「仲間たちと自分達の計画による
展示をしてみたい。」
「展覧会に知りあい以外を
集客してみたい。」
「定期的に仲間と展覧会を開いています。
結構上手いと思う方もいらっしゃいますが
買う方は居られません。」
「ギャラリー賃貸料の相場の
ようなものを知りたい。」
「作品に興味を持ってもらい購入へ
つなげるお客様との会話術が知りたい。」
「はじめての作品展、どんな所が
おすすめですか。」
「本格的な個展をする場合、どんな会場が
おすすめですか?」
「こんな場所でしてはダメとか、
目安みたいなものはありますか?」
このように「展覧会の開催について」は
たくさんのメルマガ読者の方から
質問や相談を頂いています。
今回はこれらの声の全てに
答えていきたいと思います。
これまで日本全国で100枚以上
絵を売ってきた私が見聞きした、
体験したエピソードも惜しみなく
紹介していくので
是非、最後まで読んでみてくださいね。
目次
個展を開く目的
実際に個展を開くとわかりますが、
個展開催というのはおそらく
クリエイターにとって最も
幸福な体験の一つだと思います。
個展開催はエネルギーもお金も時間も
かかりますが最高の経験なので、
一度はやってみましょう。
それでは、なぜ個展が最高なのか
語っていきます。
ブランディング
自分の絵だけで会場が埋め尽くされる
自分の生みだした物に
スポットライトが当たる
もうこの画像だけで、画家の場合
ブランディングが完了するかもしれません。
Facebookページ、ブログ、Twitterなどの
ヘッダーや自己紹介ページに貼れるような
最高にエモーショナルな展示風景画像を
撮りためましょう。
・お客様と作家が会話する場面
・ライブペインティングなどのアートイベントの一コマ
・搬入搬出の一コマ
などもあるとドキュメンタリータッチな
ブランディングを展開することもできるでしょう。
また、絵が売れた場合は赤札のついた画像も
記念に取っておきましょうね笑
お客様の声を独り占め
人生が終わる時に見る走馬灯って
こんな感じなんだろうな。
個展会場で接客していると
そう思う時があります。
これまでお世話になった方や友人知人、
ずっと会っていなかったあの人
などなど、あなたを知るあらゆる人が
あなたのためだけに時間を割いて、
あなたが生みだした物を見に来ます。
そして時には
「ブログ見て来ました!」
「Twitter見て来ました!」
といった感じで初対面なのに、もう既に
親しい人に出会うこともできます。
ちょっぴり恥ずかしながら、有名人に
なった気分で、感謝と
ちょっとした優越感も味わえます。
そんな感じで、会場にはあなたに
興味がある人ばかりが来ます。
なので、積極的に展示の感想や、
気に入った作品について意見を頂きましょう。
お客様の声集めは個展開催の
大きな目的の一つです。
中には手厳しい批評もありますし、
作家を傷つける、やっかみのような
コメントもあるでしょう。
しかし、落ち込むことはありません。
手厳しい批評はとても貴重な
「市場の声」です。
やっかみを言う人はあなたが相手
でなくても、いつでもどこでも、
噛みついています。
都合よく忘れて問題ありません。
自分にとっての売れる絵を見つける
お客様の声が集まってくると、
「あなたにとっての売れる絵」
が見えてきます。
アートマーケットでの人気と
あなた独自の作風の接点を
見つけられれば
売れっ子作家も夢ではありません。
グループ展などにも積極的に参加したり、
売れっ子作家の展覧会に最終日に行く
などもすると、自分にとっての売れる絵
だけでなく、市場全体の傾向も見えてくるので
おすすめです。
作品販売による収益
「あなたにとっての売れる絵」
が見つかり、制作、展覧会準備にも
慣れてくると
展覧会を黒字にして、
収入を得ることもできます。
因みに私はここ2年ほど
黒字を続けています。
展覧会を開いて黒字を出すのは
決して夢物語ではないんです。
画家として大金持ちになるのは
簡単なことではありませんが
自分が0から生みだした物が
自分の接客で売れるというのは、
他の仕事では感じられない
大きな喜びを得られます。
展覧会の種類
個展
作家一名による展示です。
その作家一人の世界観で会場を
埋めつくせるので、展示空間全体で
あなたの世界を表現できます。
また、お客様もあなたの作品
のみをみてくれるので、
お客様の声を集めたり、
接客販売するのにも有利です。
グループ展
何名かの作家が集まって行う展示です。
展示料金や在廊時間、PR、接客販売を
分担できるうえに、作家仲間も増えて、
情報共有の機会も得られます。
初めのうちはグループ展に
参加して経験を積むのが良いでしょう。
教室展
絵画教室に参加する
生徒と先生による展覧会です。
規模の大きい教室になると、
