[西洋美術史の話] 超リアルな絵画を描く有名な画家17人を紹介

どうも黒沼です。

 

前にこのブログで
日本人が好きな画家ランキングについて
書きました。

なかなか評判なので、今回は画家の私が選ぶ
写実絵画の巨匠を紹介します。

 

油絵が誕生した頃から、現代までの
写実画家を時系列で紹介するので
西洋美術史の勉強にもなりますよ。

画家の自画像の右下に出身国の国旗もつけた
ので、時代や国の違いで、絵の雰囲気が
どう変わるのか、チェックしてみてください。

 

 

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ヤン・ファン・エイク

 

 

ヤン・ファン・エイクは今から400年ほど前の
フランドル地方の画家です。

フランドル地方とは現在の
オランダ、ベルギー、フランス
にまたがる地方です。

 

ベルギーのブルッヘという町で主に活躍した
画家なので、国籍はベルギーにしました。

ヤン・ファン・エイクは兄のフーベルト
共に、油彩技法を完成させた
人物として有名です。

 

モチーフのリアルな描写は油絵の誕生
と共に始まった。

つまり、ファン・エイク兄弟のおかげで
始まったと言っても過言ではありません。

 

油絵はこんなにリアルに描けるのか?

その秘密は油絵具の乾燥の遅さと透明感
にあります。

 

乾燥が遅いため、絵具を画面の上で混ぜたり
伸ばすことで

自然な細かいグラデーション
作れるんですね。

 

また、油絵具は他の画材とは異なり
透明色(透明な絵の具)があります。

 

不透明色(不透明な絵の具)で細かい
グラデーションを作りながら

デッサンの要領でモノクローム
モチーフを描き切る

 

 

 

こんな感じです↑

 

その後に透明色をセロファンをかぶせる様に
モノクロの絵にかけていく。

 

全体的に暗くなるので、明るい部分を
もう一度、はっきり明るく描く。

    ↑↓

また、透明色をかける(以下繰り返し)

 

このような油絵の技法を
グリザイユ技法と言います。

ファン・エイクはこの技法を駆使して
リアルな絵を描いたようです。

 

 

 

ファン・エイクの作品は数も少ないため
日本では見られません。

油絵の生みの親の緻密な表現は是非
本物で見てみたいですね!

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは
イタリアヴィンチ村で生まれました。

ヴィンチ村のレオナルドという意味の
呼び名なんですね。

 

 

レオナルドはスフマート技法という
煙のような細かいグラデーションを作り
絵を描きました。

 

 

レオナルドはファン・エイクとは異なる
緻密さを持った絵画を数多く描きましたが

詳しい描き方は未だ謎です。

 

(半透明な絵の具の点描を重ねていく技法
だったという説もあります。)

 

 

レオナルドは作品点数が少ないですが
未完成作品も多く

依頼主と揉めることも多かったようです。

 

 

上の未完成の絵は「聖ヒエロニムス」
という絵画です。

ヒエロニムスはライオン
(画面右下のシルエット)を連れているのが
特徴です。

 

このように、絵画のモデルを特定するための
動物や持ち物のことを

アットリビュートと言います。

 

ヒエロニムス+ライオンの他に
アテナ+フクロウとか

矢が刺さっている+聖セバスティアヌス
などがあります。

 

話が逸れましたね。

 

例えば「岩窟の聖母」には
2種類のバージョンがあります。

 

 

 

 

 

 

上がルーブル版で下が
ロンドンナショナルギャラリー版です。

上のルーブル版にはよく見ると聖人を表す
光輪や、天使の翼がありませんね。

 

これを理由に、依頼主の教会から
受け取りを拒否されたようです

 

ロンドンナショナルギャラリー版は
描きなおしさせられたものなんですね。

 

「万能の天才」として有名な
レオナルドですが、職人としてはやや難あり
だったのかもしれませんね。

ラファエロ・サンティ

 

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ
ミケランジェロとともに
ルネサンス3大巨匠と言われるのが

ラファエロ・サンティです。

 

ラファエロはレオナルドやミケランジェロと
比べると、若干マイナーなイメージが
ひょっとしたらあるかもしれません。

 

 

 

しかし実際は、ラファエロは何百年もの間
誰より高く評価された画家だったんです

イタリアルネサンス期は西洋美術史上
最も優れた時代と長い間考えられていました。

 

 

 

ラファエロはそのルネサンス期様式を
完成させた、西洋美術史のお手本
考えられていたようです。

 

サンチェス・コタン

 

 

 

 

サンチェス・コタン
聞きなれない名前ですね。

彼はスペインバロック絵画の初期の画家です。
(ここからバロック期に入ります。)

 

スペイン絵画にはボデゴン(厨房画)
というジャンルがあります。

 

 

 

彼はこのような多くのボデゴンを残しました。

この時代のスペイン絵画は厳かで神秘的です。

 

 

厳格なカトリック教国のスペインは
僧侶兼画家という者が多くいました。

サンチェス・コタンもその一人です。

彼の作品には神への絶対的な信仰や
宗教的情熱、神秘性が感じられますね。

 

