絵画の技法や作品モチーフの選び方や考え方
についてメルマガ読者の方から寄せられた質問
にお答えしていこうと思います。
今回のテーマは作品制作についてです。
目次
絵画技法や作品モチーフのお気に入りを見つけよう
絵画の技法や作品モチーフの選び方や考え方
について
実際、メルマガ読者の方からも
こんな質問をよく頂きます。
質問
絵のモチーフ探しに苦戦しています。
私はどうしても女性+花の絵に
こだわりたいのですが、
本当は女性モデルさんと花を取材して
撮影してオリジナル作品にしたり、
フリー画像からヒントを得て、広げて
オリジナルにしたいのですが、
なんせそんな柔軟なことができるはずもなく
モンモンとしています。
人物を描いている作家さんはもう、
ご自分の型がある程度決まっていて、
統一感があるんですが、
私のInstagramはまあ、
バラバラという感じです。
目標が定まっていない証拠です。
そして、見たまましか描けないのです。
悲しいことに。しかもフリー画像のみです。
フリー画像だって無料のものは人物が、
理想的な表情、視線をしているものは少なく、
外国人が多い。
有料のものは魅力的なものがありますが、
著作権帰属の問題があります。
あまりフリー画像にこだわらずに、というか
オリジナリティーを出すためには
どうすればよいのでしょうか?
本当に絵を描き続けられるのか
不安になってきました。
お花を描くのだって他の方と差別化
させないといけない。
今まで好きで描いていた絵が
少々負担になってきた気がします。
回答
知り合いの方でモデルになってくれそうな
人を見つけて
写真を撮らせてもらいましょう。
これまでに描いた作品を見せてお願いすれば、
何人かにあたれば
モデルは確保できるでしょう。
その際はお気に入りの衣装で、様々な
角度から撮らせてもらいましょう。
もし可能そうなら、完成した作品を
プレゼントさせていただくと良いでしょう。
思いのほか大喜びしてくれるものですよ。
そして、飾った場面の画像と
お客様の声を頂きましょう。
お客様の声と展示イメージ写真があると↓
このような作品受注ページを作る時にも
役立ちます。
あと、もうひとつ提案できるのが、
写真を使って、見たまま描く作家の場合
(私もそうですが)Photoshopを使って、
加工した写真、コラージュした写真を
モチーフにして、描くと良いでしょう。
こうするとフリー素材の
写しではなくなりますね。
他にも提案できることとしては、試しに
別の技法で描くというのもあります。
これまで、慣れていた油絵だけでなく、
水彩や鉛筆の作品も試してみるのは
どうでしょうか?
思いがけない素材の表情が出て、
新しい作風が生まれることもあります。
また、技法を増やすことは、
販売戦略上も有効です。
鉛筆画や水彩画、版画といった、
紙に描く技法は、油彩や、日本画に比べて、
値段が安いという慣例があります。
これを生かし、それなりのサイズでも、
お求めやすい作品も用意できるわけです。
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作品モチーフのお気に入りの見つけ方
絵画の技法や作品モチーフの選び方や考え方
について解説するにあたり
今回は私や作家仲間のモチーフ取材方法
について紹介します。
カメラ片手にぶらっと取材
私は普段、日本の花をモチーフに描くこと
が多いのでパソコンの中に撮りためた
季節の花の写真の入ったフォルダが
たくさんあります。
こうしておくことで、7月に梅の花
を著作権を気にせず描くことができます。
私の知り合いの風景画家は
趣味のバイクを楽しみながら、
バイクで近くの緑地や公園をめぐり、
写真取材するようです。
また、動物を描く作家さんは休日、
家族サービスを兼ねて、動物園へ
行き取材するようです。
海外旅行も経費で落ちる!?
売れっ子作家で、有名百貨店で
個展を開く作家さんの知り合いの
モチーフ取材を紹介します。
数年に一度、海外旅行へ行き写真取材を
して、それをモチーフに絵を描きます。
そして、有名百貨店でその旅をテーマ
にした展覧会を開きます。
すると、確定申告の時に海外旅行が
必要経費として認められたりするようです。
売れっ子作家といえども、税務署の方々
からすると、「小金持ち」なので、
あまり鋭く経費を追求されることは
少ないようです。
アニメや映画、ゲームも取材?