7期生展、8期生展といった感じで
代ごとに展覧会を開いている
ケースもあります。
そんな大規模な絵画教室のような
コミュニティ運営というのも、
個人事業主のアーティストとしては
良い道だと思いますが、
今回は本筋と外れるので割愛します。
公募展
公募に参加した作家のうち、
入賞以上の作品を展示する
といった感じの展覧会です。
コレクターさんや批評家なども
見て回ることが多いので、
駆け出しのうちは有名どころに
参加するのも良いかもしれません。
ただ、お金は基本的に出る
一方なので、一時的なお立ち台
として活用するのが良いでしょう。
団体展
団体展…
あまり良い評判を聞きません。
今回は基本ノーコメントで行きます。
ただ、若手は歓迎されるようで、
世代を超えた人脈が築ける
というのはメリットでしょう。
展覧会会場の種類
貸ギャラリー
1日~1週間単位で展示ギャラリーを
貸し出して展覧会を開ける会場です。
売上の多くが作家に入るかわり、
展示料金は高めです。
貸しギャラリーは良い場所と
悪い場所の差がとても激しいので、
事前に入念なリサーチをしてから
場所を決めるべきでしょう。
立地、お客の入り具合、作品の売れ具合、
画商の情熱、顧客数などなどを
考慮しましょう。
企画ギャラリー
ギャラリーの企画として、
展示を行うギャラリーです。
多くの場合、ギャラリー側が
作家にオファーして展示が決まります。
展示料金が無料の代わりに、
絵が売れたときの作家の取り分は
やや低めです。(30%とか)
貸企画ギャラリー
貸ギャラリー、企画ギャラリーを
兼ねたギャラリーです。
会場によっては、貸ギャラリーで
展示した作家のうち、売り上げの
良い作家を企画展に呼ぶ
といった昇格システムをとる場所
もあり、おすすめです。
安めの展示料金で取り分は
やや低めといった感じです。
百貨店美術画廊
有名百貨店の上層階にある美術品や
工芸品の展覧会を週替わりで行う会場です。
ここでは、かなり絵が売れます。
各百貨店美術画廊にお得意先の画廊や、
貸し口座屋(百貨店美術画廊での
展覧会枠を売る業者)がいて、
ローテーションが決まっているので
個人の画家が一人で乗り込むのは
難しいでしょう。
中には成功例もありますが、
既に百貨店美術画廊での展示経験のある
作家の場合が多いです。
百貨店美術画廊での展示の
キャリアアップルートとしては
地方での店舗へ営業し、
まず口座を作らせてもらい
展示を大成功させる。
そしてその実績を引っ提げて、
都市部の同じ系列の百貨店美術画廊へ
営業し個展開催
というものが考えられます。
まあ簡単ではないですが
可能性は0ではないです。
個展や展覧会の企画、開催方法
個展に出す作品を描く
まず個展に出したい作品を用意しましょう。
この段階で何枚くらい展示するのか、
メインの作品はどんなものか、
展覧会のテーマはどんなものかを
ぼんやりと考えておきましょう。
会場のサイズにもよりますが最低10点は
用意したほうが良いでしょう。
バリエーション豊富に用意
「気づいたら、似たような絵
ばかりでアトリエがいっぱい!」
制作に没頭していると、使う色、構図
などなどがワンパターンになっていく
ことがよくありますね。
これは、独特の作家性があって
良いのかもしれません。
しかし、似たような作品ばかりが並ぶ
展覧会は観る方からすると退屈なのです。
その結果、
「自分の絵の前を素通りされる。」
「誰も自分の絵を見てくれない!」
といった悲劇が起こります。
共通した独自の作風を保ちつつも
バリエーション豊富な展示空間を
目指しましょう。
この時、手掛かりになるのが、
絵のサイズ、色彩、額装に
バリエーションを持たせることです。
理想としてはこのように小さい作品ほど多く
大きい作品は少なく用意しましょう。
すると、大作を気に入った新規のお客様でも、
記念に小品を購入といったことが起きます。
ツタンカーメン展にいったお客様が
ミュージアムショップでツタンカーメンの
ペーパーウエイトを
記念に買うようなイメージですね。
新規のお客様がいつでも、小品から
気に入ったものを選べるように、
小品の中にも適度なバリエーションが
あると良いでしょう。
額縁、黄袋など展示備品を用意
展示会場によっては、額縁や黄袋は不要で、
キャンバスむき出しのままで
展示ということもあるでしょう。
しかし、コマーシャルギャラリーや百貨店
といったワンランク上の会場では、
このあたりも厳しいルール
があることも多いです。
今回は百貨店美術画廊レベルの
作品パッケージ方法を解説していきます。
実際に作品が売れると、お客様のもとに
送る前にいくつか準備をします。
・作品
・額縁
・額縁の裏にともシール
・額縁の箱にともシール
・画家の略歴
・黄袋
