね
この名画のオーラは
3色模写で盗むことができてしまいます。
私も修業時代、好きな画家の構図を
研究するために何枚も簡単な
模写をしたものです。
ここまで、色数を増やして
再現することはありませんが
最低でも3色で塗り分けるような意識で
模写に取り組むと
効率的に巨匠の構図のセンスを
身に着けることが出来ます。
具象絵画でも抽象画でも
このように、名画レベルの絵は
白、黒、グレーの3色だけで
表現しても美しいのです。
しかし、全ての名画が、
この3色模写に向いている
わけではありません。
この練習は、光と影で画面を組みたてる
タイプの画家の絵が向いています。
フェルメール、ドガ、ターナー、
印象派の画家たちなどを
今回は紹介しました。
しかし、明暗のコントラストをあまり使わず
色彩の組み合わせで画面を組み立てるような
タイプの絵はこの練習には向いていません。
例えば、マティスやゴーギャンやボナール
のような画家です。
彼らの絵は明暗よりも色彩に魅力があるので
白黒にすると魅力が半減してしまうのです。
3色模写の練習素材を探す時には
ロマン主義以前から探すと良いでしょう。
ロマン主義以前はモチーフを立体的に
描くことに価値が置かれていたので
明暗の組み立てがしっかりある
絵画が多いのです。
模写で絵を上達させるコツ⑥:小さく何枚も描く
模写で絵を上達させる上で重要なのは、
画面全体を見る力をつけることです。
1枚の絵を原寸大でじっくり
模写していると、
いくら時間があっても足りませんし
どうしても部分部分を機械的、表面的に
トレースするプリンターのような描き方
になってしまいやすいです。
そこで、常に画面全体が見渡せるような
細部をきっちり描けないような
小さいサイズで
大まかな色と形を再現するような練習を
何枚も積んだほうが良いのです。
模写で絵を上達させるコツ⑦:見せ場を部分的に模写
模写で絵を上達させる方法を
ここまで解説してきましたが
画家さんの中には、細部の描写の
テクニックを名画から盗みたい!
そんな方もいらっしゃると思います。
そんな方は、名画の全体ではなく
模写したい一部分のみを模写する
という練習方法でも良いでしょう。
こういった練習方法をとれば
短い時間で効率的に巨匠の描写
テクニックを盗むことが出来ます。
模写で絵を上達させるコツ⑧:自分にあった画材で模写
模写で絵を上達させるために重要なのは、
自分がコントロールしやすい画材を
見つけておくことです。
私は修業時代に3色模写の練習を
よくやっていましたが、
よく使っていたのは以下の
3種類の画材でした。
紙と鉛筆
白黒コンテペンシルとグレーの紙
水彩と画用紙
紙と鉛筆
紙に鉛筆で描く模写は
このように輪郭線を移すような模写や
名画を3色で模写するような
模写で使っていました。
紙も鉛筆も手に入りやすい画材ですし
使いなれている方も多いので、
最初はこの画材で良いと思います。
紙と鉛筆でやる模写の弱点は
当たり前ですが、
真っ白からスタートするので
黒っぽい絵の模写の場合、
雰囲気を掴みづらいということです。
白っぽい絵の模写や輪郭線を移す模写
には向いている画材といえるでしょう。
白黒コンテペンシルとグレーの紙
紙と鉛筆での模写に向かない
黒っぽい絵の模写をやる時オススメなのが
グレーの紙に白と黒のコンテペンシルで
描く模写です。
白い紙と鉛筆でやる模写とは違い、
ある程度暗い状態からスタートする上に
黒のコンテペンシルは一気に
画面を暗くすることが出来ます。
また白のコンテペンシルは一気に
画面を明るくすることが出来ます。
バロック絵画のような黒っぽい絵を
模写する際はこの画材が良いでしょう。
水彩と画用紙
鉛筆やコンテペンシルでの模写に
慣れてきたら水彩での模写にも
挑戦してみましょう。
水彩は筆で正確に線を引き
形を刻む必要がありますし
一度塗った色を白に
戻すこともできません。
しかしこの方法だと画用紙の真っ白
からスタートしても、水彩の場合、
鉛筆とは異なり、真っ黒を
一瞬で塗ることが出来ます。
筆のコントロールと明暗の形を
見る力がある程度ついてくると
かなりスピーディーに模写を
進めることが出来るようになります。
筆で正確に細い線を引く
練習にもなるので、
緻密な絵画を描く練習にもなり
