目次
鉛筆デッサンの道具
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/pencil1-300x199.jpg?resize=416%2C276)
・鉛筆とは
鉛筆といえば文房具としてお馴染みか
と思います。
殆どの方は鉛筆と言えばHB
と思っているかと思います。
しかし、デッサン用の鉛筆には
10H~10Bまでの濃さの
バリエーションがあるんです。
鉛筆の濃さは芯が柔らかいほど濃く
硬いほど薄いです。
10Bが最も濃く
9,8,7Bと数字が減るごとに
薄くなっていきます。
そして、2B、B、HB、F、H、2H、3H
という順にさらに薄くなっていきます。
ちなみに
Bはblackを表し、Hはhard
Fはfirm(しっかりした)を表します。
鉛筆デッサンを専門的に習う場合
6H~6Bの鉛筆を揃えます。
おすすめのメーカーは
金の輪っかが目印のハイユニ
デザイナー必携のステッドラー
あと個人的には
ファーバーカステルも
おすすめです。
ハイユニは若干茶色っぽく
ステッドラーは若干青っぽい
発色が特徴です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/hi-y1-300x208.jpg?resize=529%2C367)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/s_staedtler_001_s11-300x225.jpg?resize=529%2C397)
ファーバーカステルは
「鉛っぽい」確かな描き味が
特徴で、私のお気に入りです。
(タッチを入れて質感表現する
のに向いていると思います。)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/8632d618441-300x300.jpg?resize=435%2C435)
・鉛筆デッサンのおおまかな流れ
・描き始めは2Bあたりを使おう
鉛筆デッサンは画用紙に
描くことが多いです。
画用紙は木炭紙やキャンバスと
比べ、弱いため
序盤は紙の白さ、凹凸を
残しながら、優しく進めていく
のが王道です。
そのため、やや柔らかめの
2Bや3Bで描き始めましょう。
・炭色をしっかりとのせよう
序盤のアタリの作業が終わり
形が決まってきたら
3Bから5Bあたりで、暗い部分を
どんどん暗くしていきましょう。
鉛筆デッサンは木炭デッサンに比べ
階調を広げやすい
(グレーの幅を広げやすい)表現です。
この段階では
物の形に添ったストロークで塗る
のがコツです。
鉛筆をたてて、しっかりと
画用紙の目の奥まで炭を入れ込む
つもりで
黒をのせていきましょう。
黒いモチーフを描く時など
本当に真っ黒を作りたいときには
ステッドラーの7B、8B
がおすすめです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/s_staedtler_001_s11-300x225.jpg?resize=455%2C341)
鉛筆の芯は粘土と黒鉛で
出来ていますが
ステッドラーの7B、8Bの鉛筆には
黒の顔料が含まれています。
なので、真っ黒に塗っても黒光りせず、
塗り込むことができます。
・6Hとかって使うの?