・その展覧会のDM
・ポストカードなどのプレゼント(あれば)
を用意して箱に詰めて
お客様にお送りします。
この一連の準備を動画にしたので
是非ご覧ください。
個展を開く場所を選ぶ
個展を開く場合はやはり、
人の来る良い場所で、
展示したいものですよね。
展示場所を選ぶ上での注意点を
以下にまとめてみました。
これらのポイントを事前に
リサーチしておいてから、
会場を決めると間違いないでしょう。
展示スペースのサイズ
展示したい作品の数、サイズが
決まってきたら、ちょうどいいサイズの
会場を選びましょう。
広すぎると絵が足りなくて
殺風景な空間になってしまいますし、
展示料金がもったいないです。
逆に狭すぎても縁日のような
ポップなポップな雰囲気に
なってしまいます。
展示スペースの図面をメモ書きでも
良いので、もらっておき、
絵同士の間隔が30㎝は
とれるようにしましょう。
お客さんの入り具合
1日中、在廊していてもお客が2,3人
そんな会場もあれば、
常に人がいるような会場もあります。
土日でも会場に人がいないような会場は
マズいので、安くても
展示しないほうが良いです。
土日の人の入り具合は
予めリサーチしておきましょう。
作品の売れ行き
展覧会最終日になると、このように
キャプションに赤いシールが
たくさん貼ってある会場はおすすめです。
絵を買うお客様を大量に顧客リストに抱える
良い会場といえます。
画商の情熱
これは、あなたの人を見る目次第
としか言いようがないのですが
画商さんは本当にピンキリです。
作品販売や絵の仕事を取ってきてくれ、
面倒な折衝、経理をまるごとやってくれる
父や母のような画商さんもいれば
美大生に電話をして、長々「展示しろ。」と
説教じみたセールスをして、
高額な展示料金を払わせ、
会期中は何もしないような悪人もいます。
展覧会成功の成否に大きくかかわるので、
良い画商とのみ付き合いましょう。
会場の規約、条件
・絵が売れたときの取り分
・配送費やDM印刷代金の負担者
・顧客へのDM送付代金の負担者
・釘打ちは良いか
・立体作品用の台はあるか
・ピクチャーレールはあるか
・ポストカードなどのグッズ販売は可能か
・在廊義務はあるか
・搬入搬出は手伝ってもらえるか
このあたりを、ギャラリーオーナーへ
直接確認してから展示に臨みましょう。
また、展示のアポをとる時期ですが、
理想は開催の1年ほど前
くらいが良いでしょう。
良い会場ほど人気で予約が
うまっているものです。
遅くとも半年前には会期を
決めておきましょう。
個展にかかる予算を見通す
個展にはエネルギーだけでなく
お金も結構かかります。
・会場費
・作品の配送費
・DMデザイン、印刷代
・額縁代
・交通費
などなど
私の個人的な経験だと、自宅から
通える距離の会場の場合でも
5万円はトータルで最低かかります。
場所代が高い場合はもっとかかるでしょう。
展示料を捻出できなそうな場合には
友人作家を誘ってグループ展を開き、
費用を割り勘するのがおすすめです。
個展会場の相場観
「展示料金の相場を知りたい。」
こういった声はよく聞きます。
しかし、安くてもほぼ人の来ない会場では、
展示をする意味がありません。
展示風景も殺風景でしょう。
お客様の声も聴けないでしょう。
もちろん絵も売れないでしょう。
それでは意味がないですよね。
なので、予め複数の会場を見て回り、
人の入り具合、売れ行き、展示空間の雰囲気
とそれに見合う料金かどうかを
確認する必要があります。
個展のテーマを企画する
個展を開くにあたって、個展のコンセプトを
企画するのは結構重要です。
企画内容によって、
PRする内容もかわってきます。
成功例としては、動物の絵を集めた
展覧会を企画して、動物病院にPRして
院長に絵が売れるなどのケースがありました。
マスメディアに取り上げられるうえでも、
一般の方々と共有しやすい企画
を考えることは重要なようです。
個展のDMを作る
個展の会期とテーマ、使う作品画像が
決まったらDMを作りましょう。
・自分が送付したい枚数
・自分が記念で保存したい枚数
・展示会場が送付する枚数
を決めてから、印刷会社に
DMデータを送ります。
データを自分で作れない場合、
ココナラやランサーズといったサイトで
デザインを依頼するのも良いでしょう。
・展覧会名
・展示会場の場所
・展覧会会期、営業時間
・お問い合わせ先
といった情報はもらさず記入しましょう。
作品撮影のコツ
作品をうまく撮影するのは
なかなか難しいと思います。
このように
オレンジ系の照明で、2か所から照らし、
少し離れた場所からズームして撮影すると
歪みの少ない綺麗な作品画像が撮れます。
レスポンス広告に学べ
まずこのGEOのCMを見てください。
