ギャラリーで絵画や版画、写真などのアート作品を販売する方法





絵画をギャラリーで販売する上で知って
おきたいことを今回は紹介していきます。

これまで日本全国で100枚以上
絵を売ってきてわかった、

絵画をギャラリーで販売する上で
画家が損をしないための

考え方やテクニックを公開していくので
是非最後まで読んでくださいね。

 

目次

絵画をギャラリーで販売するなら商品価値を考えよう

絵画をギャラリーで販売する上では

絵画はアート作品であると同時に
商品でもあるということを
認識しましょう。

 

日本では多くのアートの専門家が、
この認識がすっぽり抜け落ちている
のですが

誰も所有したいと思わないような
商品価値のない作品は、

どこのギャラリーでも販売するのは
難しいです。

 

これまでの歴史に残ってきた
アート作品の多くは、

誰かが「所有したい。」と思い
購入した結果、現在まで残っています。

 

所有しているのが、個人なのか、コレクター
なのか、国王なのか…

など様々なケースがありますが

 

いずれにせよ、
「誰も所有したいと思わない」作品

アート作品としても後の世に
残ることはないのです。

 

よく、「売り絵」を批判する美術関係者が
いますが、売れるクオリティーの作品の中から、

優れたアート作品が選ばれ、
歴史に名を遺すのです。

 

優れたアート作品かもしれない作品を
生み出しても誰も所有したいと
思わないようなものであれば、

その作品はギャラリーで販売しても
売れませんし、

タンスの肥やしになるだけなのです。

 

絵画をギャラリーで販売する価格のつけかた

絵画をギャラリーで販売する場合、

お客様の目線で価格
考える必要があるでしょう。

 

多くの場合、ギャラリーであなたの作品を
見る方は初対面のことが多いです。

一目ぼれするような作品に出会って、
手持ちの資金に余裕があったとしても、

今日初めて出会った作家の作品に
何十万円も払うというのは
抵抗がある方がほとんどです。

 

中には、絵画をコレクションするのが趣味で、
初対面の作家の作品も気に入れば

高くても買ってくださる方も
いらっしゃいますが、

かなりレアなケースです。

 

なので、初対面の方でも気軽に買えて
なおかつ飾りやすい、

4万円以下の小さめの飾りやすい作品を
多めに用意する

 

というのが、ギャラリーでの絵画の販売
における王道の戦略といえます。

 

絵画をギャラリーで販売するなら小さい作品も用意しよう

よく、画壇や団体展の関係者、
美大の指導層は

「大きい絵を描きなさい。」
というケースがありますが、

これにはいくつか理由があります。

 

バブル期の夢

まず、第一に彼らが青春を謳歌し
大作主義の価値観を固めたのは

「ジャパンアズナンバーワン」
空前の好景気の時代でした。

 

実際、当時の様子を知るベテラン画商さん
の話では卒業制作の大作が飛ぶように売れ、

それをきっかけにデビューを
果たす画家もいたようです。

 

なので、素晴らしい大作を描けば、
有名になれる可能性があると
無意識に刷り込まれているのです。

 

日本の市場を諦めている

「もっと大きい作品ないの?
仕方ないから、この一番大きい作品を
もらうよ。」

これは、海外の百貨店で展示を開いた
友人の画家がお客様に実際に言われた
言葉なんです。

 

海外では絵を買う習慣を持ったコレクターさん
も多く、気に入った作家の一番の大作を
買いたい方も多いようです。

日本と比べて家のサイズが大きく、
絵を飾る壁面が広いことや、

 

経済的に成功した証に、大作を購入して
美術館に寄贈するというのが
ステータスになっている

という文化的な背景も原因のようです。

 

画壇のメンバー募集

若い作家に大作を
描く習慣をつけて欲しい

というのは、画壇や団体展の運営サイド
の都合もあるようです。

 

これらの組織は、

年に2回有名美術館で大作を展示できる、
そのかわり会費を納めてね。

という趣旨のコミュニティを
運営しています。

 

会費を納めてくれる若い作家を
常に集めるために、大作を描く習慣
をつけて欲しいと思っているようです。

実際、美大でも「○○号以上の作品を描け」
という課題が数多く出されます。

 

私がいた洋画家は比較的自由でしたが、
日本画家は、特に「大作主義」の
刷り込みが強いようです。

当然、一般人で有名美術館に飾るような
特大サイズの絵を買う人などいません。

 

ただ、何年も組織に属して、会費を
納め続けると賞がもらえます。

すると、美術の鑑賞能力
のないお金持ちが

「○○会の受賞作家」という肩書きだけを
理由に絵を買ってくれたりします。

 

そういった、年功序列的な組織で
のしあがりたい人には向いているでしょう。

また、日本における数少ない美術好きの
オフィシャルなコミュニティなので、

美術好き同士、集まって語らいたい方にも
向いていると思います。

 