私は初めて、6Hを使った時
ほとんど色が出ず
「これちゃんと使えるのかな」
と思いました。
6H~の硬い鉛筆は
炭色をのせるためには
あまり使いません。
デッサン終盤で
画用紙の凸凹をつぶすために
使ったりします。
また、画用紙ではなく、ケント紙
のような滑らかな紙に描くときに
硬い鉛筆は活躍します。
・細部の質感を描く
鉛筆をしっかり塗り込み、モチーフの
ボリュームが出てきたら
今度はマイナスの作業です。
陰の中をガーゼでこすったり
光とカゲの境目あたりを
練りゴムやプラスチック消しゴム
で白抜きしていきます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/nerigomu1.jpg?resize=359%2C269)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/l0111608020000051-300x257.jpg?resize=300%2C257)
このとき、消しゴムホルダーが
あると細かく白抜きできて便利です。
消しゴムで白抜きして光の形を
鉛筆で塗って陰の形を細かく
刻んでいきながら、色味を調整し
完成に向かいます。
・練りゴム
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/nerigomu1.jpg?resize=335%2C251)
デッサンの用の練り消しです。
普通の消しゴムで、消すと画用紙が
あっという間に傷んでしまいますが
練りゴムなら、あまり紙にダメージを
与えず白くできます。
黒くなったら折りたたんで使います。
真っ黒になったら寿命なので
買い替えましょう。
・プラスチック消しゴム
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/erasea-768x5381-300x210.jpg?resize=407%2C285)
普通の消しゴムです。デッサンでは
実はあまり登場しません。
ハイライトの表現など
ピンポイントで真っ白に
したいときに使います。
このような極細の消しゴムホルダーが
あるとデッサンでは便利です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/l0111608020000051-300x257.jpg?resize=300%2C257)
・画用紙
ザラザラが表
(書くことはこれくらいですね)
・カッター
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/olfa1-300x300.jpg?resize=311%2C311)
デッサン用の鉛筆は鉛筆削り
ではなく、カッターで削ります。
芯を長く出すことで、鉛筆を寝かせて
広い面を優しく塗るのがねらいです。↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/鉛筆の削りかた-300x169.png?resize=728%2C409)
・ヤスリ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/kamiyasuri-768x7681-300x300.jpg?resize=452%2C452)
カッターで削った後、仕上げ用で
使います。
特に硬い鉛筆はカッターだけで
削るのは難しいので
320番くらいの紙やすりが
あると便利です。
木炭デッサンの道具
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/moku1-300x200.jpg?resize=465%2C310)
・木炭
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/mokutan1-255x300.jpg?resize=415%2C488)
木炭には、本当に様々な種類があります。
鉛筆同様、硬さ色味のバリエーション
は、もちろん
四角くカットされたものまで
様々です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/13037977430409704001-300x195.jpg?resize=443%2C288)
今回はおすすめの木炭を
数種類ご紹介します。
・柳 200番 ←必携
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/200.jpg?resize=410%2C410)
最もオーソドックスな木炭で
ビギナーから玄人まで
必携の木炭です。
軸が太くとても柔らかいのが
特徴です。
(鉛筆で言えば3B~5Bのイメージです)
描き出し(制作序盤)に活躍します。
柔らかいので、たっぷりと塗って
ガーゼで押さえて、好みのグレーを
作るイメージで使うと美しい色が
作れます。
・ミズキ 980番 ←必携
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/980-300x79.jpg?resize=592%2C156)
これもオーソドックスな木炭で
ビギナーから玄人まで
必携の木炭です。
軸が細く、固いのが特徴です。
制作中盤以降描き込みで重宝します。
(鉛筆で言えば3h~HBのイメージです
しっかり削り、尖らせた状態で
丁寧に塗っていくと
とても美しい淡い色を作れます。
・柳 高熱処理 1600番 ←できれば欲しい
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/charcoal-002.jpg?resize=300%2C300)
200番より少し硬い木炭です。
制作中盤以降、暗い色の色幅を
増やす時に重宝します。
深いグレーが作れる木炭です。
・ウコギ角炭 800番 ←お好み
