絵画の価値がわからない!現代アートがワケわからないワケ

 

 

恋する主人公の周りで花が咲く

間抜けなキャラの頭に
タライが落ちてくる

欧米人はこれらの意味が
全くわからないらしいです。

現代アートはわからない

これらはギャグマンガやアニメを
見慣れた日本人にとっては
なじみ深い表現ですが、

欧米人にとっては
理解できないんですね。

「えっ なんで突然、
タライが出現した?」

みたいな混乱状態になるそうです。

 

あなたが現代アート作品を作って、
お母さんに見せたとき、
同じことが起こります。

 

現代アートがわからない原因

近現代アートの鑑賞経験の乏しい
日本人にとって、現代アートの表現とは、

欧米人にとってのギャグマンガにおける
タライみたいなもので、
唐突で意味不明な表現なわけです。

 

そんな中、美大の中や、
現代アートの批評の世界のなかでは、

ほとんどの人にとって唐突で
意味不明な表現について
議論が展開されています。

まさに、オタクの世界です。

 

 

現代アートはわからない上にキモイ

無数に存在するあらゆるアニメを見た、
オタクたちが、アニメの中の名ゼリフの
引用だけで会話している。

そんな場面を想像してみてください。

 

キモいですよね。
(個人的には大好物です笑)

こういう、他者と分かり合う気ゼロ
みたいなマニアックな世界観も
嫌いではないですが、

学生のうちに卒業すべき
世界だとは思います。

 

現代アートはわからない上に役に立たない

現代アートがキモい理由はこんな感じで、

狭いサークルの中でほとんどの人にとって
どうでもいい上に

大して社会をよくするわけでもない
「高尚ぶった」議論が展開されている
からなんです。

 

我々は青色発光ダイオードのメカニズム
について説明出来ませんし、
どうでも良いと思っているでしょう。

しかし、青色発光ダイオードの
専門家たちは、専門家にしかわからない
議論を重ねることで、

これを発明し、社会を豊かに
してくれました。

 

彼らはとても役に立つ専門家なわけです。

 

それに比べると現代アートの
専門家たちは…

 

そんなわけで、私は役に立つ
美術の専門家を目指すことにしました。

飾りやすい、売れる絵を
描く画家になりました。

 

 

現代アートはわからないでも俺は好き

現代アートは全く社会の役に立たない
とは思いませんが、少なくとも

日本のほとんどの人たちにとっては、
唐突で意味不明な表現といえるでしょう。

これは個人的な印象ですが、
今の現代アートに価値を感じる人たちは

1970年代のニューヨークの雰囲気に
ノスタルジーを感じる人だけだと思います。

「あの頃は俺も青春してたなー」
みたいな

 

ここまで散々ディスってきましたが

個人的には、こういう自分のまわりでだけ

文脈を共有した深~い仲間内でだけ
成立するコミュニケーションはステキだと
思いますし好きです!

 

私もきっと還暦を迎える頃、
ラノベ原作アニメのキーホルダー

とか見てノスタルジー感じるのかも
しれません笑

 

絵画の価値がわからないわけ

ここまでは現代アートがよくわからない
理由についてお話ししてきましたが

ここからは、その前提である、
絵画がよくわからない理由を
深堀りしていきます。

 

絵画は特にハイコンテクスト

「ルネサンス」、「新古典主義」、
「ゴシックリバイバル」

美術史に詳しい人はこれらの用語を
きいたことがあるかもしれません。

これらは全て、別の時代に
ヨーロッパで起きた

「昔の美意識を思い出す運動」
なんです。

 

ルネサンス

ルネサンスは今から7,800年前に
イタリアを中心にヨーロッパで
展開した、

古代ギリシャ、ローマの文化を
復興する運動です。

 

ルネサンス以前のヨーロッパは
キリスト教の世界観全盛の
「中世」でした。

聖書を中心とするキリスト教の
世界観(ヘブライズム)は、
大まかに説明すると

人間の罪深さ、無力さが強調され、
神への信仰によってのみ人は救われる。

 

という現代人の我々からすると、
弱気でやや卑屈な(謙虚とも言えますが)
なものでした。

 

