[西洋美術史]アールヌーボーとアールデコの違いや特徴を解説

アールヌーボーとアールデコ
の違いを皆さんはご存知でしょうか。

美術史だけでなく、家具やインテリア
の世界でもよく耳にする

アールヌーボーとアールデコ
という言葉。

 

最近は続けて西洋美術史シリーズを
書いていますが

今回も美大に通う私が美術史の授業、
教授の話本で手に入れた美術史情報を
アップしていくので、

チェックしてみてくださいね。

 

今回はアールヌーボーアールデコ
について解説します。

当時の音楽とともにお楽しみください。

 

アールヌーボーが起こったきっかけ

アールヌーボーが起こったきっかけ
としてよく語られるのが

アーツアンドクラフツ運動です。

これはウィリアム・モリスが
起こした運動で

当時の産業革命期の分業制の
モノづくりへのアンチテーゼ
でもありました。

 

マルクスが労働者は資本主義の
システムのせいで、工場の歯車
になり

労働の喜びから疎外されている
ことを指摘したのに対し

 

ウィリアム・モリスは工場労働者
が資本主義のシステムによって

モノづくりの喜びから疎外されて
いる。

ことを指摘し、職人の手仕事を
賛美するアーツアンドクラフツ
運動を起こしたと言えるでしょう。

ウィリアム・モリスはこのような
中世の装飾写本など、近代以前の
職人仕事に

インスパイアされた華麗な
デザインの本を作っています。

 

モノづくりの喜びとは

 

アーツアンドクラフツ運動の趣旨を
理解するには、ディアゴスティーニの
楽しさを引用するのが良いのかもしれません。

ディアゴスティーニではよく、毎週届く
パーツを組み立てていくと、0から

船の模型や、ロボットが作れる
などの雑誌を刊行していますね。

これは、0からモノづくりに携わり
完成することが大きな喜びを
もたらしてくれる良い例といえます。

実際、我々の生きる社会では
より効率的に生産するために

分業化が進み、制作工程の全てに
携わる喜びは失われました。

商品の企画、デザイン、製造の
全てに携わる人間はごくわずかでしょう。

このような生産の仕組みは人から
「モノづくりの喜び」を奪うようで

実際、この仕組みの元祖である
自動車メーカーのフォード社は

高給にもかかわらず、分業制を
取り入れた途端に離職者が激増
したそうです。

この気苦労は現代のデザイナーにも
共感する方は多いかもしれませんね。

 

実際、デザイナーをやっている方
から、絵を売る方法の相談を受ける
ことも多く

「自分で0から生み出した作品を
売ってみたい。」

「苦労して描いた絵をボツにされ、
描き直しをさせられるのは嫌だ。」

といった声を聞くことも多いのです。

 

アールヌーボーとは

アールヌーボーの特徴はまとめると

・19世紀末~20世紀初頭に流行
・曲線的なデザイン
・植物や昆虫がモチーフ
・装飾的でエレガントな雰囲気
・ベルギーやパリ周辺を中心に流行

 

といった感じです。

 

当時の雰囲気

 

当時のヨーロッパでは産業革命の結果、
安価で質の悪い商品が量産されました。

アールヌーボーはそんな時代に
登場しました。

 

アールヌーボーは「新しい芸術」
を意味する言葉でしたがその名の通り
非常に斬新な様式でした。

大量生産される粗悪な工業製品への反発
から出たアールヌーボーは工業製品には
ない独自性や芸術性を日用品に
取り入れる運動でした。

 

 

鉄やガラスといった新素材を使い
それまでにない装飾を施した芸術作品や
日用品が生み出されます。

アールヌーボーは他にも建築、工芸品、
グラフィックデザインなど様々な分野で
展開しました。

 

 

 

アールヌ―ボー建築

 

オルタ邸

 

ベルギーのアールヌーボー建築です。
ヴィクトール・オルタによる建築で
世界遺産です。

 

 

タッセル邸

 

ベルギーのアールヌーボー建築です。
こちらもオルタ邸同様、ヴィクトール
オルタによる建築で、世界遺産です。

 

 

カステル・ベランジェ

パリ初のアールヌーヴォー建築で
鉄を用いた植物の茎のような曲線的デザイン
がいかにもアールヌ―ボー的です。

 

 

サグラダ・ファミリア

スペイン・バルセロナの
サグラダファミリアも広義で
アールヌーボー建築に含まれます。

サグラダファミリアは創建当初は
アールヌーボー期でしたが、

今もなお建設が続いています。

 

 

 

アールヌ―ボー絵画

・アルフォンス・ミュシャ

 

日本でも人気が高いミュシャですが、
彼はアール・ヌーボーの画家に分類されます。

化粧品や映画のポスターなどの
広告やデザインの分野で活躍した画家で

アール・ヌーボーらしい女性的、曲線的、
装飾的な作風が特徴です。

 

・グスタフ・クリムト

クリムトもまた、日本でも人気の高い
画家ですが、彼もアールヌーボーらしい絵画を
描いています。

日本の琳派に影響を受けた、金地の背景と
装飾紋様の組み合わせは豪華絢爛なだけでなく

深い精神性や幻想的な雰囲気を感じますね。

この時代のアーティストは
アーツアンドクラフツ運動の思想が
そうであったように

産業革命や資本主義のシステムが
前提にする物質的な豊かさへの
アンチテーゼとして

精神的な豊かさを感じさせる、内省的な
雰囲気の作品が多いのが
特徴になっています。

 