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/iken-800.png?resize=387%2C289)
1600番より硬く
980番より柔らかい木炭です。
四角くカットされているのが特徴で
ねかせて塗ると、木炭紙のエンボスが
美しく浮き上がります。
紙のざらつきをいかした表現
に向いています。
・ホウ 970番 ←お好み
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/10000080.jpg?resize=488%2C296)
硬さ、描き味は
980番に似ていますが
少しだけ柔らかく
発色がとても美しいです。
使いこなせば淡い青っぽい発色の
美しいデッサンが描けます。
・柳 高熱処理 360番←お好み
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/13005907366_1.jpg?resize=441%2C441)
硬さは1600と同じくらいですが
発色と付き方に特徴があります。
一旦塗ると、取れづらいため、
細かい黒のグラデーションが
作れます。
ヌルっとした感じの変わった木炭です。
発色は茶色っぽく、好き嫌いが
使う人によってはっきり分かれる
木炭です。
・ ウインザー&ニュートン 柳←お好み
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/charcoal-036.jpg?resize=451%2C451)
200番と同じような硬さ
の木炭ですが付き方に特徴があります。
たっぷり塗って、ガーゼで押さえると
かなりきめの細かいマットな色が
作れます。
あまり、触りすぎると汚くなるので
好き嫌いの分かれる木炭です。
(私は割と好きでした)
・芯抜き
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/shinnuki1.jpg?resize=350%2C350)
木炭は買ってきた状態だと
中心に柔らかい粉(芯)が
つまっています。
これは描く時に邪魔になるので
芯抜きという道具で、取り除きます。
煙突かきのような要領で
針金を差し込み、ブラシ部分で
粉をかきとります。
硬い木炭には芯がないので
芯抜きは必要ないです。
・チャコールペンシル
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/thS5SO014L.jpg?resize=415%2C311)
チャコールペンシルとは
木炭とコンテの間のような
しっかりした描き味の鉛筆です。
HB,2B、4B、6Bの4種類の濃さ
があり、制作中盤以降の
描き込みの時に使います。
物の接地面など、しっかり黒で
締めたいポイントで重宝します。
・練りゴム
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/nerigomu1.jpg?resize=383%2C287)
鉛筆デッサンの時に比べ
あっという間に真っ黒になります。
基本的には
木炭を塗る→ガーゼでこすり定着→
練りゴムで明るくor木炭を重ね暗く
という流れです。
木炭は黒くつけすぎたら
消す前に指ではじいてみましょう。
パラパラと余分な炭が落ちます。
ガーゼで刷り込んだ部分に
練りゴムは使いましょう。
・食パン
練りゴムよりも
紙を傷めずに木炭を
取ることができます。
耳の部分はいらないので、食べます。
(けっこう食べながら描いてる人います笑)
・ガーゼ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/ga1.jpg?resize=442%2C442)
木炭は鉛筆と異なり、塗っても指で
はじくと落ちてしまいます。
しっかりと影色を作りたい時
反射光を入れたいときに、
部分的にガーゼでこすると定着します。
(画面全体をこすると汚れた紙が
出来上がるので、あくまで部分的に)
・擦筆
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/sappitsu11-300x300.jpg?resize=434%2C434)
ピンポイントで
木炭を定着させたいとき使います。
イメージとしてはガーゼの
ペンタイプですね。
画像の物は柔らかいタイプで
軸の白い硬いタイプの擦筆もあります。
サイズのバリエーションもあります。
・刷毛
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/hake1.jpg?resize=451%2C451)
ガーゼで木炭を刷り込むと
木炭紙のエンボスが凹みます。
木炭紙のざらつきを残したまま
グレーを作りたいとき
羊毛などの柔らかい毛の刷毛で
なでましょう。
・木炭紙
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/20423198724881-300x260.jpg?resize=456%2C395)
1枚250円もする驚きの紙です。
木炭紙大MBM が正式名称で
ザラザラが表です。
木炭やコンテなどを美しく
発色させる紙で、ガーゼでこすると
何とも言えないキレイなグレー
が作れます。
美大受験では、彫刻科、油画科で
木炭デッサンの試験が課されるので
彼らにはお馴染みの存在です。
木炭紙は500㎜×650㎜ですが
倍のサイズの倍版木炭紙なるもの
より厚みを増した特厚口木炭紙
なるものもあります。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/karuton1-300x300.jpg?resize=475%2C475)
画板です。木炭デッサンでは
木炭紙を4,5枚クリップで挟み
使います。
下の数枚はクッションがわりです。
