どうも 絵画をたしなむ
を運営する画家の黒沼です。
これまで、記事を書いてきて
画家の名前を引用して説明したり
することが結構あり、
話が専門的になりすぎる
ということが気になっていたので、
これから西洋美術史についての
記事を易しく書いていこうと思います。
初心者でも、玄人でも楽しめる記事
を目指して頑張って書いていきたい
と思います!
今回は盛期ルネサンス美術
について解説します!
当時の音楽とともに
お楽しみください!
目次
ルネサンス美術の作品の特徴
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/アダム-300x140.jpg?resize=491%2C229)
盛期ルネサンスとは、
15世紀末から16世紀にわたる時期です。
30年ほどの短い間に、ずば抜けた才能
を持つ画家が登場してきます。
ルネサンス3大巨匠として有名な
レオナルドダヴィンチ、
ミケランジェロ、
ラファエロ
を中心とした画家たちです。
彼らはルネサンスの規範であった
自然と古代を超えるレベルの
作品を生み出しました。
彼らの作品の完成度の高さから、
この時代を最高の時代とする
みかたは19世紀末まで続いたようです。
ルネサンス美術の有名な画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/art-school-of-athens-1143741_1280.jpg?resize=728%2C463&ssl=1)
今回はフィレンツェやローマを中心に
活躍したルネサンス3大巨匠と、
同じころヴェネツィアで
活躍した画家について紹介します。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/thK4O8FM0E.jpg?resize=250%2C333&ssl=1)
線遠近法によるリアルな空間
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Leonardo_da_Vinci_1452-1519_-_The_Last_Supper_1495-1498-300x157.jpg?resize=457%2C239)
万能の天才として知られるレオナルドダヴィンチは勿論、
当時最新技術であった
線遠近法(パースペクティヴ)を取り入れ
描いていました。
それまでの絵画の多くが、シーンの状況説明でした。
これに対し、ダヴィンチの作品は、
鑑賞者のいる空間とつながってみえるような
臨場感のある絵画を描きました。
最後の晩餐 も線遠近法をもちい、
キリストと鑑賞者が同じ部屋にいるか
のような演出がなされています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/img_01-3-191x300.jpg?resize=276%2C434)
登場人物を三角形に配置した三角構図も有名
ダヴィンチといえばスフマート技法(空気遠近法)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/th4GS64C79.jpg?resize=292%2C389)
ダ・ヴィンチは線遠近法のみならず、
空気遠近法も用いました。
「ものに輪郭は存在しない」という
彼の名言を絵画上で実現する技法で、
薄く溶いた絵の具を何層も重ねて
柔らかいぼかしを作りました。
万能人 レオナルドダヴィンチ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/M4kMN5RbDg4vxmPzLWbofz1-239x300.jpg?resize=289%2C363)
レオナルドダヴィンチはまさに
ルネサンス的天才「万能人」でした。
万能人は当時、理想とされた人間像で、
職業にとらわれず、
普遍的な知恵を持つ天才のことです。
画家、彫刻家、科学者、リラ奏者、
兵器デザイナーなどなど
レオナルドダヴィンチは様々な
肩書きをもっていたようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/0013_7_V_a-300x208.jpg?resize=394%2C273)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/e1b1e9ef955e6c40e60a249a902be9d5cc262e0c_l-300x297.jpg?resize=390%2C386)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/th8498QFS5.jpg?resize=386%2C555)
ミケランジェロ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/220px-Michelangelo-Buonarroti1.jpg?resize=338%2C436)
ミケランジェロは生粋の彫刻家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_0-300x300.jpg?resize=335%2C335)
レオナルドが芸術の他に科学や工学など
様々な分野に進出したのに対し、
ミケランジェロは芸術(特に彫刻)
に専念しました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/miguel_angel_tumba_julio_ii_esclavo_atlas-184x300.jpg?resize=281%2C458)
ミケランジェロは「肉体は魂の牢獄」
という当時はやった、新プラトン主義
の思想を彫刻で体現しようとしました。
石に閉じ込められた神の意思を
余分な意思を取り除くことで、
自分が解放する
これを通して、彫刻家は神のような
創造が可能だと考えていたようです。
ミケランジェロは自信家で頑固者?
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/David_by_Michelangelo_JBU0001-200x300.jpg?resize=320%2C480)
ミケランジェロは教皇やメディチ家など、
当時の極めて有力な人間から
制作依頼を受けていました。
権力者に屈しないミケランジェロの自信と
頑固さが垣間見える面白いエピソードが
いくつかあります。
有名なダヴィデ像の鼻の高さが
気に入らなかった教皇は、
制作中のミケランジェロに
鼻を低くするよう命じます。
これに対し、ミケランジェロは
教皇は何もわかってない と思い、
生返事で応え、大理石の粉を
ばらまきながら、ノミをふるい、
鼻を削るフリをして
誤魔化したようです。
この誤魔化しに気付かなかった教皇は、
何も変わっていないのに、
「良くなった」と喜んだようです。
また、壁画の進み具合について
「いつ終わるのか?」と教皇が尋ねた
教皇に対し、
「私が出来るときにできる」
と言い張ったようです。
ミケランジェロはマッチョが大好き?