カトリックの僧侶ならではの画風なのかも
しれませんね。

彼のようなスペイン絵画の神秘的な
リアリズムには、現代の日本の画家
磯江毅も大きな影響を受けているようです。

 

 

 

ホセ・デ・リベーラ

 

 

 

ホセ・デ・リベーラ
サンチェス・コタン同様
スペインバロック絵画の最初期の画家です。

 

スペインらしい劇的な光と乾いた空気感が
彼の絵にも宿っていますね。

彼の描写力には私もよく憧れて
修行時代には何枚も模写をしていました。

 

 

ディエゴ・ベラスケス

 

 

 

ディエゴ・ベラスケス
スペインバロック絵画で最も有名な画家です。

 

 

 

 

特に代表作の「ラス・メニーナス(女官たち)」
は「絵画の神学」と評されました。
(当時のヨーロッパで神学は最高の学問でした)

また、「近代絵画の父」と呼ばれた
エドゥワール・マネもベラスケスを
絶賛しています。

 

「ラス・メニーナス(女官たち)」は
同じスペインの天才画家ピカソ
模写していたりします。

 

 

 

 

 

また20世紀フランスの有名な哲学者
ミシェル・フーコーも著書『監獄の誕生
(←難しすぎて読めませんでした笑)で

「ラス・メニーナス(女官たち)」を
西洋絵画の代表としてとりあげています。

 

 

ベラスケスは時代を超えて
大きな影響を与えているんですね。

昔、絵の先生に
「すごい画家ってどんな画家ですか?」

と聞いたことがあります。

 

その先生は
「より多くの人に影響を与えた画家だと思う」
と答えてくれました。

 

ベラスケスはそんな意味でも
とてもすごい画家と言えますね。

ヨハネス・フェルメール

 

 

 

サンチェス・コタンやベラスケスが活躍した
スペインバロックの黄金時代の少し後

17世紀にオランダ絵画は
黄金時代をむかえます。

 

(16~17世紀は油絵の技術が成熟し、
ヨーロッパ中に画家が溢れた、最も
職業画家が多い時代であったようです。)

 

そんな時代のオランダで
ヨハネス・フェルメールは活躍しました。

 

 

フェルメールはカメラオブスキュラという
カメラの原型を駆使しリアルな光を描きました。

カメラの命は何といってもレンズです。

 

当時のオランダは毛織物産業で栄え
手先の器用な職人が多くいたようです。

 

レンズを磨く高い技術を持った職人の多く
いたオランダでカメラオブスキュラは
生まれたんですね。

 

 

 

 

フェルメールが良く用いたブルーも
ウルトラマリンという
中東地域でしかとれなかったんです

ウルトラマリンは「海を越えてやってきた」
という意味なんです。

 

当時のオランダは海洋貿易で栄え
世界中から物品が入ってきていました。

ウルトラマリンも中東との交易で
仕入れていたんですね。

このようにフェルメールの緻密な絵画は
当時のオランダの国力に
支えられたものだったようですね。

ヤン・ダフィス・デ・ヘーム

 

 

 

 

 

 

400年ほど前のオランダには
このような花の静物画家が数多くいました。

当時のオランダでは海洋貿易で成功した
裕福な庶民が「飾りやすい絵画」
を買い求めました。

 

(それまでの絵画は十字架にかけられ苦しむ
キリスト像など、教示的で庶民を
戒めるようなものが多かったんです。)

 

 

そのため、この時代のオランダ絵画は
綺麗で大きすぎないという特徴があります。

(今の日本のアートマーケットの状況と
似ているかもしれません。)

 

ヤン・ダフィス・デ・ヘームはその中でも
特に評価の高い画家です。

多くの画家が全体に茶色がかった絵を描いた
のに対し、ヘームは豊富な色彩を破綻なく
構成し、緻密にモチーフを描きました。

 

ヤン・ダフィス・デ・ヘームは親子で
画家をやっており

子供のコルネリス・デ・ヘーム
の作品は上野の国立西洋美術館で見られます。

 

 

ヤン・ダフィス・デ・ヘームは
私が最も影響を受けた画家の一人で
修行時代に模写もしました。

レンブラント・ファン・レイン

 

 

 

レンブラント・ファン・レイン
フェルメールとともにオランダバロック
を代表する画家です。

 

 

レンブラントの絵画の特徴は
何といってもインパストです。

インパストとは、
明部の盛り上げ表現、厚塗りです。

 

 

レンブラント以前の画家は
インパストを用いませんでした。

実はレンブラント以前の時代
油絵の具はサラッサラでした。

 

今のように、固練りのペーストではなく
トロッとした状態だったんですね。

 

レンブラントが活躍したころ
絵の具を固くするための顔料である
体質顔料がうまれました。

体質顔料はそれ自体は発色せず
絵の具を固くする粉です。
(アルミナホワイトなどが有名です)

 

レンブラントのインパストも
印象派の筆触分割もゴッホのタッチも
体質顔料のおかげなんですね。

また、数年前にはレンブラントの絵画技法を
学習したAIが発表されました。

 

 