昔の巨匠が壁画などを描く時に
用意した、原寸大の下絵カルトーネ
が名の由来だそうです。
マンガを意味するカートゥーンも
同語源らしいですよ。
その他デッサン用おすすめ画材
・芯ホルダー
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/img105030593121-300x225.jpg?resize=405%2C304)
イメージとしては
芯が極太のシャープペンシルです。
野外でのスケッチなど
鉛筆をカッターで削れない環境で
重宝します。
・芯削り器
芯ホルダー専用の削り器で
削りカスが収納されるので
野外でのスケッチなどで重宝します。
穴の部分に芯を入れてクルクルまわすと
キレイな円錐形の芯が保てます。
・デスケル
デッサンスケール略してデスケルです。
構図決めなど、序盤に役立ちます。
木炭紙比率、B3サイズ比率
Fキャンバス比率などなど
様々な種類が用意されています。
描き終わった後は
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/fix11-241x300.jpg?resize=378%2C471)
絵の具の定義の記事で書いたように
顔料は媒材がなければ
画面から剥がれ落ちてしまいます。
デッサンの道具は鉛筆にしろ
木炭にしろ棒状に固めた粉です。
デッサンとは、これを紙に
なすりつけているだけなので、
時間がたつと粉が落ちてきます。
そこで、デッサンの場合は
媒材を後からまとめて
画面にはりつけます。
その媒材こそがフィクサチーフです。
フィクサチーフとはビニル樹脂など
のスプレーです。
これを吹き付けることで
木炭や鉛筆の粉を紙に定着させます。
フィクサチーフは吸い込むと
体に悪いので
窓を開けて使いましょう。
また、スプレーの噴出の勢いで
粉が吹き飛んでしまうので
画面から離して
吹き付けましょう。
デッサンの名作
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/museum-1416573_1920-300x169.jpg?resize=563%2C317)
・木炭デッサン
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/image-10104112717-100692160671-219x300.jpeg?resize=385%2C527)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/pro03_pho011.jpg?resize=390%2C511)
安井曾太郎
安井曾太郎は明治時代、フランスの
美術アカデミーに留学し
デッサンで抜群の成績だったそうです。
西洋ではデッサン=線中心
という文化があるようです。
このため、木炭も「線を引く道具」
として理解されており
このような、明暗を基調とした
木炭デッサンはとても珍しいようです。
日本の美大受験では
木炭デッサンで、モノクロでの
絵画づくりを学ぶため
木炭デッサンでも、線だけでなく
グラデーションをしっかり
作るようです。
安井曾太郎の作品を楽しみたい方は
こちらの画集がおすすめです。
アンドリュー・ワイエス
ワイエスはテンペラや水彩
の名手ですが、鉛筆デッサンも
とてもウマイです。
最小限の線でモチーフの形や質感を
捉えていて、とても参考になります。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/wyeth-sketch-of-olson-house1-300x216.jpg?resize=492%2C354)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/P11405451-300x273.jpg?resize=491%2C447)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/andrewWyeth-SpringFed-2-large1-300x242.jpg?resize=488%2C394)
磯江毅
とても美しいグラデーションの
デッサンですね。
紙に鉛筆というシンプルな材料でも
画家の細やかな感性があれば
ここまで精妙な物が出来るんですね
鉛筆の表現の豊かな可能性を
教えてくれる作品ですね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/Nx150xtopicsa134a214e97373f50fdb5c17a594e41f.jpg.pagespeed.ic_.n3G76Iotm41-300x200.jpg?resize=498%2C332)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/b0080173_17658321.jpg?resize=494%2C502)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/201209161717471-214x300.jpg?resize=465%2C652)
まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/pencil1-300x199.jpg?resize=439%2C291)
今回は
デッサン用画材の特徴
、おすすめ画材、名作について
解説してみました。
木炭デッサンと鉛筆デッサン
それぞれの特徴と必要な画材の使い方
についてまとめましたので
是非参考にしてみてくださいね。
ではまた
↓画材や技法についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/絵の具と道具-300x176.jpg?resize=725%2C422)