どうも 絵画をたしなむ
を運営する画家の黒沼です。
これまで、記事を書いてきて
画家の名前を引用して
説明したりすることが結構あり、
話が専門的になりすぎる
ということが気になっていたので、
これから西洋美術史についての
記事を易しく書いていこうと思います。
初心者でも、玄人でも楽しめる
記事を目指して頑張って
書いていきたいと思います!
今回は初期ルネサンスの美術
について解説します!
当時の音楽とともにお楽しみください!
目次
西洋美術史の基本?ルネサンスってそもそも何?
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/leonardo-perspective-300x169.jpg?resize=392%2C221)
中世の絵画には、十字架で苦しむキリストや、
涙を流すマリアなど、
人間の罪深さや弱さを表現した
モチーフがよく選ばれました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/fff-300x163.jpg?resize=390%2C212)
古い時代のヨーロッパには
キリスト教を中心とする、
「偉大な神と、罪深い人間」
という世界観のヘブライズムと
古代ギリシャの文化を中心とした
「合理的な精神をもった自由な人間」
という世界観のヘレニズムの
2つの思想がありました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20120819_2071-225x300.jpg?resize=269%2C359)
古代はヘレニズムが、
中世はヘブライズムの影響が
強かったわけです。
ルネサンスは
「古典古代の復興、再生」を
目指す運動でした。
当時、商業都市として成功した
フィレンツェを中心に、
人間の可能性や自由を表現する
流れが生まれたようです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/florence-1655830_12801-300x127.jpg?resize=477%2C202)
フィレンツェの活気に満ちた
市民たちとヘレニズム的思想は
相性が良かったんですね。
また、当時のヨーロッパでは
キリスト教の教会勢力により
古代ギリシャの思想が隠蔽
されていました。
古代ギリシャの思想は
当時のキリスト教の教会にとって
都合が悪い物であったようです。
しかし、その頃イスラム世界では
学問が発展し古代ギリシャの思想
の研究が盛んに行われていました。
また、北アフリカにあった
アレクサンドリアの図書館には
ヨーロッパでは抹殺、隠蔽されていた
古代ギリシャの文献が
数多く眠っていました。
地中海貿易で、非ヨーロッパ世界
と盛んに交流していたイタリア
の諸都市国家では、
そのあたりのルートから
古代ギリシャの思想が流入
してきていたようです。
しかし、ルネサンス思想は
単なる古典古代の模倣に
とどまりませんでした。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/M4kMN5RbDg4vxmPzLWbofz1-239x300.jpg?resize=239%2C300)
古典古代を参照しつつ、
当時発達しつつあった、科学的、
合理的知見を持って古典古代を
超えることを目指していました。
初期ルネサンス3大巨匠
ルネサンス3大巨匠と言えば
レオナルド・ダ・ヴィンチ、
ミケランジェロ、ラファエロ
が有名ですね。
しかし、これは盛期ルネサンスの
3大巨匠なんです。
初期ルネサンスには
建築、絵画、彫刻の分野で
秀でた3人がいました。
建築家のブルネレスキ、
画家のマザッチョ、
彫刻家のドナテルロの3人です。
この三人はまとめて
初期ルネサンス3大巨匠と
呼ばれています。
初期ルネサンス3大巨匠 ブルネレスキ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/leonardo-perspective-300x169.jpg?resize=411%2C232)
漫画を描かれている方にはお馴染みの
パース(線遠近法)を生み出したのは、
建築家のブルネレスキでした。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/cdccf34ad29e47cd0367f9cbc431269b_l1-300x200.jpg?resize=407%2C271)
ブルネレスキは
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
のドーム建設で有名です。
この建築は当時、非常に斬新な工法
をとっていることで有名でした。
このドームは頂点に重しとして
塔が乗っていますが、
これは非常に型破りな
アイデアだったようです。
ドームの上に重しを置くと、
より安定した構造になる
というのは彼が初めて
実用したそうです。
また、このドームは
下かららせん状にレンガを
積み上げて作られました。
ちょうどソフトクリームを
コーンの上に作る時の
ような感じですね。
この工法も、当時はとても
斬新なもので、今日では
常識になっている工法のようです。
様々な斬新な工法を編み出した
ブルネレスキですが、
0から全てを生み出した
わけではないようです。
ブルネレスキもまた、
ルネサンスの巨匠らしく
古代ローマを参照して
制作していました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/RIMG120112-300x184.jpg?resize=372%2C228)
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
のドームは
古代ローマのパンテオンを
参考に作られたようです。
初期ルネサンス3大巨匠 マザッチョ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/firenze115.jpg?resize=223%2C329)
マザッチョもブルネレスキ同様、
様々な斬新なアイデアを
実用した画家でした。
マザッチョはブルネレスキが
発見した線遠近法(パースペクティヴ)
を初めて絵画に応用しました。
また、マザッチョは初めて
絵画にサインを入れた画家
としても有名です。
この頃から、画家や彫刻家、建築家
が歴史に記録されるアーティスト
にかわります。
(これ以前の時代は、彼らは職人で、
手を汚しながら働く低い階級だと
みなされていました。)
初期ルネサンス3大巨匠 ドナテルロ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/donatello_george-213x300.jpg?resize=280%2C394)