グーグルとオランダの研究所の合同開発らしく
レンブラントの「新作」↓が
400年ぶりにうまれ話題になったようです。

 

 

画家としては脅威でしかないです。
シンギュラリティ怖いです。

ドミニク・アングル

 

 

 

ドミニク・アングル200年ほど前の
フランスで活躍した画家です。

ナポレオンの肖像画を描いたことでも有名な
アングルは線描で人物を描くのが得意でした。

 

 

この時代のフランスでは、古代ギリシャ
ローマの遺跡(ポンペイやへラクレネウム)
が多く発掘されました。

これをきっかけにイタリアルネサンス期
のような古典ブームがまたやってきたわけです。

 

そんなわけで、アングルも古代ギリシャ
ローマルネサンス様式
大ファンだったようです。

 

 

 

アングルはギリシャ神話のワンシーン↑や
ラファエロのアトリエ↓をモチーフに
絵を描いています。

 

 

アングルだけでなく、ナポレオンもまた
古代好きだったようです。

エジプト遠征のときにも
ロゼッタストーンを持ち帰り、

 

 

身の回りのデザインもアンピール様式という
古典古代風のものに統一し
威厳を保とうとしたようです。

後に20世紀にヒトラーも古典古代風の建築で
威厳を保とうとしますが

古典主義は権力者のプロパガンダに
よく用いられるようです。

 

ナポレオンがアングルに肖像画を描かせた
のも彼が新古典主義の画家だったから
でしょうね。

ウィリアム・アドルフ・ブグロー

 

 

 

 

 

ブグロー
19世紀フランスアカデミズム絵画の画家です。

この頃、フランスでは
印象派ポスト印象派キュビスム
が流行します。

 

 

それでブグローの絵ような神話のワンシーン
を緻密に描くようなアカデミズムは
退潮します。

 

 

印象派が人気の日本ではモネやルノワールの
陰に隠れ、ややマイナーですが
絵を描く人にはファンも多いんですよ

ブグローの絵は可憐で上品なものが多いです。

 

 

この可愛い作品は上野の国立西洋美術館
でも見られます。

アンドリュー・ワイエス

 

 

 

アンドリュー・ワイエス
20世紀アメリカで活躍した画家です。

 

 

アメリカの田舎のをアメリカ人の原風景
として描き、日本でも人気の高い作品を
多く作っています。

 

 

ニューヨーク近代美術館(moma)にも
コレクションされており

名実ともに優れた画家といえます。

 

決して豊かでない人々や、当時差別を
受けていた黒人などをモデルにした作品も
多く、ヘイトスピーチが問題となる今こそ
見るべき作品かもしれません。

 

 

 

ワイエスは水彩、テンペラ、鉛筆の作品
が主で、優れた質感の描写、光の表現が
特徴です。

鉛筆によるドローイング作品も名作が多く
絵を学ぶ人にとっても注目の画家のひとりです。

 

 

 

 

 

アントニオ・ロペス

 

 

 

アントニオ・ロペス20世紀スペインを
代表する写実画家の一人です。

 

 

先ほど紹介した、サンチェス・コタンや
ベラスケス
などの伝統を受け継ぐ
スペインリアリズムの画家で
日本でも個展が開催されました。

 

 

ワイエス同様、鉛筆デッサンの作品も
傑作が多く、絵を学ぶ人にとっても
注目の画家です。

 

 

 

 

鉛筆で描いたとは思えない繊細さと
劇的な光の表現が
とてもスペインらしい作品ですね。

森本草介

 

 

これまで、欧米の写実絵画を紹介してきました。

写実絵画の傑作は門外不出のものも多いため
日本で見られない絵も多いですね。

 

そこで、ここからは、日本でも見られる
現代日本の写実画家を紹介します。

 

 

森本草介は現代日本の写実絵画の大家で
ファンも多くとても有名な画家です。

 

 

セピア色の空間はとても優しく、繊細で
日本人らしい洋画家といえそうです。

青木敏郎

 

 

 

 

青木敏郎は私が最も影響を受けた
画家の一人です。

 

 

これまで、紹介したフェルメールや
ヤン・ダフィス・デ・ヘーム
などの

17世紀オランダ絵画
の系譜を感じる作品を
描いています。(実際、フェルメール作品を
模写しにオランダへ出向いたそうです)

 

 

緻密なグラデーション、光、質感表現が
特徴で、オランダ絵画のような
空気感を感じます。

磯江毅

 

 

磯江毅サンチェス・コタンやロペスなどの
スペインリアリズムの伝統に強く
影響を受けた画家です。

 

モチーフの設定もサンチェス・コタン
のようにボデゴン(厨房画)的です。

 

磯江毅の作品はスペインバロック絵画
のような厳かで、神秘的な魅力を
持っています。

(実際スペインで絵画を学んだようです)

 

森本草介、青木敏郎、磯江毅の名作は
ホキ美術館
で見ることができます。

 

是非本物を見たいですね!

まとめ

 

 

今回はルネサンスから現代までの
写実絵画の巨匠を時系列で紹介しました。

お気に入りの画家は見つかりましたか?

 

それではまた!

 

 

 

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