古代ローマ美術ときいて
皆さんは何を真っ先に思い浮かべる
でしょうか?
どうも 絵画をたしなむ を
運営する画家の黒沼です。
これまで、記事を書いてきて
画家の名前を引用して
説明したりすることが結構あり、
話が専門的になりすぎる
ということが気になっていたので、
今回も西洋美術史についての記事を
易しく書いていこうと思います。
初心者でも、玄人でも楽しめる
記事を目指して頑張って書いて
いきたいと思います!
今回は古代ローマの美術
について解説します!
当時の音楽とともにお楽しみください!
目次
古代ローマ以前のエトルリア美術
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/コロッセオ(イタリア)1-300x207.jpg?resize=512%2C353)
古代ローマはどんな場所だった
のでしょうか。
イタリア半島にはローマが繁栄する以前、
エトルリア人が住んでいました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Etruskischer_Meister_0021-300x220.jpg?resize=495%2C363)
エトルリア人は非常に陽気で、
ギリシャの影響を受けながら、
現世的、享楽的な美術を残しています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/etruscan-terracotta-votive-head1-300x200.jpg?resize=452%2C301)
エトルリア人はテラコッタ焼きを
得意としたようで、
多くのテラコッタ作品を残しています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Capitoline_Brutus_Musei_Capitolini_MC11831-225x300.jpg?resize=350%2C467)
エトルリア美術にはこのような
自然で、写実的な表現
という特徴もあります。
ローマの美術はこの
エトルリア美術とギリシャの美術の
コピーが合わさり発達しました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/olympicgames_324-252x300.jpg?resize=305%2C363)
前回、ギリシャの記事ではいくつか
彫刻を紹介しましたが、
実はそのほとんどがローマ時代の模刻
(ローマン・コピー)なんです。
ギリシャ時代のオリジナル作品は
ほぼ現存しないようです。
古代ローマ美術の彫刻作品
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/prima.porta1_-199x300.jpg?resize=340%2C513)
ローマ時代の彫刻は戦利品として
持ち帰られた、ギリシャ彫刻の
コピーを中心に展開していきました。
しかし、ローマ彫刻にもいくつか
独特の性格があります。
エトルリア彫刻から受け継いだ
写実的、現実的表現です。
ギリシャ彫刻は人間離れした
理想的プロポーションの神様の像
が多く作られました。
また神々以外で、彫刻になるのは
オリンピック選手や哲学者など、
選ばれた人たちでした。
これに対し、ローマ彫刻は
どこにでもいそうな人たちが
リアルに表現されました。
お金持ちなら彫刻にしてもらえた
というのもローマ彫刻の特徴です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/3036_31-247x300.jpg?resize=336%2C408)
ローマ彫刻は帝国の発展につれて、
よりモニュメンタル(記念碑的)
になっていきます。
それまでのリアルな表現から、
皇帝の威厳を示すための
デフォルメが加えられるわけです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/200px-0_Constantinus_I_-_Palazzo_dei_Conservatori_21-200x300.jpg?resize=360%2C540)
これはコンスタンティヌス大帝の像ですが、
全身で17m近くあります。
目は大きく強調され、
皇帝の威厳が表現されています。
この目を大きく作る ような表現的な
性格はのちのビザンティン美術に
継承されたようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/theodora_med_hr1-231x300.jpg?resize=315%2C409)
古代ローマ美術の建築
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/コロッセオ(イタリア)1-300x207.jpg?resize=499%2C344)
ローマはギリシャを含む地中海沿岸の
国々を征服しましたが、
文化的にはローマはギリシャに
征服されたようです。
彫刻を中心に数多くのギリシャの美術
がコピーされました。
しかし、建築と法律の分野では、
ローマ独自の発展を見せます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/コロッセオ(イタリア)1-300x207.jpg?resize=429%2C296)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/1093281-300x200.jpg?resize=431%2C287)
有名なコロッセオやアッピア街道には
ローマン・コンクリートという
強靭なコンクリートが使われました。
現在のコンクリート以上に堅牢な材料で、
これのおかげで、多くの遺跡が残っている
ともいえます。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/t_DSC025941-300x225.jpg?resize=444%2C333)
アーチ構造の発明も重要なポイントで、
これにより、広い室内を持つ
大規模な建築が可能になりました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/DSC053741-300x199.jpg?resize=387%2C257)
それまでは、パルテノン神殿のように、
無数の柱がないと、
屋根を支えられませんでした。
柱の数が増えれば当然、
室内空間も狭くなるわけです。
ローマ美術最大の発明はアーチ構造?