良いでしょう。
写真模写で絵を上達させるコツ
さて、ここでは写真模写の
具体的な練習方法も解説しておきます。
ここまで紹介してきた通り、基本的に
絵の上達のための模写は、細部に至るまで
克明に写すような模写ではなく
構図、線、色など、絵の要素を何か一つ
抽出して行うのがオススメです。
なので、ここでは、写真をソックリに
模写するような練習方法ではなく
写真を使って、絵の一要素を写し取る
ような模写の練習方法を紹介します。
写真は名画とは異なり必ずしも
選び抜かれた構図ではありません。
また、意図的に線だけを抽出したような
状態のものはないですし、描写の密度に
差をつけたようなものもありません。
あくまでカメラのレンズが機械的に
集めた光が機械的に印刷されたもです。
そこで、名画の模写のように構図や
線の表情、描写の粗密のセンスを
身に着けるのには向いていません。
しかし、写真模写にもメリットがあります。
光の形やカゲの形の模写、
3色模写のモノの見方は
まさに写真的な物の見方なのです。
なので
〇光の形の模写
〇カゲの形の模写
〇3色模写
この3つの模写の練習
としては良いかと思います。
写真模写の写真の選び方
写真模写をやる時は
写真選びがとても重要です。
モチーフの斜め上から光が
指している明暗のわかりやすい写真
を選びましょう。
繰り返しになりますが写真模写の目的は
主に
〇光の形の模写
〇カゲの形の模写
〇3色模写
斜めから光の当たった
白いモチーフなど
光と影を見やすい色数の少ない
鮮明な写真が良いでしょう。
写真模写の大まかな手順
形を大まかに転写
まず初めにモチーフの形を
転写します。
写真模写で形を転写する方法は
いくつかありますが
メジャーな方法は
①グリッドを引いてトレース
②カーボン紙をはさんで線を転写
といった方法ですね。
しかし今回の写真模写の目的は
細部に至るまで克明に写すこと
ではないので
形の厳密さに関しては大まかに
あわせる程度で良いでしょう。
大まかな陰影の形を塗る
目をうっすら開きぼんやりと
写真を見たときに見える
カゲの形を拾って
塗っていきましょう。
暗いゾーンを2色で塗り分ける
先ほど塗ったカゲの形の中で
さらに暗いゾーンを塗り、
画面を3色塗り分けます。
この時、モチーフの形態感を
感じながら陰の形を決めましょう。
光源の位置を意識しながら
影の位置や形を探って
塗っていきましょう。
明るいゾーンを2色で塗り分ける
ここまで来たら明るいゾーンを
2色に塗り分け、さらに色幅を
増やしていきます。
明るいゾーンにこの段階で形を
刻むわけですが、
ここではモチーフの質感、形態感を
意識して形を決めて塗っていきましょう。
ここから先は形を刻みながら
どんどん色幅を増やしていきます。
この作業をやればやるほど
白黒写真ソックリになっていくわけですが、
ここから先はほぼ機械的な作業なので、
ここまで来たら次の写真の模写に
入ったほうが良いでしょう。
絵が上達する模写の練習方法
模写で絵を上達させるには、
ここまでお話した通り、
モノクロで絵画をしっかり
組み立てている名画を模写するのが
良いでしょう。
画家にとっての練習メニューといえば
クロッキーと模写というのが
500年前から続く定番メニュー
だったわけです。
クロッキーは短時間でできますが、
模写の場合、細部に至るまで克明に
模写していたら
いくら時間があっても足りません。
今回は名画のエッセンスのみを抽出して
巨匠のセンスを盗む練習メニューを
紹介します。
それが3色模写です。
今回はピカソの名作、ゲルニカを
白、黒、グレーの3色で模写していきます。
①長めの直線でざっくりアタリをとる
まず初めに用意した名画の画像と
同じ縦横比の枠をあらかじめ
紙に書いておきます。
枠が書けたら、初めは長めの直線で
大まかにモチーフの配置を探っていきます。
模写する画像をよく見て
モチーフが画面上にどのように収まるのか
常にイメージしてアタリ線を
とっていきましょう。
②短い直線で形を探る
大まかな形の位置関係が見えてきたら
少しずつ細かい形も写していきます。
位置関係の間違いに気づいたら
どの作業段階でも
形を直すことが重要です。
画面上にどのようにモチーフが
収まるのかを