目玉商品、企画内容、期日、場所を
短い時間で単純明快に打ち出しています。
それに対し、このCMはどうでしょう。
麗しい企業理念が印象的な好感の持てる
CMですね。
無名の個人アーティストがDM作りにおいて
参照すべきは前者です。
スタイリッシュさ、おしゃれさ、
情報の少なさで勝負できる広告は、
大企業にのみ取れる戦略なのです。
ポエミーになるな
DMは高校時代の恩師が読んでも
理解できるものにしましょう。
美術業界はハイコンテクストな
オタクカルチャーに染まった方が多く
一般の方の視点を忘れてしまいやすいので、
注意が必要です。
作家顔写真も用意
大企業とは違い、我々、個人アーティストは
お客様から信用と安心を得るのが
簡単ではありません。
普段ユニークな生き方をしている
生きた一人の人間がやる展示だ
ということを印象づけるのに、
顔写真は良いのです。
個展をPRする
マスメディアへPR
地元の新聞社やテレビに展覧会の
告知をすると、取り上げてもらえることも
結構あります。
これは後々、ブランディングに役立つので、
面倒くさがらず初めのうちはやりましょう。
一筆箋などで手書きの手紙を書いて
添えると採用率がアップします。
展覧会の3週間ほど前にお送りしましょう。
既存の顧客へPR
最もDMをだすべき相手はこれまでに
絵を買ってくださったお客様です。
絵を買うお客様はほとんどの方が
これまでに絵を買ったことのある方です。
展覧会の2週間ほど前にお送りしましょう。
あまり告知が早すぎると忘れられますし、
遅すぎると予定が埋まっている
ことも多いので、このくらいが良いです。
自分の既存顧客リストの活用をする場合は
他の会場の顧客に送ってはいけません。
その会場の顧客を奪ったことになってしまい、
干されるので絶対NGです。
展示する会場のスタッフに働きかけて、
その会場の過去の顧客にDMを
送ってもらうようにしましょう。
これは効果的なので、
絶対実現したいところです。
友人、知人にもPR
「知り合いにDMを送るなんてちょっと…」
と遠慮してしまう方がとても多いですが、
結構喜んでもらえるのでやるべきでしょう。
そして、意外にも皆さんの周りには
「隠れコレクター」がいます。
私も実際に展覧会のへの招待をきっかけに
知人がコレクターさんになり
定期的に絵を注文してくださること
になった方がいます。
展覧会の2週間ほど前にお送りしましょう。
あまり告知が早すぎると忘れられますし、
遅すぎると予定が埋まっていることも多いので、
このくらいが良いです。
オンラインでもPR
オウンドメディアでのPR
「ブログも書いたほうが良いよ。」
というと、作品写真をひたすらアップする
だけのブログや
私生活を垂れ流したブログを作る方が
残念ながら多いです。
残念ですが、我々は有名人ではないので、
それでは誰も興味を持ってもらえません。
初めのうちはお客さんが興味をもつ
価値ある情報のみを発信しましょう。
そして、ちゃんとGoogleの検索エンジン
にも評価してもらえるように、
検索キーワードやSEOの知識も
考慮して発信しましょうね。
SNSでのPR
会期が決まったら定期的にSNSに
情報を上げていきましょう。
11時、17時あたりが見ている人も
多いため投稿時間としておすすめです。
会期中は展示風景や作品画像を
展示情報とともに毎日投稿しましょう。
とくにfacebookにはコレクターさんが
結構いるのでおすすめです。
インターネット広告でのPR
インターネット広告というと、
かなりまとまったお金が必要な
イメージがあるかと思います。
そして、「あまり効果ないのでは?」
と思う方も多いでしょう。
しかし、侮るなかれ、近年は
GoogleやFacebookがユーザーの
膨大なデータをためていて
それを考慮してピンポイントで
広告を出せるようになっています。
SNS上でのユーザーの振る舞いを
分析したうえで、あなたの個展に
興味を持ちそうな人にだけ広告を出す
という技術が日々高まっているのです。
それが、Facebook広告やPPC広告と
呼ばれる広告です。
このきわめて効果的な広告が
ワンクリック10円程度から
誰でも出せるようになっています。
とても簡単な手順で出せるので、
是非実践してみてください。
特にFacebookはユーザーの年齢層が高く、
コレクターさんも多いので
効果的だと思います。
ネットでの情報発信が不安な方へ
「オンライン集客、PRで不安なことは、
本名や、顔を出し営業するのが怖くて、
未だにチャレンジできていない。」
こんな声を頂きました。
しかし、大丈夫です。ご安心ください。
そういった問題が起きるのは、数十万人規模
のSNSアカウントやブログを持っている
有名人です。
我々の情報発信に時間を割いて