これに対し、古代ギリシャの思想
(ヘレニズム)は人間の理性や合理的思考力
を高く評価する、

人間の可能性に注目した思想でした。

 

ルネサンス期には遠近法や、航海術、
活版印刷技術、万有引力の法則などなど

近代科学の礎となるような発見や
進歩が数多くの分野で見られました。

 

この時代には、キリスト教的な世界観
よりも古代ギリシャ的な世界観が
マッチしたのです。

そこで、古代ギリシャ、ローマの文化を
復興しよう!そんな潮流が
ルネサンスでした。

 

新古典主義

今から200年くらい前、
「1804(いばれよ)ナポレオン」の時代、

ヨーロッパで古代ギリシャの遺跡が
数多く発見されました。
(ポンペイやへラクレネウムなど)

 

エジプト遠征の時にロゼッタストーンを
持って帰ってきちゃうくらい、

古代文化が好きだったナポレオンは
アンピール様式なる、

 

古代ギリシャ風の堂々たる装飾で
ブランディングをしていました。

これをヒトラーもマネして、
古代ギリシャ風の建築様式で議事堂を
作って、

権威付けをしたりしていますが、

 

こんな感じで、「古代ギリシャ様式」は
様々な時代の権力者のブランディングに
活用されています。

 

ゴシックリバイバル

日本のオタクカルチャーでも登場する、
ゴスロリの「ゴシック」は

この時代の不気味な雰囲気の
建築様式が元ネタです。

 

「ノートルダムの鐘」に出てきた大聖堂
は不気味なほど高くそびえていますよね。

どうやら近現代の人間にとっては
ゴシック=不気味というイメージが
あるようです。

 

ゴシックリバイバルとは今から
200年ちょっと前にイギリスで起きた、
中世のゴシック様式の復古運動です。

この時期以降、様々な時代の様式の
復古ブームが短期間で
数多く消費されていきます。

 

簡単に言うと、全く新しい、
見たことない、すごいものを作ろう
としたけど、

思いつかないので、既にあるものを
下敷きにして、新しいものを作ろうと
努力してみた。という感じなんです。

 

異世界転生モノのゲームやアニメが
近代以前の外国の風景を参考にしたもの
が多いのも、

同じような理由かもしれません。

 

西洋美術史は引用の連続

とまあ、このような感じで西洋美術史は
定期的に古代ギリシャ・ローマの文化や
中世の聖堂の様式を引用しながら、
進んできたわけです。

 

時代が現代に近づくほど、蓄積された
文脈(コンテクスト)も増えていき、

絵画の表現は難解でハイコンテクストに
なっていきます。

 

古代の文化も、中世の文化も、
近代の文化も、よく知っている人しか、

ぐっとこない作品が
生まれてくるわけです。

 

たぶんグリンバーグのせい

「アメリカは歴史がないから~」

きっとクレメント・グリンバーグは
当時こんなヨーロッパ人の態度に

コンプレックスを持っていたんだ
と思います。

 

ここまで、説明してきたように、
ヨーロッパには古代ギリシャから
続く長ーいん美術の歴史がありました。

しかし、新大陸のアメリカには、
そんな文化の蓄積したヨーロッパと
張り合えるようなアートがなかったのです。

 

2度にわたる世界大戦で戦勝国となり、
政治的、経済的にリードしたアメリカ
でしたが、

文化的にはヨーロッパにコンプレックス
をもっていたようです。

 

アメリカは歴史がないから、アメリカ発
のアートが出てこない…

1950年代はそんな空気だったのでしょう。

 

そんな空気を一変させたのが、批評家の
クレメント・グリンバーグでした。

彼の功績はジャクソン・ポロックを
批評の力でスーパースターにしたことです。

これまでのヨーロッパのアートの文脈を
否定した「アクションペインティング」や

画面から中心と周縁という秩序を排した
「オールオーバー」という概念で
ポロックの絵画を擁護し、

アメリカ発のアートを
プロデュースしたのです。

 

これはこれまでのヨーロッパのアート
の文脈を全く否定したものでした。

 

