どうも、寒い時期は本を買い込んで、
籠って読書がしたい黒沼です。
最近また何冊かアートの本を
仕入れたので、面白いものがあれば、
書評記事で、また紹介しようと思います!
最近は続けて、西洋美術史シリーズ
を書いています。
美大に通う私が美術史の授業、教授の話、
本で手に入れた美術史情報をアップ
していくので、チェックしてみてくださいね!
今回はロマン主義の美術について解説します!
この時代は音楽の黄金時代でモーツァルトや
ベートーヴェン、ショパンなど
スーパースターぞろいで選曲に迷いましたが、
これにしました。
当時の音楽とともにお楽しみください。
目次
ロマン主義の有名な絵画作品の特徴
軽薄すぎたロココ様式の反動として、
理知的な新古典主義が登場しました。
今度は理知的な新古典主義への反動
として、感覚重視のロマン主義が登場します。
こんな感じで、文化は前の時代への反発
から生まれるんですね~
さて、今回取り上げるロマン主義は
「愛と苦悩」をメインテーマにしていました。
ロマンス=恋愛なのは、この時代に
書かれた小説に恋愛モノが
多かったからのようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_0-2-300x221.jpg?resize=462%2C340)
絵画に関しても、当時の文学同様、
非常に感覚的、激動的なものが多いです。
新古典主義の美術は古代ギリシャローマ
を唯一の美の基準とし、神話のワンシーンを
モチーフにしていました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Canova-Psyche-Revived-295x300.jpg?resize=413%2C420)
これに対し、ロマン主義の画家は
美の基準は多様だ。人の数だけある
と主張したんですね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/dlc103-300x235.jpg?resize=440%2C345)
そのため、モチーフには神話よりも
感情移入しやすい、当時の事件や
小説が選ばれました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/j01-300x203.jpg?resize=439%2C297)
また、ラブロマンスがそうであるように、
ロマン主義の絵画にも、
現実逃避的な性格がありました。
このため、異国の風景、オリエンタルなもの
(ヨーロッパから見て東にある国全般)
への憧憬もモチーフになりました。
(このロマン主義の現実逃避的側面は
後のリアリズムで批判されます。)
フランスのロマン主義の画家、絵画作品
ジェリコーもロマン主義の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/j01-300x203.jpg?resize=664%2C449)
ジェリコーはロマン主義を
初めて打ち出した画家
と考えられています。
1819年にジェリコーは
「メデュース号の筏」
という絵画をサロンに発表します。
この絵画はとても斬新なものでした。
何が斬新だったかというと、
当時起きた実際の事件を
描いたものだったという点です。
フランスの軍艦が沈没し、
いかだで、漂流した生存者の
生々しいエピソードをもとに
描かれました。
さらにすごいのが、この作品を
描くための習作です。↓
すごい迫力ですね~
ジェリコーは他にも、
馬の画家としても有名です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/1024px-Jean_Louis_Théodore_Géricault_001-300x211.jpg?resize=555%2C390)
後に動画撮影技術が発明されたとき、
ジェリコーの絵のように馬の足は
動かないことがわかり、
話題になったようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/horse-2536543_1280-300x175.jpg?resize=506%2C295)
ドラクロワもロマン主義の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/dlc105-300x237.jpg?resize=513%2C405)
ドラクロワはロマン主義の
代表のような画家です。
ドラクロワはヴェネツィア派やルーベンス
の絵画を参考に、荒々しい筆のタッチ、
激しい色彩の絵画を目指しました。
ドラクロワの作品は当時のサロンで
絶賛と非難の両極の評価を受けました。
それだけ、衝撃的で存在感
のある画家だったんですね。
ドラクロワは異国の風景、当時の事件、
小説のワンシーンなど、
まさにロマン主義らしい
テーマの絵画を描いています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/dlc103-300x235.jpg?resize=493%2C386)
「アルジェの女」には黒人女性が
描かれています。
異国趣味を感じる作品ですね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/dlc105-300x237.jpg?resize=485%2C383)
有名な「民衆を導く自由の女神」
は当時の事件、7月革命がモチーフです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_0-2-300x221.jpg?resize=485%2C357)
「オフィーリアの死」は
当時大流行したシェイクスピアの
「ハムレット」のワンシーンです。
スペインのロマン主義の画家、絵画作品
