どうも、展覧会が近付き
そわそわし始めた黒沼です。
今、私は同時に3枚の絵を
描いているんですが、
あまり絵の同時進行は
向かないことが分かりました。
私はアクリル絵の具で
描いているので、
絵の具の乾燥を待たず、
完成まで一気に集中して
描くスタイルの方が良いようです。
先輩の作家で、油絵を描く方は、
油絵は乾き待知の時間があるので、
同時に何枚も描きすすめるようです。
さて、最近は続けて、西洋美術史シリーズ
を書いています。
美大に通う私が美術史の授業、教授の話、
本で手に入れた美術史情報をアップ
していくので、チェックしてみてくださいね!
今回は印象派の美術について解説します!
当時の音楽とともにお楽しみください
目次
印象派の画家、絵画作品の特徴とは
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/350px-Pierre-Auguste_Renoir_Le_Moulin_de_la_Galette-300x224.jpg?resize=568%2C424)
前回の写実主義の画家は、
身の回りの人物を
ありのまま描いていました。
この流れは印象派にも
引き継がれました。
ドガの絵画には踊り子は登場しますが、
決めポーズばかりを描くのでなく、
あくびをしている子も
描いたりしています。↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/dga191-300x215.jpg?resize=473%2C339)
このように、ふとした表情を
つぶさに観察し、即興的に
描くのが印象派の一つの特徴です。
印象派の画家がつぶさに観察した
ものを即興的に描くというのは、
自然を描く時にも役立ったようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/W-1268-CM-1890-Grainstacks-in-the-Sunlight-Morning-Effect-pc-Ath-300x197.jpg?resize=440%2C289)
時間とともに変化する光の印象を
即興的に軽快な筆致と明るい色彩
で描きました。
印象派の名前の由来
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Soleil_levant_Claude_Monet-300x230.jpg?resize=466%2C357)
印象派という名はモネの絵画
「印象、日の出」が由来で、
「印象を映したに過ぎない」という
批評家からの酷評が元になっているようです。
エドガー・ドガも印象派の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/dga191-300x215.jpg?resize=447%2C320)
印象派の多くの画家が屋外の光を
描いたのに対し、
ドガは室内の人工的な光を描きました。
しかし、ドガは他の印象派の画家と同様、
瞬間的、断片的な対象の見方をしています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Degas-300x282.jpg?resize=441%2C415)
ドガの作品はアトリエで制作されましたが、
現場の臨場感が伝わってくる
スナップショットのような構図
で描かれています。
睡蓮を描いたクロード・モネも印象派の画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/001_01-300x291.jpg?resize=494%2C479)
モネは水面の一瞬のきらめきを
モチーフに制作していました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/W-134-1869-La-Grenouillere-ma5-2013-2-1-300x225.jpg?resize=492%2C369)
一瞬ごとに表情を変える水面の表情を
捉えるべく、印象派の技法
筆触分割がうまれたようです。
印象派の絵画技法、筆触分割とは
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/筆触分割とは.jpg?resize=437%2C162)
筆触分割とは純色を細かく並置した時↑、
遠くから見ると中間色に見えるという
視覚混合を生かした技法です。
純色の赤と青を並置して、遠くから
眺めると紫に見えるんですね~
モネは一貫して時間と共に変わる
光の表情を追い続けました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/th_d8399901d709490dbf8a92fe7c7970ba_0005300001-194x300.jpg?resize=267%2C413)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/MONET1_thumb-202x300.jpg?resize=271%2C402)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Rouen_Cathedral_Sunlight_W1322.jpg?resize=265%2C417)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/MONET2_thumb.jpg?resize=262%2C390)
ルーアン大聖堂↑や積み藁↓を
様々な時間帯に描いた連作には
彼のテーマがよく表れています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/W-1213-grainstacks-at-giverny-sunset-300x210.jpg?resize=383%2C268)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/img58456703-300x184.jpg?resize=386%2C237)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/W-1267-Grainstacks-in-bright-sunlight-1890-300x182.jpg?resize=381%2C231)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/W-1268-CM-1890-Grainstacks-in-the-Sunlight-Morning-Effect-pc-Ath-300x197.jpg?resize=381%2C250)
印象派の画家が屋外で絵を描けた理由
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/color-.jpg?resize=728%2C485&ssl=1)
印象派の画家たちは「外光派」
とも呼ばれています。