知り合いの作家でゲームの
コンセプトアートのような絵
を描く作家さんの場合
グラフィックの優れた映画やゲーム、
アニメをみると、対抗心が湧いてきて
モチベーションアップするそうです。
自分が興味のあることを学んだり、
アニメや映画といった別の創作物から
インスピレーションを受ける
というのも、ビジョンを陳腐化
させないために重要なのです。
作業の集中力が途切れてきたら、
休憩もかねて、見たいものを見て、
知りたいことをインプットしましょう。
街のディスプレイで取材
駅ビルや都会の街中には道路に面した
ディスプレイが数多くありますね。
このディスプレイは優れた
アートディレクターが
担当していることも多く、
商業的にも芸術的にも
勉強になることが多いです。
また、ディスプレイに使う、大道具や造花
などを専門に扱うお店に行くのも良いでしょう。
モチーフの宝庫なので、静物画を描く
作家さんはモチベーションアップに便利です。
中でもおすすめなのは、
横浜ディスプレイミュージアムというお店です。
ここは3階建ての建物が丸ごと
ディスプレイのショップになっています。
関東にお住いの画家さんは
1度は行くと良いと思います。
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絵画の技法のお気に入りの見つけ方
絵画の技法や作品モチーフの選び方や考え方
について実際にこんな質問を頂きました。
質問
木のパネルですが、シナ材パネルだと、
アクが出ないと聞きました。
実は今までラワン材パネルを使用
していたのですが、確かにアクがでます。
ラワン材パネルを使用した場合、
表面にジェッソを塗り
しっかり保護してから
和紙を貼るのは大丈夫だと思いますか?
(ラワン材パネルの在庫が
結構あるものですから)
回答
ラワンを使うのは自分は怖いですね。
時間がたってからアクが
でることもあるので、
シナベニヤパネルしか使っていません。
ジェッソを塗ってから和紙を貼るというのも、
自分は怖いのでやらないと思います。
おすすめはできませんね。
パネルがもったいないですが…
質問
↑【伝統的絵画技法】金箔の貼り方や
石膏地の作り方をわかりやすく解説。
という動画を公開されて、
書籍でも見たことがない技法ですが、
普通のキャンバスもしくは、
和紙に白ジェッソを塗り、
ヤスリをかけ、平にして、
その上からジェルメディウムなどを塗り、
金箔を貼って定着させる
というやり方ではダメでしょうか?
回答
この動画で解説しているのは黄金背景技法
という中世ヨーロッパの技法なんです。
材料や作業工程がかなり細かく
決まっていましたが、
これは黄金背景技法特有の
「メノウで箔の表面を鏡のように磨く」
ために必要なんです。
なので、箔の表面をメノウで磨かない
のであれば、下地は和紙でも、
キャンバスでも板でも良いですし、
接着剤も膠でも、ジェルメディウム
でも良いです。
なので、箔を磨かないのであれば、
普通に和紙の上に膠水で箔を貼る
または、和紙の上にジェルメディウムで
箔を貼るで大丈夫だと思います。
膠の正しい使い方
質問
私にとって膠は非常に扱いにくい存在です。
膠と絵具の調合は、ほとんど勘ですから、
将来、岩絵具が剥落しないか
非常に心配になります。
その点アクリルは確実性がありますから。
盛り上げにはアクリルガッシュに
サンドマチエール(天然砂)を混ぜても
良いのかなと思ったりします。
でもこれでは日本画とは言えませんね。
日本画風ですよね。どう思われます?
回答
「日本画家」、「日本画」というフレーズ
で作品を説明したり、
自身の活動を説明したほうが、有利なので、
岩絵の具の扱いには
挑戦したほうが良いと思います。
「日本画」は正直、今、市場で
流行っています。
都内の百貨店では数多く、
日本画関係の展覧会企画が催されています。
なので、新聞、展覧会DM、ブログ、
キャプション、など、あらゆる場面で
「日本画家」の肩書きは有効だと思います。
私は洋画の出身なので、岩絵の具の扱いに
関しては細かく指導できませんが、
膠は使うので、
知っている範囲のお話をします。
膠の定着力を最大限発揮するために
(絵具が剥離しないために)守るルール
がいくつかあります。
・膠水は濃度が低すぎると、
絵の具がサラサラと落ちてきます。
濃度が高すぎると、絵の具層が割れます。
(膨潤させた膠水1に対して水10の割合で
調合しましょう。←体積比です。)
・膠水を作る時、お湯は80度前後の
ものを用意します。
(沸騰した100℃近いお湯を使うと
膠の分子が壊れて、接着力が落ちます。)
・日本画では膠水+岩絵の具で
絵の具を作って制作するわけですが
作業工程が進むごとに膠の濃度を
下げていく必要があります。
これは、膠が絵の表面に向かって
浮き上がってくる性質があり、
完成に向けて徐々に薄めていかないと、
表面の膠濃度が上がりすぎて、
絵の具層が割れます。
これらのルールを守って制作したいわけ
ですが、はじめのうちは難しいと思うので、
吉祥 の液状の膠を使うと良いと思います。
固まった筆の復活方法
質問
油絵に塗った保護剤、「タブロースペシャル」
なんですが、刷毛に付いたそれが、
ベタベタして石鹸付けても落ちないです!!