常にイメージして描き進めましょう。
③形を修正しながらさらに短い線で形をさぐる
さらに細かい形も移していきます。
細かい形を描くことで、初めて
位置関係のズレに気が付く
そんなことも多いので
何度も修正するつもりで
どんどん手を動かしていきましょう。
位置関係を探る時はこのように
直線で探るのが基本です。
このくらい直線が増えてきたら
大まかな位置関係は見えてくると思います。
④曲線で形を決めていく
ここからは曲線を使って
モチーフの形を決めていきます。
この時もやはり
位置関係の間違いに気づいたら
どの作業段階でも
形を直すことが重要です。
要らなくなった直線は消しながら
曲線でモチーフの形を
決めていきましょう。
⑤最も暗い形を黒で塗っていく
モチーフの形が決まったら
白、黒、グレーの形を塗り分けていきます。
今回模写するゲルニカは
黒い地の上に白いモチーフ
が浮かんでいるような絵なので
まずは地の部分を黒く塗っていきましょう。
鉛筆のタッチができるだけ見えないように
丁寧に色の面を塗っていきます。
黒い地を塗り終わると
こんな感じです。
地の部分は黒
モチーフの部分は白
という2色で分けられた状態ですね。
⑥暗い形をグレーで塗っていく
ここからはモチーフの中の
暗い部分をグレーで塗っていきます。
今回は3Hの硬い鉛筆で
グレーを塗っていきます。
白黒がはっきり分かれた状態で
硬い鉛筆を寝かせて塗っていくと
印刷物のような、フラットな
グレーの色面を塗ることが出来ます。
最後にグレーの形の中にある
細かい黒い形を線で縫って
完成です。
⑦模写と実物を見比べる
さて、今回はピカソのゲルニカを
白黒グレーの3色で模写しました
白黒グレーの3色で模写をすると
名画の第一印象を模写することができます。
この練習方法は
構図の勉強には最適なんですね。
ゲルニカの実物はこのように
黒い地の部分にも
よくみると暗いグレーで形があり
パット見ではわからない
複雑な構成をしていることがわかります。
このように3色模写をしてみると
巨匠のまなざしや構成の工夫を学べるので
オススメです。
皆さんも是非実践してみてくださいね。
絵が上達する模写にオススメの画家
絵が上達する模写の練習方法
が見えてきたでしょうか?
それではここからは3色模写に向いている
オススメの画家をチョイスしていきます。
具象絵画の画家もいれば、
抽象絵画の画家もいますが
3色模写の練習方法では、
具象だろうが抽象だろうが関係なく
絵画のエッセンスである
「構図」のセンスを磨く事が出来ます。
これは繰り返しになりますが、
模写する名画はモノクロコピーしたときも
しっかり存在感がある名画を選ぶべきです。
つまりは明暗の組み立てがしっかり
しているものを選ぶべきということですね。
言葉だけではなかなか伝わらないと思うので
この3色模写に向いている画家を何名か
ピックアップしていきます。
良いな~と思った画家がいましたら
是非模写してみてくださいね。
絵が上達する模写にオススメの画家を
古い順番で紹介していきます。
基本的に物をリアルに描くタイプの
画家さんは古い時代に多いです。
モノをリアルに描く技術を磨きたい場合、
ロマン主義以前の画家の絵を
模写すると良いでしょう。
ロマン主義とは今回紹介する画家でいえば、
ドラクロワやターナーなどが活躍した時代です。
なので、それより上の画家で
練習すると良いと思います。
逆にロマン主義以後の画家になると
抽象的な表現も出てきます。
具体的な物を描きつつも立体的な表現よりも
平面的な色や形のバランスで絵を組み立てる
タイプが増えてくるのです。
もちろん時代が下っても
リアルに描く画家はいますし、
古い時代でも、あえて緻密に描かない
ハルスやベラスケスのような
画家もいます。
ですが大まかな傾向として古い時代ほど、
緻密でリアルな絵を、
近代以降の新しい時代の画家は平面的な
色と形で組み立てる絵を描く傾向が
あると言えるでしょう。
フェルメール
一人目はフェルメールです。
フェルメールの3色模写は修業時代、
私もよくやりました。
モノクロにした時も強い存在感がありますが、
色彩の使い方もかなり勉強になります。
フェルメールの絵画はモノクロの形で
全体のバランスをとって、
少ない面積で赤、青、黄色のような