彼らはキャンバスと絵具箱を
外に持ち出し、屋外の光を
直接見て描こうとしたんですね。
あまり知られていないことかも
しれませんが、印象派以前の多くの
画家は風景画を描く時も
外で描くのは、スケッチだけで
油絵の具を使ってキャンバスに
描くのはアトリエに戻ってから
だったようです。
なぜ、そんなことをしたかといえば
その頃、チューブ入りの油絵の具
が存在していなかったからなんです。
(その頃、絵の具は豚のぼうこうに
保存していたようです。)
チューブ入りの油絵の具は印象派の
登場と同じころに生まれました。
そのおかげで印象派の画家たちは
屋外で制作できるように
なったようです。
印象派が評価された理由
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/photo-camera-219958_12802.jpg?resize=728%2C482&ssl=1)
印象派が当時大きな影響力を持っていた
のは、フランスとその周辺のみでした。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/William_Adolphe_Bouguereau_-_Little_Girl_-_Google_Art_Project.jpg?resize=290%2C356&ssl=1)
フランス国内でも、従来までの
アカデミックで写実的な画風で表現
していた象徴主義の画家も多く
印象派の作風は賛否両論であったようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/frederic_edwin_church31-1.jpg?resize=523%2C341&ssl=1)
当時のアメリカではハドソンリバー派
というアメリカの広大な風景を
光学理論を用いてリアルに描く画家が
いましたし、
他のヨーロッパの国々でも
フランス以外の国々では、
光学理論を引用しつつも
あくまで写実的な表現が
未だ大きな影響力を持っていた
ようです。
そんな【異端児】であった、印象派の
画家たちが評価されるようになった
一因として、写真技術の発明があります。
「肖像画をリアルに描く」という職人
としての役割を写真が画家から奪いとったのです。
「リアルに描くだけじゃなく、
表現しなきゃ絵画の存在意義を保てない。」
そんな状態になったんですね。
印象派の代表的な画家 ルノワール
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/ダウンロード-6.jpg?resize=383%2C487)
ルノワールの画家は他の印象派の
画家と同様、モチーフを色の光の
集まりとして、
筆触分割で描きました。
この筆触分割の技法により、
画家のパレットから、黒が消えます。
輪郭線で物の形を描くことは
なくなり、暗い色は
純色を重ねて作ったからです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Swing-Renoir-783x1024-229x300.jpeg?resize=436%2C571)
当初は印象派らしい、筆触分割の技法で
描いていたルノワールでしたが、
肖像画の依頼を受ける様になると
作風が変化します。
一瞬一瞬の光の変化よりも、人間の形態を
表現することに重点が移り、
形態感のある絵画にかわっていきます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Pierre-Auguste_Renoir_-_Luncheon_of_the_Boating_Party_-_Google_Art_Project-300x222.jpg?resize=532%2C394)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/1050803DSCN0917-300x208.jpg?resize=534%2C370)
晩年にはまた、タッチ本位の
描き方に戻りますが、
この頃は母性愛など、
古典的なテーマで描きました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/gaburieru-300x249.jpg?resize=434%2C360)
印象派と新印象主義の違い、特徴
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/0111-300x202.jpg?resize=650%2C438)
印象派の筆触分割の技法と
視覚混合の効果を、
科学的につきつめ、
絵画で永遠の真理を突き詰めよう
としたのが新印象主義でした。
印象派が、目の前の光のうつろい、
人の表情をつぶさに観察し、
即興的に描いたのに対し
新印象主義は科学的に、
計算しつくした描き方で、
自然の奥に潜む不変の法則に
迫ろうとしたんですね。
新印象主義の有名な画家と絵画作品
スーラ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/seur0003_w720-300x245.jpg?resize=527%2C430)
スーラは印象派の筆触分割の技法、
視覚混合の効果を当時の光学理論で
突き詰め制作に生かしました。
スーラの絵画ははじめから意図した、
計算通りの方法で、
作品を完成させたんですね。
スーラの作品には印象派の絵画にはない、
時間が止まったような、
白昼夢のような独特の雰囲気がありますね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/0111-300x202.jpg?resize=572%2C385)
シニャック
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/feneon-300x239.jpg?resize=545%2C434)
シニャックはスーラの技法に
装飾性を加え制作しました。
スーラよりも外交的であった
シニャックは新印象主義の理論
をまとめた書籍を出版し、
後の時代に大きな影響を残しました。
新印象主義以来、点描技法は
ひとつのブームとなり、
ゴッホ、ゴーギャン、ナビ派の
画家たち、ピカソにも
影響を与えたようです。
印象派の画家、絵画作品の特徴まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/12/Swing-Renoir-783x1024-229x300.jpeg?resize=419%2C549)
今回は印象派、新印象主義
について紹介しました。
印象派、新印象主義の特徴はまとめる
・一瞬一瞬の表情をとらえた絵画
・華やかな都市生活の一コマを描いた絵画
という感じですね。
日本でも人気の高い印象派ですが、
なかなか高度な工夫が
なされているんですね。
次回はポスト印象派について紹介します。
それではまた。
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)