反応してくれる方は基本的に
我々に好意的な方ばかりです。
私も月間4万pvのブログを
運営していますが、今の所
クレームらしいクレームは
一度もありません。
個展会場へ絵を配送
作品の梱包方法
作品が額に入っている場合は額縁の箱を
そのまま使えます。
しかし、この箱は絵が売れたとき
お客様の手に渡るので、
この箱もしっかり緩衝材で守って
段ボールに入れて配送しましょう。
油絵の作品で絵の表面に梱
包材が貼りつくのが怖い場合には
クッツカーネという紙を
使うと良いでしょう。
ホルベイン 画面粘着防止・保護紙 クッツカーネ ハーフサイズ 1.08m×6m巻 67891
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個展会場で搬入、飾りつけ
・搬入、飾りつけが可能な時間帯
・配送受け取りの可能な時間帯
・車での搬入の場合は駐車可能スペース
を会場の方に事前に確認しておきましょう。
飾りつけの際のコツは似たような雰囲気、
色の作品が隣り合わないようにすることです。
お互いの作品が殺しあってしまい、
まったりした、見ていて退屈な雰囲気の空間
になってしまいます。
絵同士の間隔が30㎝以上になるように飾り、
絵の中心位置の高さを揃えます。
飾りつけの7つ道具
これらの展示道具はモノによっては
会場で用意していることがありますが、
一応持って置きましょう。
ポートフォリオ
過去作品や売約済作品のの載った
ポートフォリオを用意しておきましょう。
ここから、作品のオーダーメイドが
入ることもあるため、作品サイズと
料金のまとまった表もあると良いです。
制作技法をまとめたページも
作ると解説する時に役立ちます。
メジャー
飾りつけの順序は
開封→作品の床置き→センター合わせで壁掛け
→絵の傾きを直す
という感じです。
メジャーで床からの距離をはかり、
絵の中心位置を合わせることで、
整然と展示することができます。
ハンマー
絵を飾る高さが決まったら、
ハンマーで釘を打って絵を架けます。
ハンマーはだいたい会場で
貸してもらえますが、
一応持っておきましょう。
水平器
絵のセンター合わせができたら、
水平器で絵の型向きを直しましょう。
ポストカード
ポストカードセットを
用意しておくと重宝します。
展覧会中、作品を購入してくれた
お客様や興味を持ってくれたお客様
にお渡ししましょう。
DMと同様、印刷会社が
100枚単位などで制作してくれます。
裏面には作品のタイトル、技法、サイズ、
制作年、作家名の他にサイトURLなども
載せておきましょう。
芳名帳
会場で用意してくれることもありますが、
自分でも用意したほうが良いでしょう。
入り口にペンと一緒に置いておきましょう。
キャプション、案内板
「絵を見ただけではよくわからなかったけど、
説明を聞いたら、気に入って購入を決めた。」
そんなお客様も多いものです。なので
・作品のタイトル、技法、サイズ、
値段を書いたキャプション
・作家の写真入りプロフィール文章
・作品のコンセプトをまとまた案内板
などを用意して展示会場の壁
に貼っておきましょう。
ピタパネという材料を使うと簡単に作れますよ。
公共施設での展示の場合、
展示販売ができないこともあります。
しかし、担当者に相談して交渉してみましょう。
場合によっては
「会期終了後に個人的に連絡をとって販売」
という形式をとらせてもらえます。
キャプションや案内板を貼る
絵の下もしくは右下に
キャプションを貼りましょう。
案内板やプロフィールは出入口など、
導線の端に貼っておくと良いでしょう。
最後に照明調節
絵の飾りつけが終わったら、脚立を借りて
スポットライトの向きを調整しましょう。
スポットライトは熱いので
ハンカチで包んで向きを調整しましょう。
個展会場で接客
何を話せば良いのか
「お客さんと何を話したら
よいかわからない。」
初めの頃はそんな悩みを
私も持っていました。
しかし、繰り返し展示で
接客するにつれ、最適なパターンが
見えてきました。
我々が伝えるべきは以下のポイントです。
・私がこの個展の作家です。
・私は普段こんな活動をしています。
・作品の技法
・作品のモチーフへの思い
・作品は買えます。
これらのポイントをお客さんの
反応を見ながらすこしずつ開示していくと
会話がはずみます。
おきゃくさんが興味を持った時だけ、
詳しく話すというのがポイントです。
クロージングフレーズ
作品購入を前提に悩んでいる
そんなお客様の背中を押すには
どうすれば良いのか。
これは長らく謎でした。
しかし、先輩作家やベテラン画商、
コレクターさんと話すうちに
少しづつクロージングフレーズが
わかってきました。
・この作品は1点物
・この作品は自信作
・私は一生本気で絵を描いていく。
