【ポスト印象派】ゴッホやゴーギャン、セザンヌなどの有名作品を解説

ポスト印象派の画家をどのくらいの
方が知っているでしょうか?

印象派ではなく、ポスト印象派です。

ポスト印象派は画家たち個人の
名まえの方が圧倒的に有名なので、

ポスト印象派という言葉を
よく知らない人も多いかもしれません。

 

前に日本人が好きな画家ベスト5を
取り上げたテレビ番組が
やっていたんですが、

第1位はゴッホでした。

 

 

日本人はラッセンより普通に
ゴッホが好きなんだなー

と思いました(笑)

 

因みに、2位がモネで、3位がピカソ
だったので、やはりラッセンより

普通にピカソが好き
ということにもなりますね(笑)

 

日本人が好きな画家についてはコチラ

 

さて、最近は続けて、
西洋美術史シリーズを
書いています。

美大に通う私が美術史の授業、教授の話、
本で手に入れた美術史情報を

アップしていくので、
チェックしてみてくださいね!

 

今回はポスト印象派の美術
について解説します!

日本人が最も好きな
画家ゴッホも登場しますよ!

 

目次

ポスト印象派とは

ポスト印象派とはどんな
流派なんでしょうか?

ポスト印象派は1886年~1905年に
フランスで活躍した画家たちを総称
する便宜的な名称です。

 

前の時代の様式を批判的に乗り越えて、
新たな様式は生まれるというお話を
写実主義の記事でしましたが、

今回紹介する、ポスト印象派
印象派を脱することで成立しました。

(印象派を継ぐものではなく、印象派の
影響を受けつつも独自の作風を展開
した画家たちのようです。)

 

ポスト印象派とは主に、セザンヌ、
ゴーギャン、ゴッホ
の3人
のことを指します。

この三人は実は技法も理念も
共通点はなく、三者三様なんです。

 

しかし、この3人の絵画が後の
20世紀の絵画の方向性を定めたので、
まとめてポスト印象派と呼ばれます。

 

キュビズムの元になったセザンヌ

皆さんもデッサンをするとき、自分の目線の
位置を固定して描くと思います。

画家の背筋が伸びたり、丸まったりしたら、
モチーフの見え方が変わってしまい、

リアルな絵を描けなくなってしまいますよね。

 

ルネサンスの記事で、遠近法の話をしました。

 

 

立体的で、前後感のあるリアルな空間を
描くためには線遠近法(パースペクティヴ)は
重要で、画家の必修項目のようなものでした。

この、パースペクティヴの価値観は
目線の位置をひとつ(消失点)に決めて

そこからパースを引いて前後感を
演出するというものです。

 

セザンヌはルネサンス以来の
この価値観を壊しました。

 

具体的には、横から見たモチーフと
斜め上から見たモチーフを
一つの画面上に描いたんですね。

すると、自然な奥行きを持った空間
は当然描けません。

台が傾いて見えたりしてしまうんです。

 

しかし、セザンヌは自然な奥行きを
感じさせる形よりも、

絵画の中でのみ成り立つ、
収まりの良い形を描きました。

この複数の視点からみたモチーフを画面上
で再構成して絵を作る価値観は、

キュビズムに引き継がれます。

 

ちなみに古代エジプトの壁画の人物も、
目は正面向き、顔は横向きなので、
同時多視点なんです。

後の時代のキュビズムの巨匠ピカソは
セザンヌやエジプト壁画を
参考に制作していたようです。

 

タヒチに楽園を見出したゴーギャン

この時代以前の絵画の主な役割は、

対象を忠実に模倣すること

モチーフやモデルを通して
物語や宗教的テーマを語ること
の2つでした。

 

つまり、線や色や形はリアルな再現
のための道具もしくは、

物語を伝えるための
ハリボテのようなものでした。

ゴーギャンは、線や色や形といった
絵画を構成する造形要素を
この役割から解放しました。

 

つまり、モチーフや物語の再現は二の次で、
線、色、形が美しく見えることが
大切だと主張したんですね。

ゴーギャンは「目の前のものを
再現しない絵画空間」

追い求めていました。

そんなゴーギャンは理想の画題を
探し求め、世紀末のヨーロッパを捨て、

タヒチへ向かいます。

 