ポロックの作品を「宇宙から来た絵画」
という方がいたようですが、

これは本当にヨーロッパのそれまでの
絵画とは脈絡のないものだった
からなのです。

 

そして、これ以降、アメリカはアートの
分野でも、

世界一の影響力を持っていきます。

 

そして、グリンバーグがやったように、
アート作品の価値は作家の腕前よりも

プロデュースによって生み出される
ようになっていくのです。

 

現代アート作品に桁違いの値段が
付けられ、時々話題になります。

「なんであんなワケわからん作品に
あんな値段が付くのか?」

 

そう思う方も多いかもしれませんが、
あれはプロデュースにより

創造された価値なのです。

 

すごいと言われたものがすごい
価値があると言われたものに
価値が認められる

ということなんですね。

インスタレーションアートとは

インスタレーションアートは
そんなオークション主導で価値が決まる

アートの世界に問題提起すべく
生まれた作品ジャンルです。

 

インスタレーションアートとは
あるものを特定の場所、特定の状態で
配置することで意味を持ちます。

場所の特殊性(サイトスペシフィック)
が重要なのです。

 

インスタレーションは形式上、
取引の対象にできないので、

それを利用して金融資本主義とアート
の結びつきを批判しようとしたようです。

 

でも、インスタレーション作品の
設計図が取引の対象になったり
しているようです笑

絵画やアートは舶来品?

「なんかキラキラしててすごい!綺麗!」

大陸から仏教文化が入ってきたとき、
日本人の多くの女性は素朴にそう思って、

「仏教」という舶来品を
ありがたがったそうです。

 

後に、仏教は女性に不利な様々な戒律
があることに気づくそうですが…

 

日本人が舶来品にある歴史的、文化的背景
を気にせず、寛容に受け入れるのは
歴史上何度も見られることのようです。

 

「アートの価値がよくわからない…」
それもひょっとしたら、

我々が日本人だからかもしれません。

 

欧米の文化であるartは明治時代に
突如日本に輸入されました。

 

日本人が
「油絵=ゴテゴテ塗るゴッホ風の絵」
というイメージを持っているのも、

この日本にartが輸入された時期が
印象派の時代だったからなんです。

 

油絵を固練りの状態で厚塗りする
というのは油絵具の使い方の一つに
すぎません。

ちなみにトロトロの状態の透明感あふれる
油絵具を薄く何層も重ねるような描き方
の方が歴史は長いです。

 

そんな感じで、絵具の使い方ひとつ
とっても、日本人が持っている
洋画のイメージは偏っています。

洋画を輸入した時も歴史的、文化的背景
を気にせず、寛容に受け入れたようです。

 

印象派の時代に突如もたらされた
ヨーロッパの絵画の文法や歴史を

うまく取り込めていない、
その背景を知らないというのも

 

「アートがわからない」
理由の一つだと思います。

 

グロービッシュという過激な概念

「自分は日本人だから英語なんて
出来なくても良いもん。」

「なんで、日本人なのに英語なんか
やらなきゃいけないの?」

中学生の頃、そんなことを言って
英語の補講から逃げようとしている
友達がいました。

 

当時は「しょうがない奴だなー。」
としか思っていなかったのですが

グロービッシュという概念を知った時
彼の不満のおおもとには深い歴史的
背景があるなと思うようになりました。

 

グロービッシュとは、
国際共通語としての英語
という意味なのですが、

これは、イギリスが19世紀の段階で
世界中を植民地支配した、我々の生きる
この世界線では「英語は話せて当然!」

という圧力を含んでいるように思えます。

この圧力がなければ確かに

英語の補講から逃げたかった彼が
そんな不満を抱かずに済んだ
かもしれません。

 

とまあここまでは冗談なのですが、
グロービッシュという概念

というか、英語が世界共通語として
使われている事実が不都合に思える
ケースは身近に存在します。

 

例えば、このブログ、
日本語で書かれた文章である以上
読むのはほぼ全員日本人です。

しかし、私が英語圏に生まれた
英語のネイティブスピーカーだったら

おそらく、このブログを全て英語で
書いています。

 

