どうも 絵画をたしなむ
を運営する画家の黒沼です。
これまで、記事を書いてきて
画家の名前を引用して
説明したりすることが結構あり、
話が専門的になりすぎる
ということが気になっていたので、
これから西洋美術史について
の記事を易しく書いていこうと思います。
初心者でも、玄人でも楽しめる記事
を目指して頑張って書いていきたい
と思います!
今回は北方ルネサンス美術
について解説します!
当時の音楽とともにお楽しみください!
目次
北方ルネサンスとは
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/gnome-1730430_12801.jpg?resize=728%2C546&ssl=1)
ルネサンス美術はイタリアの
フィレンツェやローマを中心に
花開きました。
これと同じころ、現代の
ドイツやオランダ、ベルギー
あたりでも数多くの巨匠が
活躍していました。
ドイツやオランダ、ベルギーは
ローマから見て北側にあるので、
この時代のこの地域の美術を
北方ルネサンスと呼びます。
この頃のヨーロッパは戦乱、疫病、
飢饉が流行し、世紀末的な不安に
満ちていました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/takahashi_rubens_fig4-218x300.jpg?resize=335%2C461)
そのため「死の舞踏」をテーマにした
作品が流行したようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/400px-Lucas_Cranach_I_workshop_-_Martin_Luther_Uffizi1.jpg?resize=274%2C401&ssl=1)
教会の腐敗を批判したマルティン・ルター
がドイツで宗教改革を起こしたのもこの頃です。
ローマカトリック教会が資金集め
のため贖宥状(免罪符)を販売
→教会が腐敗
→ルターが宗教改革
という流れなわけですが、きっと免罪符で
儲けたお金で、ミケランジェロやラファエロ
に天井画や壁画を描かせたんでしょうね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Last_Judgement_Michelangelo-273x300.jpg?resize=336%2C369)
免罪符のおかげで「最後の審判」
がみられるんですね~
それがきっかけで起きた宗教改革の名手
のルターの肖像画を描いた
クラナーハも今回登場します。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/400px-Lucas_Cranach_I_workshop_-_Martin_Luther_Uffizi1.jpg?resize=296%2C433&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20110707220839953.jpg?resize=324%2C640&ssl=1)
この頃のネーデルラント
(今のオランダやベルギーあたり)では、
ブリューゲルやボッスなどの画家が活躍しています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/original-300x241.jpg?resize=373%2C300)
ネーデルラントは油絵の具発祥の地でもあります。
今回は油絵の具を初めて使いこなした
画家についても紹介します。
油絵の具を初めて使いこなしたファン・エイクも北方ルネサンスの画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/Jan_van_Eyck_0691-300x234.jpg?resize=403%2C314)
油絵の具を最初に使いこなし、
技法を確立、整理したのが、
ファン・エイクと言われています。
油絵の具自体はかなり古くから
存在していたようです。
(実は玉虫厨子の側面の絵画、
捨身飼虎図は油絵の作品だそうです)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img9ee17e9bzik9zj-211x300.jpg?resize=290%2C412)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/tamamushinozushi-196x300.jpg?resize=263%2C403)
しかし、モチーフを写実的に描く
技法を最初に確立したのは
ファン・エイクが初めてでした。
どこまで拡大しても細かく描かれた
絵画は完璧な細密描写で
うめつくされていますね。
ブリューゲルも北方ルネサンスの画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/1568s盲人の寓話ss(ナポリsカポディモンテ美術館)-300x169.jpg?resize=417%2C235)
この時代多くの画家は工房で集団制作を
行っていましたが、
親子そろって画家というものも
多かったようです。
幼少期から親の工房で画家の英才教育
をうけていたんですね。
この時代の有名な画家、ブリューゲル
も親子3代画家でした。
ピーテル・ブリューゲル(父)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/1568s盲人の寓話ss(ナポリsカポディモンテ美術館)-300x169.jpg?resize=401%2C226)
ピーテル・ブリューゲルは田舎町の農民
などの暮らしを数多く描いています。
中世の庶民の陽気な暮らしが
垣間見える面白い作品ですね。
ヤン・ブリューゲル(父)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Jan_Brueghel_the_Elder_-_Flowers_in_a_Wooden_Vessel_-_Google_Art_Project-223x300.jpg?resize=302%2C406)
ピーテル・ブリューゲルの子の
ヤン・ブリューゲルは
花のブリューゲルと呼ばれています。
花を得意のモチーフとしていて、
ビロードの色調の絵を描いていたことから
ビロードのブリューゲル
とも呼ばれているようです。
ヤン・ブリューゲル(子)
ヤン・ブリューゲル(父)の子、
ヤン・ブリューゲル(子)は
バベルの塔を描いたことで有名です。
3人の中で最も緻密な作品を描いていますね。
ボッスも北方ルネサンスの画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ボッス-300x167.jpg?resize=480%2C267)
ボッスはルターの宗教改革の
直前の時代に活躍しました。
ボッスの絵には様々な怪物や、
意味ありげなシュールな場面が
描かれています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ダウンロード-1-1.jpg?resize=311%2C447)
これは当時の腐敗しきった教会や、
社会の雰囲気を様々な
ブラックユーモアや風刺を
通して描いたんですね。
ちょうど、新聞の漫画が政治家の不正
を風刺で皮肉るようなものですね。
ルターも描いたクラナ―ハも北方ルネサンスの画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20110707220839953-152x300.jpg?resize=252%2C497)
この頃のドイツでは、立派な格言
の刻まれた薄衣をまとうエロティック
なヴィーナス像が流行したようです。
エロティックなヌードを飾る
エクスキューズとして、
ヴィーナス像であること、
立派な格言が用意されたんですね(笑)
ルーカス・クラナーハはそんな
妖艶な女性像を描く画家として
人気の画家でした。
また数多くの肖像画も残しており、
当時活躍した宗教改革の名手、
マルティン・ルターの肖像画も
描いていました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/2a63d5e196f9ae6c1f18d421e9721251-279x300.jpg?resize=338%2C363)
デューラーも北方ルネサンスの画家
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Albrecht_Dürer_-_Selbstbildnis_im_Pelzrock_-_Alte_Pinakothek-217x300.jpg?resize=291%2C402)
デューラーは金工細工師の家
に生まれました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/bf1ea26a-s-236x300.jpg?resize=264%2C336)
そのためか、ゲルマン人らしい
緻密で繊細な線描が特徴の
銅版画を描いています。
この頃の北方世界の人物画は
クラナーハのヴィーナス像のように、
細身で妖しい独特のものでした。
しかし、デューラーはイタリア留学し、
古代(ギリシャローマ)的な理想的な人体
を学んできます。
イタリア留学後のデューラーの人物画は
古代ギリシャ彫刻のような、
どっしりとした骨格を感じる
人体表現が特徴になっています。
北方ルネサンスの画家の特徴まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ダウンロード-2.jpg?resize=292%2C365)
今回は北方ルネサンス
について紹介しました。
油絵の技法を生んだ国の作品は
緻密で見応えがありますね。
ファン・エイクやデューラー、
ブリューゲル、クラナ―ハ、ボッス
など日本でも人気の有名画家も多く、
面白い時代だと思います。
北方ルネサンスの特徴をまとめると
・教訓的なテーマの物語を描いた
・地域密着型の画家の登場
という感じですね。
次回はマニエリスム期について紹介します。
それではまた。
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)