・額付きでこのお値段です。
・この作品は劣化しません。
これらのポイントをそれとなく
抑えて話すと良いでしょう。
作家先生の服装
男女ともに結婚式の2次会のイメージで
ビジネスカジュアルの服装を選ぶと無難です。
個展の後やること
お客様にお礼状を書く
作品を購入してくれたお客様に
お礼状をお送りしましょう。
住所がわからない場合は会場の方に
かわりに送付してもらう形を取りましょう。
ブログ更新
興奮冷めあがらぬ内に自身のブログや
メディアで展覧会での学びやエピソードを
発信しましょう。
おしゃれな展示風景の画像も忘れずに。
初心者向け個展会場の選び方
初心者に強く意識してほしいのは、
自分の作風にあった会場を
選ぶということです。
ギャラリーは基本的にセレクトショップ
のようなものなので、写実系作家の多い
ギャラリーの顧客はもちろん写実的な
作品しか買わないでしょう。
絵を買うお客様は、絵を買ったことが
ある方ばかりです。
新規はたまにしかいません。
なので自分と近い作風の作家が
よく展示している会場を探すことも
成功の秘訣なのです。
カフェギャラリーやバーがおすすめ
初心者には、人の入りも良く、
作品が売れることも多い割に
展示料金の安いカフェギャラリーでの
展示がおすすめです。
カフェギャラリーにはカフェスペース
の壁面に絵を飾るタイプの一体型と
カフェスペースと展示スペースの
わかれた分離型があります。
一体型の場合、展示場所の前に
椅子がある場合も多く、
その場合そこにお客様がいた場合、
興味のあるお客様がその絵を
見れなくなってしまいます。
なので、カフェスペースと
展示スペース分離型のカフェギャラリー
がおすすめです。
カフェギャラリーは人気の場所では
1年先まで予約でいっぱいということも多いので、
早めの準備を心がけましょう。
他にも無料で展示できる場所も多いので、
調べてみると良いでしょう。
http://www.free-gallery.org/
地元での開催がおすすめ
地元の会場での開催の場合、知り合いが
来てくれる可能性も高いです。
そして、マスメディアも
取り上げてくれることが多いのです。
画家が生まれ育った地元で初個展!
といったストーリーを作りやすいので、
そういった切り口で展覧会コンセプトを作り
メディアへアプローチするのも良いでしょう。
最初はグループ展が良い?
初心者がいきなり個展となると、
・展示料金
・PR
・在廊
・接客
・搬入飾りつけ搬出
これらの全てを一人で
背負わなければいけません。
そして、人脈拡大も情報共有も
思うように進まないでしょう。
なので、はじめのうちは作家仲間を誘って
グループ展を開き、仲間と切磋琢磨、
情報共有しながらレベルを上げるのも
良いでしょう。
デザインフェスタギャラリー
原宿のデザインフェスタギャラリーには
展示室がいくつもあり、
常に様々な作家が展示しています。
訪日観光客向けの雑誌や「東京ガイド」
にも載っているため、外国人客も多く、
展示料金もリーズナブルなので
おすすめです。
ポップな雰囲気の場所で、若い作家が多く、
イラスト系やハンドメイド系の作品が
多いです。
国立のギャラリーはねらい目?
国立には結構広くてリーズナブルで
お客も多い良い会場が多いので
初心者にもおすすめです。
中・上級者向け個展会場の選び方
公民館などの展示スペース
公民館などの展示スペースは人の入りも良く、
展示料金も安いためおすすめです。
しかし、展示販売を禁止している
ことも多いので、その場合、
会期終了後にお客様と個人的に
取引できるよう担当スタッフに
手はずを伝えておきましょう。
また、その地域在住の方しか
展示できなかったり、
人気の場所の場合、抽選形式に
なっていることも多いので
確認が必要です。
上級者になると、この展示スペースで
百貨店美術画廊での展覧会出品作品を
前展示して、購入予約を取って置き、
百貨店での展示を売約の入った状態で
スタートさせるなんていう
高等テクニックも使ったりします。
美術館の貸しスペース
銀座のギャラリー以上に高額で、
審査がある場合も多いです。
しかし、地方の場合、無料の美術館も
探せば結構あるようです。
ブランディング上、抜群の権威性があります。
もちろん見に来る方も多く、
一度はやってみても良いかもしれません。
奥野ビルのギャラリー
東京の銀座には奥野ビルという、
美術業界では有名な画廊ばかりが
集まったビルがあります。
ここは、コレクターさんの間でも
知名度が高く、外国人観光客を乗せた
観光バスも立ち寄るホットスポットです。
一つの画廊の展示をみると、ついでに
ビルの中の画廊全てを見て回る方が多いので、
かなり良い会場と言えるでしょう。
個展はイラスト系作家には向かない?