絵画をギャラリーで販売するのにおすすめの場所

絵画をギャラリーで販売する上で、
知っておきたいのが、

展示販売に向いている場所です。

 

百貨店のアートギャラリー

 

百貨店の上層階には、その百貨店の
お得意様を意識したサロンのような
お店が数多くあります。

その中にアートギャラリーや、
工芸サロンがあるわけです。

 

展示されている作品は

百貨店が紹介する作品
というだけあって、

「間違いない」品質のものばかりで、
見ていてとても勉強になります。

 

百貨店美術画廊の作品ラインナップは
お得意様を意識した構造に
なっているので、

百貨店ごとに扱う作品の傾向
が違っています。

 

おおまかに、分類すると

実際に絵を飾って楽しむお客様を
意識した、販売を前提にした
作品を数多く扱う百貨店

これとは反対に、絵を飾って楽しみたい
お客様のためよりも、

百貨店の話題作りや広告塔として
役立つような奇抜な現代アートを
扱う百貨店もあります。

 

百貨店でも「販売」を前提としない
ケースがあるのか!?

と驚いた方もいるかもしれませんが

 

百貨店における美術画廊の立ち位置は
稼ぎ頭というよりも、

話題性や品ぞろえの充実(行けばなんでも
あるのが百貨店というわけです。)のために
存在している場合が多いようです。

 

ちなみに、百貨店における稼ぎ頭は
食品部門や婦人服部門のようです。

 

企画ギャラリー

企画ギャラリー(コマーシャルギャラリー)
とは、取り扱い作家を数多く抱えた、

作品販売を目的に展示をする
ギャラリーのことです。

 

作品販売での利益で運営しているので、
当然、作品のレベルも高いため、

百貨店同様、見ていて勉強になります。

 

企画ギャラリーの中には公募展などを
実施して、新人発掘&取り扱い作家の募集
をしている場所もあるので、

興味のある企画ギャラリーの公募には
参加してみると良いかもしれません。

 

貸しギャラリー

貸しギャラリーは、1週間○○万円
という形で展示する作家から集めた
展示料金でまわっている貸しスペースです。

お金を払えば展示できる場所なので、
作品のレベルはまちまちです。

 

抱えている顧客数も、アクセスの良さも、
絵の売れやすさも、ギャラリストの情熱も

本当に場所によってまちまちなので、

本当にその場所で展示をする価値があるのか
を慎重に見極めて、
展示するべきだと思います。

 

個人的にはあまりおすすめしません。

 

カフェギャラリー

ここまで、百貨店のアートギャラリー、
企画ギャラリー、貸しギャラリー
について、紹介してきました。

 

百貨店や企画ギャラリーは、
いきなり挑戦するのは難しそうだし、

貸しギャラリーは展示料金の割に
展示する価値がいまひとつ

それなら、これから作家活動を始めたい
初心者はどうすれば良いのか?

それはカフェギャラリーでの展示が
オススメなのです。

 

カフェギャラリーは貸しギャラリーよりも
安い料金で、多くの人が来る

おしゃれな場所で展示できます。

そして、準備次第では
絵も結構売れます。

 

多くの人に見てもらえ、絵も売りやすく、
おしゃれな展示空間の写真も残せる

一石三鳥の会場なわけです。

 

展覧会経験を積んでレベルアップしたい
初心者の画家さんにはおすすめ
となっています。

 

オンラインの販売サイト

アートを販売できるオンラインの
販売サイトは最近様々な企業が
参入し増えてきています。

皆さんの中にも声をかけられた方は
多いかもしれません。

 

しかし、

「リアルの場所で展示したけど
絵が売れなかったから、オンラインで…」

という発想では、ほぼ上手くいきません。

 

リアルの場所で作家本人が対面で
説明し絵を販売する

というのが、最も簡単な方法なので、
この方法で絵が売れない場合、

おそらく、他の方法でも上手くいきません。

 

絵画の内容を見直したり、展示場所を
見直したり、プロモーションや集客手段を
見直す

といった抜本的な改善が必要でしょう。

それに、オンラインショップでは、
ライバルの作家が無数にいます。

 

もしオンラインで絵画の販売に
挑戦するのなら

ブログの構築→メルマガやLINE@でフ
ァン化→日常的な価値提供投稿→セールス

というネットビジネスの王道を
試した方が良いでしょう。

 

絵画をギャラリーで販売する時の取り分の実情

絵画をギャラリーで販売する上で
必ず知っておきたいのが

絵が売れたときの
画家の取り分についてです。

 

メルマガ読者の方から取り分の
実情について、

こんな質問を頂きました。

 

黒沼さまは、プロの画家として、
全国各地の百貨店等で個展を
開催されているとのことですが、

【1】
百貨店等の個展会場で作品販売を行う場合、

第一回メルマガの方法で作品価格の設定
を自ら行い、<委託販売>するのだと
思いますが、

売上の配分はどのようになるのでしょうか?