ゴーギャンはタヒチを楽園に見立て、
聖書の世界観とだぶらせたような
絵画を生み出します。

 

ゴッホやゴーギャンは象徴主義の画家でもある

ゴーギャンやゴッホは目に見えない世界
を内省的、精神性豊かに描いたため

象徴主義の画家として紹介されることも
あります。

 

象徴主義の画家たちは産業革命期の
物質的豊かさの追求を目指す、

当時の雰囲気に嫌気がさし、より
精神的な価値を追求し、幻想的で
内省的な絵を描いた画家たちです。

 

象徴主義の画家にはクリムト
やベックリンなどがあげられますが

彼らは人生について考えさせるような
非常に精神性の高い作品を描いています。

 

 

ひまわりでも有名なゴッホ

ゴッホは何にでも感情移入してしまう、
センチメンタルで、

同時に激しい画家でした。

モチーフが靴でも、星空でも、カフェでも、

ゴッホの感情が線、色、形に
乗り移ってキャンバスに定着します。

 

それまでの画家がやらなかった、
表現のために線、色、形を使う
という手法で描いたんですね。

ゴッホは日本の文化、特に
浮世絵に興味を持っていました。

ゴッホは牧師を目指していましたが
狂信的すぎると

教会から拒否されてしまいました。

こちらは有名な耳切り事件のあとの
ゴッホの自画像ですが、

この作品にも感情の激しさを
感じますね。

(後ろに浮世絵らしきものが貼ってあります。)

 

そんなゴッホは政治や宗教ではなく、
自然を心のよりどころとし、

自然と共生していた日本人の感性に
心打たれたようです。

 

ゴッホは日本人が好きな画家第一位でも
あるので、ゴッホの作品と

日本人の感性には通ずるところが
あるのかもしれませんね。

 

ポスト印象派の画家は東洋好きが多い?

 

ポスト印象派の画家が活躍したこの頃の
世紀末のヨーロッパでは、

産業革命後の物質的豊かさの
追求に嫌気が刺した

多くの画家が異国に楽園を求めていた
ようです。

 

ゴーギャンは遠い東方ののタヒチに楽園
を求めていました。

また、当時のパリ万博に日本のシャチホコ
が出展されるなんてこともあり、

浮世絵をはじめとする日本文化への
関心が高まっていて

ゴッホは多くの浮世絵を模写しています。

 

少し前の時代にはクリムトが琳派の
影響で金地に装飾紋様の絵を描いています。

このように世紀末のヨーロッパ
では、遠い東の異国の地に楽園を夢見る
ユートピア的な思想が流行っていたようです。

日本人が好きな画家についてはこちら

 

ポスト印象派のキーワードは絵画の自律性

ポスト印象派について今回は
紹介しました。

ポスト印象派の特徴はまとめると

・モチーフのリアルな再現をやめた

・物語や宗教的テーマの再現をやめた

・画家個人の思いを線、色、形で表現した

という感じですね。

ポスト印象派のキーワードは
絵画の自律性です。

色、質、形は絵画というメディア
ならではの要素ですね。
(文学や彫刻にはないものばかりです。)

これらの要素をいかし、絵画を
聖書や神話といった文学から自律
させたわけです。

 

ポスト印象派の画家から受験生が学ぶことは多い。

ポスト印象派の画家たちは、それぞれが
ユニークな色、形、質(タッチ)で絵を描いて
いますが

彼らのユニークさは油絵科の美大受験生
に参考になることでしょう。

 

私も美大受験生時代、自分の作品の味を
出すため、自分の形、色、質(タッチ)を
見つけろと教えられました。

しかし、いきなり「自分の作品の味」
と言われてもよくわからず

困っていました。すると、

自分なりの色、形、タッチで
絵を描けば良いよ~

というアドバイスをもらえたんです。

今思えば、美術史上では自分の形、
自分の色、自分のタッチで

初めて表現を試みたのが、

セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ
だったんですね。

 

次回は象徴主義について紹介します。

 

 

それではまた

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