鮮やかな色を差し込む
かなりスタイリッシュな構成が多いです。
オランダではのちの時代に
これをさらに進めたような
3原色と垂直水平の黒い線だけの絵を描く
モンドリアンという画家がいますが、
オランダ人はこういう構成が
好みなのかもしれませんね。
先ほども少し紹介しましたが、
フェルメールがよく描いている室内画は
非常に構図の勉強に向いています。
画面4隅の処理の仕方は
非常に参考になりますし
フェルメールはバロック期の画家なので
光の形の模写にも向いています。
モチーフの質感や空間、光をリアルに
再現しつつ、平面的な形のチョイスも
秀逸なのでオススメです。
模写をしてみたいけど、
誰を選んだら良いのかわからない。
気になる画家が誰もいない。
そんな方はフェルメールの
模写から始めてみましょう。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
17cオランダの画家
17世紀オランダの画家。
すごくふわっとした形で
紹介しましたが、
17世紀のオランダは
絵画の黄金時代を迎えており、
こんな感じの静物画を描く
腕の良い画家が大量にいたようです。
この時代のオランダ絵画はリアルで細かい
質感の描写ばかりに目がいきがちですが
色面構成に関しても
かなり勉強になります。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
20世紀の色彩の天才と呼ばれた
画家マティスは全盛期には
こんな感じの絵を描いていますが
彼は修業時代には17世紀オランダの
絵画を美術館で模写しまくっていた
そうです。
実は私もこの時代の画家の影響を
強く受けており、
こんな絵を描いていたりします。
ルーベンス
ルーベンスは色と形、輪郭線を使って
画面上に非常にダイナミックなリズムを
生み出しています。
今にも動き出しそうな、場面の一瞬を
切り取ったような構図が多いです。
漫画や劇画のような線の方向性や
キャラクターのポーズで視線を
誘導するような仕掛けの構図が
多いですね。
ルーベンスの凄いところは目線を
グルグル誘導するダイナミックな構図
だけではありません。
ルーベンスの絵画は粗密の
バランス感覚が絶妙です。
試しにルーベンスの肖像画の
顔の部分を隠してみてください。
かなり粗い筆のタッチばかりが
目立つ絵も多いのです。
顔の部分の凄まじいリアリティーのおかげで、
鑑賞者が顔の部分に目がくぎ付けになり、
他の部分を描きこんでいなくても
画面がもつのです。
シャルダン
シャルダンの絵画は静物画の構図
の勉強に向いています。
台座と壁というL字型の空間に
主役のモチーフが配置されており
モチーフの周囲に適度な間
が設けられているため
食べ物や食器などのありふれたモチーフが
何か神秘的な雰囲気を放っています。
主役のモチーフの部分は決して
写真のように細かく描かれている
わけではないですが、
モチーフの質感を感じる筆のタッチや
繊細な色味のコントロールのおかげで
写真にはないリアリティーを
感じる絵になっています。
他にも注目すべきなのは画面の4隅が
黒い色でぼんやり絞められています。
画面の中心にあるモチーフに
スポットライトをあてると
実際にこのように4隅が闇になるのですが、
画面上での色の演出も
ここに加わっているかと思います。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ターナー
ターナーといえば荒波を描く画家さん
として知られていると思います。
ターナーの作品は色と形、輪郭線を
使って画面上に非常にダイナミックな
リズムを生み出しています。
今にも動き出しそうな、場面の一瞬を
切り取ったような構図が多いですね。
ターナーの凄いところは目線を
グルグル誘導するダイナミックな構図
だけではありません。
水の質感や光の表現も巧みで、
明暗のコントラストと稜線付近の繊細な描写、
色味のコントロールも見どころです。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ドラクロワ
さて、ドラクロワくらいの時代になると、
モチーフを細部まで細かく描く
だけじゃつまらないよね?