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/roma0806-300x199.jpg?resize=418%2C277)
ミケランジェロは男性の肉体こそ美しい
と考えていたようで、
女性の彫刻も男性をモデルにつくった
ようで、女性もマッチョです。
男性の肉体美をみせるべく、
最後の審判には、凄まじい数の
男性の裸体が描かれました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Last_Judgement_Michelangelo-273x300.jpg?resize=390%2C429)
あまりに裸体が多かったため、
後に他の画家がふんどしを描き足す
という尻拭いをさせられたようです。
それ以来その画家は「ふんどし画家」
と呼ばれたそう。 かわいそうに…
ラファエロ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/raffaello_autoritratto-copy1-206x300.jpg?resize=311%2C453)
ラファエロは美人が大好き?
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/無題-1.png?resize=255%2C399)
「美人を描くには美人を
たくさん見ないとね」
byラファエロ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_1-219x300.jpg?resize=293%2C401)
教皇からも弟子からも女性からも
モテモテだったラファエロは
ミケランジェロとは対照的に、
美しい女性の肖像画で有名です。
聖母子の画家ともいわれた
ラファエロはたくさんの聖母子像を
残しています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/無題-1.png?resize=316%2C495)
ラファエロはルネサンス期の超優等生
ラファエロはレオナルドやミケランジェロ
の良い部分をとりいれ、総合し、
ルネサンス様式を完成させた画家
としても有名です。
先人の優れた様式をとりいれ、
総合したんですね。
そのおかげか、ラファエロは
その後の時代、最も優れた画家、
最も手本とすべき画家と
考えられたようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/art-school-of-athens-1143741_1280-300x191.jpg?resize=407%2C259)
線遠近法を取り入れた アテネの学堂
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/無題-1.png?resize=275%2C431)
レオナルドの三角構図を
取り入れた聖母子像
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/0_Adam_et_Eve_-_Fresque_de_Raphaël_-_Stanza_della_Signatura_2-247x300.jpg?resize=337%2C409)
ミケランジェロのような力強い肉体表現
ラファエロは後の時代の画家のお手本になった
19世紀イギリスではラファエル前派
というグループが登場しますが、
これは、当時のアカデミーがラファエロを
芸術の頂点とし、画家に手本とさせており、
これに反抗する形で生まれた
グループだったんです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ophelia-300x205.jpg?resize=300%2C205)
↑ラファエル前派の画家ミレーのオフィーリア
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Retable_de_lAgneau_mystique_7-300x170.jpg?resize=394%2C223)
↑ラファエロ以前の偉大な画家
ファンエイクの草木の表現
アカデミーはラファエロを最高というけど、
ラファエロ以前の絵に戻ろう
というのがラファエル前派の主張
だったんですね。
そのくらい長きにわたり、美術史の中心に
ラファエロは君臨していました。
ルネサンス美術:ヴェネツィア派の作品の特徴
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/venice-1933559_12802.jpg?resize=728%2C485&ssl=1)
ヴェネツィア派は色彩が命
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/oil-painting-1128693_1920-300x200.jpg?resize=396%2C264)
レオナルドやミケランジェロ、ラファエロが
フィレンツェやローマで活躍していた頃、
ヴェネツィアでも優れた画家が登場します。
レオナルドたちが線描(デッサン)を中心に
絵画を組み立てました。
(彼らはフィレンツェ派と呼ばれます)
これに対し、ヴェネツィア派の画家たちは
色彩を中心に絵画を組み立てました。
具体的には、フィレンツェ派の画家たちは
線描で入念に構図を決め、モノトーンで
立体感を出してから、色を塗る
という極めて計画的なプロセスで
描いていました。
これに対しヴェネツィア派は、
画面にいきなり絵の具で色を置きます。
制作途中でも自由に構図を変更し、
描きながら考えるような
描き方をしていました。
このおかげでフィレンツェ派以上に
豊かな色彩、のびやかな筆のタッチ
の作品が多いんです。
この頃のヴェネツィアでキャンバスが登場
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/sailing-ship-2872496_1920-300x169.jpg?resize=483%2C272)
フィレンツェ派の多くの絵画は
この頃板に描かれていました。
板絵は緻密に描くのに向く反面、
画面の重さや、板の反りなどが原因で、
大きな作品に向きませんでした。
港町であったヴェネツィアでは、
帆船の帆の麻布を木枠に張って、
キャンバスを作り、
絵が描かれました。
海洋貿易で成功した商人が
大きな絵を依頼し、
ヴェネツィア派の画家がキャンバス
に描いて納めた んですね。
絵画の依頼主が教会ではなく、
商人などの一般人であったことから、
ヴェネツィア派の絵画は田園風景など
世俗的なテーマが多いです。
ルネサンス美術:ヴェネツィア派の有名な画家
ジョルジョ―ネ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Giorgione-tempest-269x300.jpg?resize=410%2C457)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/gior07-300x186.jpg?resize=410%2C254)
ティツィアーノ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/titi_201610_04-240x300.jpg?resize=296%2C370)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/800px-Tizian_102-300x216.jpg?resize=413%2C297)
盛期ルネサンス美術の特徴まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Leonardo_da_Vinci_1452-1519_-_The_Last_Supper_1495-1498-300x157.jpg?resize=432%2C226)
今回はダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ
など盛期ルネサンス期の画家について紹介しました。
その後の画家のお手本となる多くの作品が生まれた、
西洋美術史上の黄金時代が
盛期ルネサンス期だったんですね。
天才芸術家だけあり、ユニークなエピソード
も多く、とても面白い時代だと思います。
盛期ルネサンスの特徴をまとめると
・遠近法、明暗法、三角構図など後の規範となる技法が確立
・線のフィレンツェ派と色彩のヴェネツィア派の活躍
という感じですね。
次回は、イタリアルネサンスと同じころ、
ドイツやオランダなどで花開いた、
北方ルネサンスについて紹介します。
それではまた
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)