どうも黒沼です。
さて、最近は続けて
西洋美術史シリーズを書いています。
美大に通う私が美術史の授業、教授の話
本で手に入れた美術史情報をアップして
いくので、チェックしてみてくださいね。
今回はのダダイズム
について解説します。
当時の音楽とともにお楽しみください。
目次
ダダイズムとは
ダダイズムは第一次世界大戦中の中立国スイス
のチューリヒで起こります。
チューリヒを発し、運動はニューヨーク、
ベルリン、ハノーヴァーと欧米中に飛び火
していきます。
ダダイズムの特徴は
それまでの芸術の否定でした。
これは、あらゆる芸術運動の持つ特徴です。
リアリズムはロマン主義を
ロマン主義は新古典主義を
新古典主義はロココ様式を
ロココ様式はバロックを
バロックはルネサンスを
というように芸術運動は前の時代を
否定しながら展開します。
しかし、ダダイズムは
人間の理性そのものをも否定しました。
これはそれまでにはなかったことでした。
理性の発展の賜物であった科学による
大量殺戮を目の当たりにした
第一次世界大戦期の欧米人は
理性に絶望していたんですね。
近代以降、神に代わって信仰対象となった
理性の否定は人間の文化、意識
あらゆる作為の否定へつながります。
芸術でも、世相を反映し、作為を排した
偶然性に頼った作品や、無意味な物を作品
とする作品などが登場します。
マルセル・デュシャンの泉は小便器に
サインをして作品としたものでした。
美を目的に作られたものでない
既製品(レディメイド)にサインのみを施し
提出することで無作為の芸術
を生んだんですね。
無意識の発見
当時の最新の科学的発見の一つに
無意識がありました。
フロイトとユングによる無意識の研究は
当時の芸術家に大きな影響を与えました。
ユングの提唱した集団的無意識によれば、
人の無意識の世界は繋がっているようです。
当時の芸術家はこの人類普遍の無意識の
世界へアクセスしようとします。
この時取られた技法のひとつが
自動筆記(オートマティズム)でした。
自動筆記(オートマティズム)とは、超高速で
単語をを書き連ねるや、寝ぼけた状態や
酩酊状態で単語を書き連ねるなどの方法
をとり、意識的な筆記では思いつかない
言葉の組み合わせを発見する方法です。
チューリヒ・ダダ
ダダの名付け親で、詩人のトリスタン・ツァラ
らがチューリヒのキャバレー・ヴォルテールで
集まり、美術の議論とパフォーマンスを行い
発足しました。
ダダはトリスタン・ツァラが辞書でたまたま
見つけた単語を選んだという説が有力です。
当時のダダの集会は明確な理論や宣言もなく、
第一次世界大戦への反発から集まった者の
乱痴気騒ぎであったようです。
ニューヨーク・ダダ
マルセル・デュシャンのニューヨーク・ダダ
は当初、ダダとしての自覚を持ちません
でした。
しかし、その反骨的精神から次第に
周囲からダダと呼ばれるようになりました。
ベルリン・ダダ
ベルリンでのダダは反芸術としての毛色
は弱く、主に政治的、社会的運動でした。
他にもケルン・ダダ、パリ・ダダ、
オランダ・ダダなど各地で運動が展開
されました。
ダダイズムの終焉
ダダの運動は当初こそ新鮮でしたが、
戦争の終息と社会の安定化により
終わります。
しかし、ダダイズムは既成概念、
固定観念を徹底的に破るという役割を
アートに持たせたという意味で
有意義でした。
この発想は後にシュールレアリスムや
コンセプチュアルアートなどに
引き継がれます。
ダダイズムの有名作家
マルセル・デュシャン
マルセル・デュシャンは『泉』で便器という
既製品(レディメイド)を選ぶことを通し、
作家と鑑賞者の間に起きる観念自体を
作品だと主張しました。
『ジョコンダ・L・H・O・O・Q』では
西洋絵画の代表格であるモナリザの複製画に
ヒゲを描き足し、全ての絵画は支持体と
絵の具の塊のオブジェに過ぎない
と主張しました。
従来まで「美の追求の結果」としての絵画
を物と同格にしてしまったんですね。
フランシス・ピカビア
フランシス・ピカビアは作品スタイルが
どんどん変わったことで有名です。
ダダイズムの時代はニューヨークで
活動しました。
↑は芸術的エネルギー供給を
図式化した作品だそうです。
ハンス・アルプ
ハンス・アルプはフランスの彫刻家で
偶然の法則に従って四角い紙を配した
コラージュ作品だそうです。
1枚1枚紙を置いてそのたびごとに受ける
インスピレーションで制作を進める
というような作品だそうです。
マン・レイ
マン・レイはダダイズム、
シュールレアリスムの作家として
ニューヨークやパリで活躍しました。
マン・レイは油彩、写真、映画
などなど多彩な技法で制作しました。
マン・レイは写真家としての業績が
特に有名で、ソラリゼーション
という白黒を反転させた技法
で知られています。
ハンス・リヒター
アルフレッド・スティーグリッツ
ラウル・ハウスマン
ジョージ・グロス
ジョン・ハートフィールド
クルト・シュヴィッタース
まとめ
今回はを紹介しました。
の特徴はまとめると
・既製品の選択という方法で、画家による美の追求を相対化した。
・作為を否定し、偶然性を制作に取り込んだ。
といった感じですね。
次回はにシュールレアリスムついて
紹介します。
それではまた。
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