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/g03-300x230.jpg?resize=577%2C442)
スペインのロマン主義の
画家で最も有名なのはゴヤです。
しかし、ゴヤはまさに波乱万丈の人生で、
ロココ風肖像画家
→ネオ・バロック風の宮廷画家
→ロマン主義的な「黒い絵」の時代
などなど、作風を目まぐるしく
変えていった画家でした。
↑ロココ風の優雅な肖像画
↑ベラスケスやレンブラントの様式を復活させたネオ・バロック様式
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/saturn_1000-182x300.jpg?resize=403%2C664)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/unmei-300x147.jpg?resize=573%2C281)
↑聴覚を失ってからは、内面を
吐露するようなロマン主義的な
「黒い絵」を描きます。
イギリス、ドイツのロマン主義の画家、絵画作品
ロマン主義の時代、イギリスとドイツ
ではフランスとは異なる流れが生まれました。
イギリスのロマン主義の画家
ターナー
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/temeraire1-300x224.jpg?resize=506%2C378)
風景画で有名なターナーは
この時代の画家です。
人間は自然の一部だ
という感性を持つ東洋人とは対照的に、
ヨーロッパでは古くから
自然は、恐ろしく、
征服すべきものでした。
そのため、風景が絵画の主役
になることはなく、
あくまで人物を引き立てる
背景部分でした。
ロマン主義のターナー以降、
風景が絵画の主役になる
風景画というジャンル
がうまれます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/turn_005-300x224.jpg?resize=540%2C403)
ターナーの描く風景は決して
穏やかではない、恐ろしくも
息をのんで見とれてしまうものでした。
この、恐怖と感動が共存する
「崇高さ」というテーマは
ロマン主義メインテーマのひとつなんですね。
カンスタブル
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/shiroiuma2-300x206.jpg?resize=492%2C338)
この頃のイギリスは他国に先んじて
産業革命を経験し、近代的な都市
が生まれ、急速に工業化していました。
そんな中、カンスタブルは
自然の残る田舎に残り、
ロマンティックなうっとり
するような風景画を描きました。
ブレイク
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Nabonidus-Last-King-Neo-Babylonian-Empire-300x180.jpg?resize=522%2C313)
先ほどのドラクロワの「オフィーリアの死」
のようにロマン主義の絵画にはよく、
文学作品をテーマに
したものが多くあります。
ブレイクは挿絵画家として、
多くの文学作品をビジュアル化しました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/c8ca9efe-232x300.jpg?resize=458%2C592)
詩人でもあったブレイクの
描く絵は霊感を感じるような
神秘的なものが多いですね。
フュースリ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/fuseli_john_henry_the_nightmare1-300x239.jpg?resize=535%2C426)
フュースリもブレイク同様、
神秘的なモチーフを描きましたが、
彼はもっぱら夢をテーマに描きました。
夢の中のような絵画ならではの
幻想的な世界を描いています。
ドイツのロマン主義の画家
フリードリヒ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/2584_v1-300x193.jpg?resize=603%2C388)
フリードリヒの描く
風景画はまさに
「崇高さ」のビジュアル化でした。
それでいて、ターナーのような
激しさはなく、
まさに「思想のドイツ」的な
瞑想的な作品を描いています。
ルンゲ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/runge_2-220x300.jpg?resize=401%2C547)
ルンゲもドイツ人らしい、
幻想的な風景画を描いています。
フリードリヒの作品以上に
スピリチュアルな雰囲気をもつ、
作品ですね。
ロマン主義の絵画作品の特徴まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_0-2-300x221.jpg?resize=493%2C363)
今回はロマン主義に
ついて取り上げました。
ロマン主義は伝統的な絵画の形式
をとりつつ、
画家の内面世界が見えるような
絵画がたくさんあって、
見ていて飽きませんね~
作品=作家個人の表現
という図式が出来上がったのも
この頃なんです。
ロマン主義の特徴をまとめると
・異国や小説、夢など、幻想的なテーマが好まれた
・作家個人の表現が現れはじめた
という感じですね。
次回はレアリスムについて紹介します。
それでは。
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)