といった感じの絵が出てきます。
ドラクロワの作品は画像でみたり、
遠くから眺めていると、リアルな空間を
感じますが、近寄ってみると
絵の具が粗く塗られているだけ
だったりします。
なぜそんな魔法のようなことが
できるかといえば、
画面全体を常に見て、明度を
管理する力が高いからです。
ドラクロワの作品は明暗が画面上で
見事に組み立てられています。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ミレー
ミレーの作品もドラクロワ同様、
明暗の組み立てが絶妙です。
地平線+人物や動物
といった構成の絵が多いので、
風景画をよく描く方は
模写してみると良いでしょう。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ミレーの作品も3色模写などの
練習方法で模写してみましょう。
ブグロー
ここまで紹介した画家は
明暗に特徴のある方が多かったですが
ブグローはあまり明暗のコントラストを
使うタイプではありません。
全てのモチーフを明るい光の設定で
描くことが多いようですね。
ブグローの作品はモチーフの配置や
モデルのポーズで構図のバランスを
とっているものが多いです。
ブグローの描く人体は形が極めて正確で
人体を輪郭線で表現するのが得意なようです。
人物画を描くのが好きな画家さんは
輪郭線を中心に模写してみると
良いでしょう。
あと余談ですが、ブグローが描く少女は
とてもかわいいので、こどものかわいらしい
表情を描きたい画家さんにも
ブグローも模写はオススメです。
ドガ
お次に紹介するのはドガです。
ドガは印象派の時代の画家ですが
珍しく室内の場面を
描くことの多い画家です。
印象派の画家なので、ルネサンス期や
バロック期のような緻密でリアルな
描写ではないですが
ドガはアカデミックな美術教育を
受けているので、
画面上で明暗を組み立てて、
しっかり要所を描写して強い画面を作る
オーソドックスな
洋画の技術を持っています。
明暗の組み立てで絵を作るタイプの
画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ルノワール
ルノワールも印象派の画家です。
彼もまたアカデミックな美術教育を
受けているので、画面上で明暗を
組み立てて、
しっかり要所を描写して強い画面を作る
オーソドックスな洋画の技術を持っています。
ドガとは異なり、屋外の風景を
描くことも多く、カラフルな画面が特徴です。
明暗で画面を組み立てる練習に慣れてきて、
色つきの模写もやってみたくなったら
ルノワール模写をしてみると良いでしょう。
カンディンスキー
はい、初めての抽象画家です。
カンディンスキーの絵画は抽象画ですが、
ここまで紹介してきた画家と同じように
明暗で画面を組み立てて、
美しい構図をとる絵を描いています。
白、黒、グレーのモノクロの3色で
模写をして画面構成を学んでいると
このような抽象画の良し悪しも
わかるようになります。
マティス
マティスの作品はカンディンスキーほど
抽象的ではないですね。
具体的にどんな場面が描かれているかは
わかりますが立体的でリアルな空間を
描いているわけではありません。
半抽象といった感じでしょうか。
マティスはまさに色彩の画家といえます。
マティスの真骨頂は豊富な色彩なので
モノクロコピーすると魅力が半減しますが
マティスの絵画は平板な色面を画面上に
うまく配置することで心地よいリズム感や
奥行きを感じさせる
という部分がとても参考になります。
色面を組み立てて絵を描くタイプの
画家さんは模写してみましょう。
モランディ
モランディの作品も
マティス同様、半抽象と言えます。
モランディの作品は一見何を
描いているかわからないモノも多いですが
水差しやコップ、壺などの
食器を描いています。
注目すべきはモチーフの重ね方です。
モチーフの輪郭線が互いに重なる
ようにあえて設置することで
見慣れた食器の集まりが、何か
神秘的なものに見えてきます。
明暗の組み立てで絵を作るタイプ
の画家さんなので、3色模写の練習には
うってつけだと思います。
ミロ
ミロの作品は完全抽象の代表
として紹介しました。
言葉ではうまく説明できないのですが、
ミロの抽象作品は個人的に好きなので
ここで紹介しました。
過度の空腹や疲労で見た幻覚をモチーフに
描いた作品も多いようですが
構図はしっかりと選び抜かれていて、
冷静な画家のまなざしを感じます。
ワイエス
こちらは現代のリアリズムの画家さんです。
ワイエスはアメリカの田舎の風景を
描き続けた画家で
極めて高い水彩画や鉛筆デッサン、
テンペラ画の技術を持っています。
ワイエスは日本でとりわけ人気が高い
ようで多くの美大受験生が模写していました。