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/20160615_1715718-300x263.jpg?resize=300%2C263)
ドナテルロは石膏像にもなった、
ガッタメラータ像やジョルジョ像
で有名な彫刻家です。
ドナテルロの彫刻は
「古代以来の肉体を持つ」
と言われています。
ロマネスク期やゴシック期の記事でも
書いたように、中世の彫刻は
建築の柱の一部であるもの
がほとんどでした。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/img_41-300x225.jpg?resize=300%2C225)
これに対し、ドナテルロの彫刻は
柱がなく、自立しています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Donatello-TuttArt@-6-182x300.jpg?resize=255%2C420)
片足重心の自然なポーズ
(コントラポスト)が
古代彫刻の特徴でした。
ドナテルロの彫刻もコントラポスト
の自然な表現だったので
「古代以来の肉体を持つ彫刻」
と呼ばれたんですね。
初期ルネサンスの有名な画家たち
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/art-materials-1850856_1920-300x200.jpg?resize=390%2C260)
アルベルティ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Leon_Battista_Alberti.jpg?resize=278%2C552&ssl=1)
アルベルティは特に建築の分野で
優れた業績を残しました。
ルネサンスの巨匠らしく、
アルベルティも古代建築を
参照しつつ、
それを乗り越えるような
建築を作っています。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/nashville-1651731_1920-300x199.jpg?resize=381%2C253)
建物の頂点に載っている三角の屋根は
破風と言いますが、
これはパルテノン神殿にもありましたね。
サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂は
古代ギリシャ風の破風、古代ローマ風の
アーチ+中世の教会のバシリカ様式
(中央が上に飛び出し、そこに窓を開けた建築)
で作られています。
アルベルティは典型的なルネサンス的天才、
つまり万能人でした。
『絵画論』、『彫刻論』、『建築論』は
後の芸術家に大きな影響を与えたようです。
レオナルド・ダ・ヴィンチも
アルベルティの理論から多くを学び、
制作し「万能の天才」と
呼ばれるようになったようです。
ヴェロッキオ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/o0509090912943274514.jpg?resize=339%2C605&ssl=1)
ヴェロッキオは
レオナルド・ダ・ヴィンチや
ボッティチェリの師匠として有名です。
当時の絵画や彫刻は一人の作家が
完成まで手掛けるのではなく、
親方と徒弟からなる工房が
チームワークで行いました。
ヴェロッキオ工房も絵画や彫刻
など多くの作品を受注制作していました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/ve041-242x300.jpg?resize=267%2C331)
レオナルド・ダ・ヴィンチが工房に入り、
天使を描かせるとずば抜けた才能を
発揮しました。(左下の左の天使です)
これをきっかけにヴェロッキオは
絵筆を折り、彫刻に専念した
というエピソードはとても有名です。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/VerrocchioDavid1-171x300.jpg?resize=239%2C419)
因みに彼の本業の彫刻作品はこんな感じです。
このダヴィデ像は
レオナルドダヴィンチがモデル
だと言われています。
ポライウォーロ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/37bf75aa95c9cecf3e1a7435b3c5130a-italian-renaissance-renaissance-art-225x300.jpg?resize=292%2C389)
ポライウォーロはヴェロッキオ
のライバルで、当時有名な彫刻家でした。
人体研究のためにはじめて解剖
を行った芸術家としても有名です。
ちなみに、ポライウォーロとは
「鶏肉屋」という意味らしく、
解剖を行っていた彼らしい
あだ名がつけられたんですね。
フラ・アンジェリコ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/09-300x233.jpg?resize=348%2C270)
フラ・アンジェリコは画家である
と同時に修道僧でした。
ルネサンス期の合理的、科学的な
見方にはあまり興味を持たず、
神の世界への信仰心をより優雅に、
より甘美に描くことに
心を砕いていたようです。
ボッティチェリ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/ルネサンス期-300x192.jpg?resize=388%2C248)
ボッティチェリはギリシャ神話を
モチーフとした名作を数多く描きました。
これは当時、経済的に繁栄した
フィレンツェの裕福な市民への
注文に応えたものでした。
キリスト教からみれば異教である
ギリシャ神話のモチーフが描かれたのには
メディチ家などの世俗勢力の台頭
のおかげだったようです。
初期ルネサンス美術まとめ
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/11/Donatello-TuttArt@-6-182x300.jpg?resize=182%2C300)
今回は初期ルネサンスの
美術について紹介しました。
レオナルドダヴィンチや
ミケランジェロの先輩にあたる、
彼らの作品も、中世とは
一味違う魅力的な作品が
たくさんあるんですね。
初期ルネサンスの特徴をまとめると
・解剖学を彫刻へ応用した
・幾何学的遠近法を絵画に応用した
という感じですね。
次回は盛期ルネサンスについて紹介します。
それではまた
↓西洋美術史についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/画家と美術史-300x176.jpg?resize=725%2C422)