ローマ美術の最大の発明は
アーチ構造でしょう。
アーチ構造はローマ時代に
生まれました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/art-school-of-athens-1143741_1280-300x191.jpg?resize=586%2C373)
ルネサンス期の画家、ラファエロは
『アテネの学堂』という古代ギリシャを
題材にした絵画を描きましたが、
ここに古代ギリシャ時代には
まだなかったアーチが描かれています。
『アテネの学堂』は私も好きな名画ですが、
時代考証にミスがあったんですね。
古代ローマ美術の絵画
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Pompeii_Fresco_0011-300x290.jpg?resize=439%2C424)
古代ローマ美術の絵画作品は
長らく現存しないものとされていました。
しかし、街ごと灰に埋まってしまった
ポンペイの発掘のおかげで
古代ローマの絵画が見られるように
なったようです。
ローマ時代には世界最古の絵画技法
ともいわれるエンカウスティック
が登場しました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/swarm-1903243_1280-300x200.jpg?resize=534%2C356)
これは蜜蝋(ハチの巣の外壁)と
顔料を混ぜて作った絵の具で描く
技法でした。
油絵の具のような、
艶とグラデーションがあり、
↓のようなリアルな肖像画に
用いられました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/hb_18.9.2-143x300.jpg?resize=247%2C518)
この技法は200年ほど前に
ポンペイの遺跡が
フランスの調査団により発掘され
見つかった技法で、
当時のフランスで大流行しました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/IMG5_convert_20100127175328-300x208.jpg?resize=478%2C331)
また、40年ほど前のアメリカの画家、
ジャスパー・ジョーンズも
この技法を用いて制作しました。
絵画らしさを素材感に求めた
ジャスパージョーンズは
世界最古の絵画技法で、
アメリカ国旗というイメージを
描いたんですね。
ローマ時代の絵画は
ポンペイの発掘まで謎のままでした。
ローマ時代の絵画はギリシャ時代の
絵画同様、
ほとんど現存していなかったんですね
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/italy-1955835_1280-300x200.jpg?resize=437%2C291)
しかし、ヴェスヴィオ火山の噴火で、
街ごと灰にうもれたポンペイでは、
当時の状態で絵画も灰の中で
保存されていたんです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/68d6e31d1-300x188.jpg?resize=476%2C298)
ポンペイの絵画は、赤い背景
のものが多く、
『ポンペイの赤』と呼ばれています。
また、石の壁や窓をリアルに描いた、
だまし絵のような絵画も多く、
絵画がインテリアの一部として
機能していたようです。
リアルな奥行きをもった絵画を
壁に描いて、
部屋を広く見せようとしたんですね。
まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/rome-1520894_1280-300x200.jpg?resize=399%2C266)
古代ローマ美術について今回は解説しました。
ローマ美術の特徴をまとめると
・実用的な優れた建築技術
・エンカウスティックによる写実的な絵画表現
という感じですね。
ローマ時代の美術はローマ人の
陽気な性格が垣間見えるような
作品がたくさんあり、
とても楽しいですね。
中にはこんなものまで…
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/IMG_7753111.jpg?resize=340%2C256)
次回は初期キリスト教美術について解説します。
それではまた
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)