私も学生時代、ワイエスの水彩作品を
授業で模写しました。
ワイエスの作品が美大受験生に人気が高いのは、
鉛筆や水彩といった
我々に馴染み深い画材を駆使して
抽象画としても具象画としても
美しい高い技術レベルの作品を
作っているからといえます。
儚げな雰囲気も日本人のハートに
刺さるのかもしれません。
ワイエスの作品は明暗の組み立て、
輪郭線の表情、細部の描写、
素材の扱いなどなど
どれをとっても勉強になります。
誰の作品を模写したら良いか
思いつかないときは
ワイエスの作品の模写も
オススメです。
ロペス
こちらも現代のリアリズムの画家さん
ですがスペインの画家さんです。
ロペスの作品もワイエスの作品同様
明暗の組み立て、輪郭線の表情、
細部の描写、素材の扱いなどなど
どれをとっても勉強になります。
しっかりリアルに描きこむ部分と
最適な色を大胆なタッチで塗って
終わらせる部分のバランス感覚が絶妙です。
光や空間の印象、色味を合わせるのが
非常に得意な画家さんのようで
遠くから見ると、本物ソックリに
見える絵なのに
近づくと絵の具を粗く塗っただけ
というような作品も多いです。
ロペスも日本で人気の高い画家さん
のようで数年前に渋谷で
個展をやっていましたね。
模写は絵の上達に不可欠なお勉強ですが退屈なものではありません
絵の上達を目指し模写を続けていると、
退屈でどうしても続けられなくなる
ことがあります。
模写ははっきり言って、
これ以上ないくらい
「お勉強的な」練習方法です。
しかし、お勉強は決して
ツライものではないんです。
絵が好きな方や美術を進路に選んだ方は、
勉強が嫌いで好きな絵の進路を選んだ
という方もいます。
なので「お勉強的なもの」へのアレルギーが
強い方も実際多いんです。
そこで今回は画家にとって必要なお勉強
についての考え方を最後に
書いておこうと思います。
日本は世界一オトナが
勉強しない国なんだそうです。
これは非常に悲しい、
情けない事実だと思います。
しかしこれはチャンスでもあります。
勉強してる人は、その他大勢を
簡単に抜き去ることができるのです。
今回は
勉強って楽しいもんだからねっ!
という話です。
実は私は以前、学校で美術の先生を
やっていました。
私は美術の楽しさを常人の
何百倍も知っているつもりでした。
そこで新人教師の頃、自信満々で
授業に臨んだのですが、
教育現場の厳しい現実を
目の当たりにしました。
まず、生徒の大多数がマトモな集中力と
理解力、やる気を持っていません。
そこで先生の労力の9割が
マジメに授業を受けさせることに
割かれます。
個人的には
やる気がないなら、やらなくて良いよ
夢中になれることをやったほうが良いよ
と伝えたいのですが、そうはいきません。
明治時代にベースが作られた
今の教育カリキュラムは
富国強兵、殖産興業のビジョン実現に
役に立つ、近代社会の従順な歯車を
育てるためのものになっています。
先生1人がエネルギー有り余っている
多感な生徒30人に
生徒がやりたくもないカリキュラムを
押し付け、取り組ませるのは
かなり難しいです。
スマホが普及した結果、
ネットの通信速度が上がった結果
現代の人間の集中力は金魚と同レベルに
なっているそうです。
数分間静かに座っていることも
難しい忍耐力のない生徒がいるのは
ムリもないわけですね。
さてさて、日本人が持っている
「お勉強」のイメージは
このような時代錯誤なシステム
から作られています。
勉強=やせ我慢してやること
というイメージは
こうして作られるのです。
日本は世界一オトナが勉強しない国
というのは残念ですが、
私は非常に納得できるのです。
しかし、個人事業主である画家が
すべき勉強は、こういった
やせ我慢して取り組む、
押し付けられたものではありません。
勉強すればするほど、ビジョンは
クリアになっていきますし
最適なノウハウを学べば学ぶほど、
無駄な時間の使い方をすることがなくなり
あなたのビジネスは
どんどん拡大していきます。
この過程は本当に楽しいものです。
最適な勉強のやり方は人それぞれで
読書が向いている人もいれば、
動画を見るのが向いている方もいれば、
セミナー受講が向いている方もいます。
勉強した内容は何かしらの形で
アウトプットしましょうね。
絵を描く以外でも、ブログ記事を書いたり、
動画でしゃべったり、ビジネス仲間と
意見交換するのも良いでしょう。
模写で言えば、模写で習得した描き方を
使って、別のモチーフを描いてみる
といったアウトプットがおすすめです。
自分にあった勉強方法や練習方法を
身に着け、着実に実践できれば
あなたのビジネスも、もちろん
あなたの絵もどんどん成長していき
今はまだ見えない、より広い世界が、
より美しい風景が見えると思います。