イラスト系の作家の場合、
近年はココナラハンドメイド、minne,BASE,
カラーミーショップなど、
充実したプラットフォームがあるので、
そちらを活用したほうが、
知名度も売り上げもアップするようです。
また、Twitterがイラスト系作家の
ポートフォリオと化しており、
企業の方々もこれを見て採用
なんてことも考えるようなので、
オンラインでの発表の方が
効果的かもしれません。
しかし、古い慣習として、
イラストレーターは個展を
やっておくべしという雰囲気も
あるようです。
リアルの場所でお客様に囲まれて
華やかに作品を展示する画像は
ブランディング上重宝することは
間違いないので、
そういった意味では「ここだ!」
という場所で一度くらいは個展をやったり、
デザフェス系のイベントに出店するのも
良いかもしれません。
コレクターさんの思い
「私の絵をお金をとって売るなんてできない。」
「作品の値上げにどうしても躊躇してしまう。」
そんな絵を売ることへの
ブロックのある方は本当に多いんです。
しかし、コレクターさんの気持ちを
知っていれば、それが見当違いなものだ
ということがわかるでしょう。
これまで多くのコレクターさんや
画商さんから話を聞いてきましたが
彼らは作品が気に入って、絵を買う、
販売を助けるというのはもちろんありますが
好きなことで生きていく画家を
応援したいという気持ちで
動いてくれているのです。
なので、安売りなんてせず、最高の作品を
作ってお売りしましょう。
そして、応援してくれた彼らのために、
作家活動をつづけて、より良い作家になり
成長した姿をみせ、期待にお答えしましょう。
個展の成功例
ここまで、個展を成功させるための
あらゆる準備方法を解説してきましたが、
まだイメージできない方も
いるかもしれません。
今回は実際に上手くいった私の
過去の2回の個展の様子をまとめて
発表したいと思います。
きっと参考になると思います。
個展の出品作品
このように、大きい作品を少なめに
用意して目立つ中心へ飾ります。
これを見てお客様はふらーっと
入ってきてくれます。
そして、初めてであったお客様でも、
買える、気軽に場所を選ばずに飾れる
ような小品も用意しましょう。
このように、台のある会場の場合、
枕置きするのも良いでしょう。
お客様がより近い距離で見ることができ、
手に取ってみて頂くことも
すすめられるのでおすすめです。
個展で実際に売れた作品
ここからはこの展示で実際に
売れた作品を解説していきます。
「another」109㎜×109㎜×4piece、
アクリル、箔
こちらの作品は金箔と黒箔という
銀を焼いて作った金属の箔を板に貼って、
メノウで磨いた作品となっております。
背景の部分には箔を貼る前に
石膏の地塗りを施し金属の針でひっかいて、
紋様をほりこんでから貼っているため、
見る角度によって、流水紋と花の紋様が
浮かび上がって見える絵となっています。
これは今から1000年ほど前の中世ヨーロッパ
の祭壇画で用いられていた、黄金背景技法
という技法をアレンジしたものです。
私は美大在学時にこの技法を少し勉強したため
この技法を独自に研究して制作しています。
絵の部分はアクリル絵の具で描かれています。
青いアジサイの中には、
青い蛙が隠れています。
青いアマガエルは黄色い色素が
合成されない変異種の個体で、
極まれに自然界にもいるようです。
もともと珍しい上に葉っぱの上にいると、
目立つためすぐに鳥に食べられてしまうため、
数が少ないようです。
その美しい見た目と、珍しさから、
青いアマガエルは昔から日本の一部と、
中国では出会えたらラッキーな
幸運の象徴とされてきました。
しかし、最近、原発事故以降
このような個体が
なぜか増えているようです。
現代は美しい青いアマガエルが幸運の象徴から
不穏さの象徴に変わってしまった時代
なのかもしれません。
その青いアマガエルが
普通の緑のアマガエルの
「ありえたかもしれない」
もう一つの人生に
思いをはせている一瞬を
表現した作品です。
といった感じで、作品の技法、
モチーフへの思い、
現代アートとしてのコンセプト、
自分の普段の活動などを、
お客様の希望に応じて
話分けています。
(これら全てを話す相手は
ほとんどいません笑)
「cycle time」109㎜×109㎜×4piece、
アクリル、箔
こちらの作品も金箔と黒箔という
銀を焼いて作った金属の箔を板に貼って、
メノウで磨いた作品となっております。
春夏秋冬の象徴的な植物を