アールヌ―ボー工芸

・エミール・ガレ

エミール・ガレも日本に多くの
作品が所蔵されていることもあり

知っている方も多いと思います。

エミール・ガレの造形観には

昆虫や植物などをモチーフ
に選び、儚さや滅びの美
を感じさせるものも多いため

かなり日本人のハートに刺さる
のかもしれません。

(カゲロウがモチーフになるのは
寿命の短さ、存在の儚さを表現
するためのようです。)

 

動植物をモチーフにしたインテリア
デザインで、諸行無常を表現する

というのはいかにも日本っぽい
ですよね。

 

アールヌ―ボー家具

 

 

 

 

アールヌーボー様式は全体として
職人による手技に頼ったものが多いです。

ゴシック期の壮麗さ、ロココ様式の曲線美、
バロック期の優雅さを受け継いだデザイン
が多いのが特徴です。

 

 

アールデコとは

アールデコの特徴はまとめると

・1910~1940年に流行
・直線的なデザイン
・幾何学模様がモチーフ
・合理的で機能的な雰囲気
・ヨーロッパやニューヨークを中心に流行

といった感じです。

アールデコはアールヌーボーに
比べて、シンプルで開放的、都会的な
雰囲気を持っています。

 

当時の雰囲気

 

職人の手技に頼ったアールヌーボー様式は
量産に向かず第一次大戦後、衰退します。

アールデコ様式はパリ万博を契機に流行
しますが、主に第一次世界大戦後の
アメリカで隆盛を極めます。

 

戦勝国となったアメリカは1929の世界恐慌
まで、空前の繁栄を見せ消費を大衆が謳歌
するようになります。

そんな時代の高まる需要にこたえたのが
アールデコ様式でした。

 

アールデコ様式は量産に向く、
直線的でシンプルなデザインが特徴です。

「生活の中に芸術を」という理想を掲げ
多くの装飾芸術で都市生活を彩りました。

 

 

 

アールデコ様式建築

 

アールデコ様式はニューヨークの中心の
摩天楼とフロリダに開発された
リゾートホテルを中心に用いられました。

 

 

・クライスラービル

 

 

ニューヨークに建てられた当時世界最高の
ビルでした。自動車メーカーのビルであっ
たため、車の部品をモチーフにした
デザインが特徴です。

 

 

 

 

・エンパイアステートビル

 

エンパイアステートビルはクライスラービル
を抜き、世界最高になったビルでした。

 

 

 

ロックフェラーセンター

クリスマスツリーで有名な
ロックフェラーセンターも
アールデコ様式建築の代表です。

 

・東京都庭園美術館

 

 

フランス人デザイナーのアンリ・ラパン
による東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)は
アールデコ様式建築です。

 

 

ジョージアンホテル

 

 

・ホテルブレイクウォーター サウスビーチ

 

 

・アバロンホテル

これらのリゾートホテルの建築を
トロピカルデコと呼ぶこともあります。

 

 

 

アールデコ様式の絵画

こちらのレンピッカの自画像は当時の
都市生活を直線的でシンプルな構成で
表現しています。

 

アールヌーボーとアールデコの違いや特徴

アールヌーボーとアールデコの違いや
それぞれの特徴が見えてきたでしょうか?

ここまで、それぞれの様式の特徴や
代表作について紹介してきましたが、

ここでは、両者の違いに注目して
特徴を解説していこうと思います。

 

アールヌーボーの特徴

・「生活の中に芸術を」という理想
・植物などがモチーフで曲線的
・職人の手仕事で1品ずつ制作
・ヨーロッパを中心に展開

アールヌーボーの作品は以上のような
特徴を持っていました。

「生活の中に芸術を」という理想を掲げましたが
職人の手仕事にこだわった結果、高価なもの
ばかりになり

購入できるのが、一部の資本家に限られるという
皮肉な結果になってしましました。

(アールヌーボーはウィリアムモリスの
アーツアンドクラフツ運動の思想を下敷きに
しており、これは資本主義の分業システムによる
モノづくりの喜びからの疎外を批判するものでした。)

また、アールヌーボーはヨーロッパ
を中心に展開した様式のため

伝統的、職人的な雰囲気を持っているのも
特徴といえます。

 

 

アールデコ

・「生活の中に芸術を」という理想
・ギザギザ模様などシャープで直線的モチーフ
・新材料を取り入れ安く、大量に生産
・アメリカを中心に展開

これに対し、アールデコの特徴は以上のような
感じでした。

アールデコは「生活の中に芸術を」
の理想を実現すべく、より、シンプルで
量産に向く様式になったようです。

これは近代デザインに大きな影響を与え

職人の手仕事と大量生産を前提にした
デザインされたプロダクトの橋渡しに
なったようです。

アールヌーボーがヨーロッパを
中心に展開したのに対し、

アールデコはアメリカの都市部を
中心に展開しました。

なので、都会的で開放的な
雰囲気を持っているのも特徴といえます。

 

まとめ

 

今回はアールヌーボーとアールデコ
について紹介しました。

アールヌーボーとアールデコの特徴は
まとめると

 

・アールヌーボー様式は曲線的で職人の手技によっていた。

・アールデコ様式は直線的でシンプルな都市生活向きのデザインだった。

・アールヌーボーとアールデコは共に量産品にはない美を生活に取り入れた

 

といった感じですね。

次回はダダイズムについて
紹介します。

それではまた。

↓西洋美術史についてはコチラ↓

 

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