どうも、黒沼です。
西洋美術史シリーズの記事を
書き始めてしばらく経ちましたが、
ようやく最初に書いた古代ギリシャ
の記事が読まれるようになってきました。
歴史好きの私としては美術史シリーズ
があまりアクセスされず、
寂しい感じでしたが、一安心です。
今回は新古典主義の美術
について解説します!
当時の音楽とともにお楽しみください。
目次
新古典主義の有名な絵画、彫刻、建築の特徴
ロココ時代の美術は軽薄で評価が低い
ということでしたが、
この後の時代には反動で、
厳格で男性的な様式が好まれます。
それが、今回紹介する新古典主義です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_1-1-236x300.jpg?resize=292%2C371)
フランス革命が起き、ルブランのパトロン
だったマリーアントワネットが処刑され、
貴族政治が終わり、しばらく混乱が
続きますがこれはナポレオンの登場で
一時収束します。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/David_-_Napoleon_crossing_the_Alps_-_Malmaison1.jpg?resize=389%2C457)
ナポレオンは大の古代好きでした。
エジプト遠征の際も、ロゼッタストーン
を持ち帰ったりしています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/02033-227x300.jpg?resize=395%2C522)
また、この頃は
ポンペイやヘラクラネウスなど
古代遺跡の発掘が立て続けに起きました。
これによりヨーロッパ中で
古代への憧れが高まっていきます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/68d6e31d1-300x188.jpg?resize=546%2C342)
当時のヨーロッパの古代ギリシャ・ローマ
への憧れの高まりを受け、
ドイツの美術史家のヴィンケルマンは
古代ギリシャ・ローマの美を
「高貴なる単純と静謐たる偉大」
という言葉で表しました。
(これけっこう私は好きなんです笑)
当時の発掘により、古代の絵画技法
が見つかりました。
これはエンカウスティック
という蜜蝋(ハチの巣の外壁)を用いた絵画で、
19世紀当時のサロンで大流行しました。
ナポレオンの古代好きと、
美術界での古代ブームが相まって、
古代ギリシャローマ風の美術が
大流行しました。
これが後に新古典主義
と呼ばれたんですね。
新古典主義の有名な絵画、画家
ダヴィッドも新古典主義の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/David_-_Napoleon_crossing_the_Alps_-_Malmaison1.jpg?resize=399%2C469)
ナポレオンといえば、この肖像画ですね。
新古典主義の絵画は全体的に
ナポレオン万歳で、
古代ギリシャ的な理想化が
なされているので、
実物よりもかっこよく
描いたものが多いようです。
バロック期にイギリス王室で
活躍したヴァン・ダイクと
似ていますね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/121021-004-A064432C-300x189.jpg?resize=728%2C459)
上の有名な肖像画の他に、
ナポレオンの肖像画には
↓こんな謎のポーズの肖像画が
何枚か残されていますが、
これは彼が腹痛持ちだった
からのようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/e0033240_721879-208x300.jpg?resize=362%2C522)
ダヴィッドは当時の権力者が
コロコロ変わる激動の時代、
常に時の権力者につき従っていました。
ややコウモリ野郎な気もしますが、
素晴らしい絵画をたくさん残していますね。
アングルも新古典主義の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/naporeon-180x300.jpg?resize=398%2C663)
アングルはダヴィッドの弟子で、
同じくナポレオンの肖像を描いています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ダウンロード-1-3.jpg?resize=428%2C528)
アングルは古代ギリシャ・ローマの他に、
ルネサンス期の画家のラファエロも
敬愛していたようで、よく描いています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20110120_873562-223x300.jpg?resize=378%2C509)
上がラファエロの「サンシストの聖母」で
下がアングルの「ルイ13世の誓い」です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ダウンロード-2-2.jpg?resize=383%2C617)
カノーヴァも新古典主義の彫刻家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Canova-Psyche-Revived-295x300.jpg?resize=451%2C459)
カノーヴァは古代ギリシャ好き
の彫刻家でした。
モチーフも「クピドとプシュケ」
というギリシャ神話のワンシーン
(クピドはキューピッドのこと)
彫刻作品もしわのない、なめらかな
理想化された人体を作っています。
モリエールの作者ウードンも新古典主義の彫刻家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ジャン・アントワーヌ-ウードン-francois-marie-arouet-voltaire-1781-225x300.jpg?resize=478%2C637)
シワのない理想化された、
人体を神話の題材で表現したのに対し、
ウードンの人間はリアルです。
ウードンの彫刻は人間味があり、
同時代の人間をよくモデルにしていました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/e383a2e383aae382a8e383bce383ab-225x300.jpg?resize=465%2C620)
美大受験生にはお馴染みのモリエール像
はウードンの作品です。
(モリエールは当時の俳優、劇作家でした)
トルヴァルセンも新古典主義の彫刻家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/que-13100525463-300x224.jpg?resize=520%2C388)
トルヴァルセンは古代ギリシャの
ファサードにあるような、
人体彫刻を作りました。
トルヴァルセンの彫刻は
時間が止まったような、
独特の緊張感、硬質さ
がありますね。
新古典主義の建築
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ダウンロード-3-1.jpg?resize=472%2C518)
新古典主義の時代、建築も
絵画や彫刻同様、
古代ギリシャ・ローマの様式が甦りました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/mainbox_min04_large-300x200.jpg?resize=596%2C397)
パリのエトワール凱旋門は
ナポレオンの戦勝を記念して
作られましたが、
これも古代ローマ風です。
ロココ様式のような過剰な装飾を廃し、
直線的でシンプル、
左右対称な作りのものが多いです。
建築の分野では、新古典主義の時代以降、
過去の時代の様式を復活させる、
様々な復古様式が続々と登場します。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20160909-01-300x204.jpg?resize=510%2C347)
パリのオペラ座はバロック風
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/caption-1-300x180.jpg?resize=487%2C292)
ロンドンの国会議事堂はゴシックリバイバルです。
産業革命以後の近代的な都市は、
区画整理がなされ、大規模な
建築が多く作られますが、
国の威信をかけたような
公共建築には古代の様式が
用いられるようです。
新古典主義の有名な絵画や建築の特徴まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/234px-Jacques-Louis_David_Le_Serment_des_Horaces.jpg?resize=550%2C423)
今回は新古典主義の美術について解説しました。
私たちの知るかっこいいナポレオン
のイメージは、
ダヴィッドやアングルのデッサン力
が大きく役立っていたんですね。
古いもの好きな私は新古典主義の時代
のロマンにはとても共感できます。
新古典主義の特徴をまとめると
・古代ギリシャ・ローマを理想とした
・ナポレオンの趣味(アンピール様式)を反映している
という感じですね。
次回はロマン主義について書きたいと思います。
それではまた。
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)