例えば、
売上の7割→作家
売上の3割→ギャラリー
とか。

【2】
【1】の質問に関連しますが、同じ作品でも
売上の配分が、
・有名百貨店の美術画廊
・老舗のギャラリー
・中堅のギャラリー
・個人経営のギャラリー
では変わりますか?
変わる場合は、目安を教えてください。

【3】
会場の借用料はかかりますか?

【4】
会場の借用料がかかる場合、
・有名百貨店の美術画廊
・老舗のギャラリー
・中堅のギャラリー
・個人経営のギャラリー
では変わりますか?
変わる場合は、目安を教えてください。

お手数をお掛けしますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

これに対し、
こんな回答をさせて頂きました。

質問にお答えします。

【1】
百貨店での展示の場合

売り上げは百貨店、画商
(百貨店に展示の枠を持っている
画廊のスタッフ)、画家
の3者で分けられます。

売り上げの配分は、正直百貨店、画商さん
によって、様々です。

ある画廊では

百貨店4割
画商1割
画家5割

でしたし

他の画廊では、
百貨店4割
画商3割
画家3割

という場所もあるようです。

画家と画商間での契約によって、
この数字は変わりますし、

会場と画商の間での契約でも
変わってきます。

 

目安としては言えるのは、

画家に5割入るケースはかなり、
画家にとって有利な配分
ということですね。

【2】

それぞれの会場、画商さんに
よって、契約内容が変わります。

【3】

借用料については、貸し画廊の場合は
かかります。

貸し画廊は充実した顧客リストを
もっておらず、作品が売れる見込みが薄いので、

画家から場所代を集めて経営を
回していることが多いのです。

コマーシャルギャラリーの場合は借用料0
の代わりに、絵が売れたときの画家の
取り分が少なめのことが多いです。
(画家が3割など)

百貨店では借用料という名目で支払う
ことはありませんが、

顧客向けのDM送付代、切手代などを
負担するケースが多いです。

これは画商さん支払ってくれることが
多いようです。

【4】

・有名百貨店の美術画廊
・老舗のギャラリー
・中堅のギャラリー
・個人経営のギャラリー

条件の良し悪しでいえば、
上記のような分類ではなく

・有名百貨店の美術画廊
・地方の分店など、経営難な
百貨店の美術画廊

・経営良好なコマーシャルギャラリー
・経営難なコマーシャルギャラリー
・貸し画廊

といった分類が適切でしょう。

上に行くほど条件が良く

画家の取り分も多いし
負担する金額も少ないです。

逆に下へ行くほど、画家の取り分は
少なく負担する金額も多い

というのが、全体的な傾向ですが、
これもまた、場所によってまちまち
というのが実態です。

 

このように、実際の所、ほとんど絵が
売れないような会場ほど

作家への条件が厳しく

良く売れる会場ほど、作家に有利な条件で
取り分が決められることが多いのです。

 

絵画をギャラリーで販売するには買い取り実績に注目すべし

絵画をギャラリーで販売する時、
絵が売れる良い場所を見つけたい
と思いますよね。

 

基本的には、ギャラリー巡りをして

・展覧会最終日の赤札の数
・土日の人の入り具合
・会場のアクセスの良さ
・ギャラリストの情熱

などを総合的に判断して見つけるのが
おすすめなのですが

今回はちょっとした裏技を紹介します。

 

ギャラリーの中には、物故作家
(既に死んだ著名な作家)の作品
買い取りをやっている場所があります。

「あなたの家の絵画、
査定させて頂きます。」

といった文言をみたことが
あるかもしれません。

 

そういった絵画の査定、買取を
やっているギャラリーは

「良い場所」である可能性があります。

 

有名物故作家の絵画の買い取りを
しているギャラリーは

有名物故作家の原画を買う可能性がある、
お得意様をお客様として豊富に
抱えていることがあります。

 

そういったギャラリーの中には、
スタッフが会場にほとんどおらず、

外回りをしていて、お得意様に
有名物故作家の原画をセールスして
まわっているケースもあります。

 

実際私も一度だけ、そんな会場で
展示をしたのですが

 

竹久夢二の絵を買いに来たはずのお客様が、

私の絵の方を気に入って
買ってくださったことがあります。

 

そのお客様は有名な物故作家の作品ばかり
集めていた方でしたが、

その場で接客していた存命の作家の
私の作品解説を聞いて
気に入ってくれたようでした。

 

このように、絵画の買い取りをやっている
ギャラリーは「お得意様」を数多く抱えている

チャンスのある場所である
可能性があるのです。

 

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