手についても落ちないです。
「タブロースペシャル 手に付いた 落とし方」
などで検索しても見つからず、とりあえず今、
少し指がベタベタの状態です。
タブロースペシャルの皮膚に付いた、または
刷毛に付いたものは除去できますか?
何か薬品がないと落ちないのですか?
回答
タブロースペシャルはかなり手ごわい
ですよね。
タブローやルツーセ、他にも
ペインティングオイルクイックドライ
などは樹脂成分が多く、乾燥も早いため
すぐにベタベタになります。
松ヤニを触った時みたいな感じです。
固まった刷毛はストリッパーという
画溶液で溶かすことができますよ!
ストリッパーは大変強い薬品なので、
なるべく触らないようにしましょう。
触ると痛いです。
最後に出たゴミは新聞紙に包んでから、
水をかけて燃えるゴミに捨てましょう。
そのまま捨てると、
発火する場合があります。
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絵画の技法の種類はいろいろある
絵画の技法は本当に歴史上
様々なものが存在します。
是非参考にしてみてください。
グレーズ技法
こちらは、初めて油彩画の技法を
体系化したといわれるファン・エイクの
作品です。
この作品は中心に白い像が、左右に赤い服
を着た人が描かれていますが、
この絵はおそらく、制作の序盤は4人とも
白い像のようなモノクロで描かれていました。
そして、モノクロで立体感が表現できたあと
半透明な油絵具を薄く塗り重ねることで
色彩が表現されているのです。
この技法をグレーズ技法といいます。
スカンブル技法
これはバロックの巨匠ベラスケスの
描いた肖像画です。
顔の部分はかなり細かいグラデーションで
表現されていて、
どうやって描いたのかわからないほどの
完成度ですね。
しかし、赤いマントの部分はどうでしょう。
光沢の部分が速く粗いタッチで表現されています。
このように、不透明な絵の具を薄塗り
することで、下に塗った色を感じさせるような
表現をスカンブルといいます。
グラデーション技法
こちらはエコール・ド・パリの画家
キスリングの作品です。
女性の肌や衣服の陰影がグラデーション状
に表現されています。
このように、油絵具は乾燥の遅さを
利用して、絵の具が乾く前に画面上で
色の境界線をぼかすことができます。
インパスト技法
こちらはポスト印象派の画家ゴッホの
作品です。
油絵具の硬さを生かした不透明の
絵の具の厚塗り技法がインパストです。
ドリッピング技法
こちらはアメリカ抽象表現主義の巨匠
ジャクソン・ポロックの作品です。
粘り気のある油性塗料を画面を寝かせて
したたり落ちさせて表現しています。
ミクストメディア技法
こちらはネオ・ダダの巨匠ラウシェンバーグの
作品です。
絵の前に置かれた椅子は学芸員が休するための
ものではありません。
こちらも作品の一部なのです。
このような、様々な材料を組み合わせて作った
作品をミクストメディアと呼びます。
コラージュ技法
こちらはキュビズムの時代に始まった
コラージュ技法です。
絵の上に紙を張り付ける技法で
絵の中の描かれた空間と、鑑賞者が
いる現実の空間を橋渡しするために
実際にものを貼ってしまおう
という発想がコラージュのようです。
厚みのある立体物を張る技法は
アッサンブラージュと呼ばれます。
ドライブラシ技法
こちらは20世紀アメリカの画家
アンドリュー・ワイエスの作品です。
一度筆についた絵の具をふきとって
カッサカサの状態で絵を描くと
このような乾いた質感の絵が描けます。
スパッタリング技法
絵の具のついた筆を指で
はじいてしぶきを飛ばすのが
スパッタリング技法です。
ハッチング技法
こちらの銅版画は近寄ってみると、
モチーフの形に添った細かい線の集まり
であることがわかります。
このような技法をハッチング技法
といいます。
みなさんの質問、要望、感想、お悩みを募集しています。
今回は「作品制作」
というテーマでメルマガ読者の方からの
質問にお答えしました。
「ここをもっと深堀りしてほしい。」
「ここがよくわからなかった。」
「こんな悩みの解決策が知りたい!」
「こんな動画を新たに作ってほしい!」
そんな要望がありましたら、遠慮なく
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