すると何が起きるか、世界中の英語話者
がこのブログを読む可能性が
出てくるのです。

するともちろん、同じ作業量で
入る広告費も変わってきます。

ブログによる集客力などの
手に入る影響力も変わってきます。

 

この不均衡が最もわかりやすく
現れているのがYouTuberです。

日本のトップYouTuberは数百万人の
登録者が限界ですが、

英語圏のYouTuberは数千万人の登録者
のチャンネルも結構あるのです。

 

世界共通語が母国語の人間は
現代でも稼ぎやすさという

わかりやすい恩恵を
受けているのです。

 

日本人にとってアートがわからないのは
アートのルールが西欧由来だからです。

しかし、今の世の中のルール全体が
西欧由来というのも一つの現実と
言えるでしょう。

 

ホルホル系番組の裏側

 

舶来品を寛容に受け入れて、
ありがたがる日本人の癖は

現代のテレビ番組でも見られます。

最近は少し減りましたが、一時期

「海外から日本に来た外国人が
日本の素晴らしさを語る」番組が

巷にあふれていたことがありました。

 

外国人から有難い舶来品を頂戴した時と
同じように、外国人から褒められると、

喜ぶんだなーと、この現象を見て
思ったりしました。

 

絵画に高い価値、値段が付く理由

国産絵画の価値は高い?

絵を描く人が知っていて、
絵を描かない人は知らない

一つの重要な事実があります。

 

それは、絵を描くのには
時間がかかるということです。

 

材料費と額代にコンビニの時給×制作時間
を足しただけでなかなかのお値段に
なってしまうのです。

 

ここに、技術料と展覧会準備費用の
一部を載せると…

納得のお値段になるのです。

 

材料の生産販売、額縁の生産販売、
画廊の運営、絵の配送業者といった、

展示を実現させるのに携わっている
日本人は作家以外にもたくさんいます。

 

すると、その日本人たちを支えるために、
それぞれのサービスの料金は
高くならざるを得ません。

それら経費を回収しようとすると、
絵画は高額になるのです。

 

全てはぐっとくるかどうか

 

私の父は非常に淡白で冷静な人間で、
ボヘミアンラプソディーの映画を見ても、
そんなに感動していませんでした。

しかし、我が娘のダンスサークルの
引退公演ではウルっときたようです。

 

娘のダンスも勿論すばらしかった
かもしれませんが、

きっとボヘミアンラプソディーの映画
だって、それに負けない素晴らしい
出来栄えだったはず。

なぜなのか。

 

この現象が「アートの価値がわからない」
という謎を解明してくれます。

 

人は感動する時、対象物の出来栄えの
素晴らしさだけによって
涙するのではないのです。

 

人はアートを鑑賞する時、それまで
その人が見てきた、経験してきた全ての

「個人的な文脈、経験」とアートを
重ね合わせて見てグッとくるのです。

いわば、シチュエーション萌えです。

 

つまり、父は幼い頃からずっと
ダンスを習ってきた我が娘の姿、

という個人的な記憶と、今目の前で
起きている娘の引退公演を重ね合わせて、
鑑賞してグッと来たわけです。

 

欧米の美術批評家が、絵の具をぶつけた
だけの絵を見てグッとくるのは、

これまでの個人的な絵画鑑賞の経験や
自分の人生の文脈とアート作品を
重ね合わせて鑑賞しているからなのです。

 

つまり、優れたアートとは
人生経験豊富な文化人1人の人生経験と

同じくらいの価値があるかけがえのない
プライスレスなものなわけです。

 

優れたアートに桁違いの価値がつく
メカニズムが見えてきたでしょうか?

 

アートの価値がわからないのは恥ずかしくない

 

まとめると「アートの価値がわからない」
のは、そのアートが生まれるに至った

歴史的、文化的背景を知らず、過去の
時代の作品の鑑賞経験が少ないから

と言えるでしょう。

 

なので、「アートの価値がわからない」
からといって、

「私はセンスがないのかも、
恥ずかしい。」

なんて思う必要はないと思います。

 

オタク度が足りないだけなのです。笑

 

 

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