配置して
日本に漂う中世的な循環的な時間観
を象徴的に表現しました。
技法も上の作品と同じく
中世の祭壇画やイコンに使われた
黄金背景技法とアクリル絵の具で
描いています。
「夜」F8、アクリル、箔
こちらは横浜での展示を記念して描いた作品
でしたが、新宿で売れました。
昔、横浜に住んでいたお客様が
気に入ってくださいました。
コチラは夜空の部分に黒箔が
使われていて、メノウで磨いて
仕上げているので
見る角度によって空の部分が
キラキラ光る作品になっています。
「芍薬」160㎜×110㎜、アクリル、箔
コチラは芍薬の作品で、背景部分に
黒箔が使われているので背景が
キラキラ光る作品になっています。
このはがき大の花の図鑑のような絵の
シリーズは人気で、コレクションしてくださっている
お客様もいらっしゃいます。
「終」160㎜×110㎜、アクリル、箔
これは観る角度によって、
木漏れ日に見えたり、抽象画に
見えたりする作品です。
このコメントは買ってくださった
お客様に言われて初めて気が付きました。
「住みか」sm、アクリル、箔
「住みか」160㎜×110㎜、アクリル、箔
これらは先程、同様蛙が同じ色の
アジサイに隠れている作品です。
このように、花の絵や風景画の
場合、
感情移入できる動物や人間
といったキャラクターが小さく
描かれている作品は人気が高いです。
「盛り」SM、アクリル、箔
「椿の宴」F15、アクリル、箔
これらの2点はコレクターさんに
お買い上げいただきました。
後にお家にお招きいただき、
展示風景の写真も撮らせて頂きました。
この2点の作品は
この個展のDMに使われた作品でした。
このようにDMの作品がその展示で売れる
ということは結構多いんです。
「箔景色-紅梅」160㎜×110㎜、アクリル、箔
「箔景色-白梅」125㎜×125㎜、アクリル、箔
「箔景色-紅梅」125㎜×125㎜、アクリル、箔
これらの作品は「夜梅」をテーマにした
作品です。
梅のゴツゴツした形の枝が箔の破れ目
に似ているということから着想を得て
描いた作品で
箔の中に梅の景色が広がっているような
イメージで作った作品なので
銀箔と同じサイズの125㎜×125㎜の
サイズの板を用意して箔と絵具で
描きました。
現代を生きる我々にとって、お花見
といえば、桜ですが、江戸時代の
中期以前は花見といえば、
夜見る梅だったようです。
菅原道真も梅が好きなことで有名ですよね。
この変化は犬公方で有名な徳川綱吉の
政策により起きたようです。
綱吉は川の氾濫を防止する堤を
建設したのち、この堤の上を
多くの人が歩いて踏み固めるように
川沿いに桜並木を作ったようです。
この桜並木の下で花見をするのが
大いに流行して、【花見=桜】という
認識になったようです。
この話は作品のコンセプトというよりは
作品に付随した雑談ですが、お客様は
結構こういう文化的なお話が好きな方
が多いです。
個展の招待状が来たら
「友人から個展の招待状が来た!」
そんな時、一般の方は
何も持っていけばよいのか、
作品を買えないけど行って良いものなのか、
話しかけても良いものなのか
などなどわからないことが
多いことでしょう。
最後に友人作家から
個展のお知らせが来た時の
立ち回り方について
お話ししましょう。
個展のお祝いにはミニブーケ?
個展を見に来てくれるだけで、
作家は最高に嬉しいので、
何もお土産はなくても大丈夫なんです。
と何度お伝えしても、毎回素敵な
お土産を持って来てくださる
素晴らしいお客様がいらっしゃいます。
中にはお花屋さんで
「祝個展開催 ○○より」といった
札の入った特大をフラワーアレンジメント
を送ってくださる方もいらっしゃいます。
もし、どうしても何か、持って行かない
と申し訳ない!
そんな方はミニブーケなどだと、
場所を選ばす、会場においておける上に、
会期終了後に作家が家に持って帰れるので、
良いと思います。
毎回、特大フラワーアレンジメントが
搬出の時に捨てられるのをみると
少々心が痛むもので…
個展のお祝いにはお手頃お菓子で十分
特大フラワーアレンジメントと並んで多いのが、
デパ地下で買ってきてくれたであろう
超高級お菓子です。
お気持ちはとても嬉しいのですが、
見に来てくれるだけで作家はとても嬉しいので、
お気遣いなく~
どうしてもという方はおせんべいセットとかで
大丈夫なんですよ~
毎回ゴディバを持って来て
くださる方もいるもので…
お気遣いなく~
最後まで読んで頂き
ありがとうございました。