こんにちは!画家の黒沼です。
今回から水彩画編がスタートします。
透明水彩でびっしり細密な描写を
したい。
紙の白さを生かした爽やかな絵が
描きたい!
今回はそんな方必見の記事です。
いつも通りマネするだけでプロ並みの
絵が描ける超ロジカルな動画と
なっております。
今回はひまわりをモチーフに
描いて行きます。
目次
ひまわりの描き方のコツ
ひまわりの描き方というよりは、
これは黄色いモチーフを描くときの
コツですが
基本的に黄色は明るい状態で
最も綺麗に発色します。
暗い黄色は汚いのです。
しかし、ひまわりも立体物なので、
カゲの部分があります。
黄色に黒を足してひまわりのカゲの部分を
塗ってしまうと汚く濁ってしまうのです。
そこで、黄色いモチーフの
暗い部分を塗る時には
黄色にオレンジまたは緑を少しだけ
混ぜて暗くしましょう。
そうすることで、鮮やかさを失わず
暗い黄色を作ることが出来ます。
今回はひまわりのカゲの部分は
ややオレンジ色っぽく描いて行きます。
ひまわりの描き方でよくある失敗
ひまわりの描き方を解説する上で、
最もお伝えしたいのは
種の部分をしっかり描写しよう。
ということです。
正直言って、ひまわりの花は、
中心の種の部分くらいしか
細かい表情がありません。
描写の密度をつけるなら
ここしかないのです。
水彩絵の具で黒い部分を
細かく描くコツを紹介します。
黒いものを水彩で細かく描く上で
よくある失敗は
いきなり暗い色をべたっと
塗ってしまうことです。
水彩での細密描写は基本的に
明るく戻すことができないので、
じわじわ暗くするような
描き進め方をする必要があります。
具体的な描き進め方は動画で
解説しているので、このポイントを
押さえて動画を見てみてください。
ひまわりの描き方の基本
ひまわりの描き方を解説する前に
今回の完成イメージを
確認しておきましょう。
今回描くモチーフの下絵は
このような感じです。
今回はこのひまわりを
描いていきますが
花の部分は
明るい部分は鈍い黄色
中間の明るさの部分は
鮮やかなオレンジがかった黄色
暗い部分はやや鮮やかな
赤みのオレンジ
茎や葉っぱの部分は
明るい部分は鈍い黄緑
中間の明るさの部分は鮮やかな緑
暗い部分はやや鮮やかな青みの緑
種の部分は暗いオレンジ
背景の空の部分は明るく鈍い水色一色
で描いていきます。
今回は固有色寄りの色彩計画ですね。
ひまわりの描き方:実践編
ひまわりの描き方を動画で
解説してみました。
この動画で使った下絵を↓
に貼っておきます。
各制作段階の解説文も載せておくので
動画とともにご参照ください。
①下絵の転写
水張りした画用紙に下絵を転写していきます。
黒い線がある部分の裏側を
鉛筆で真っ黒に塗っていきましょう。
マスキングテープで
下絵を固定していきます。
線の上をボールペンで
なぞっていきます。
②下塗り
さてここからは透明水彩絵の具に
入っていきます。
初めはこのように水を多めに
混ぜた状態の絵の具を塗って、
淡い色の下塗りをしていきます。
透明水彩絵の具でも、いきなり
鮮やかな色を塗るのはNGです。
まずは明るめ鈍目に描く
というのがポイントです。
最終的なイメージよりも明るめ、
鈍目の黄色と黄緑を
塗りムラが出ないように
速いストロークで塗っていきます。
③中間トーンの彩度を上げる
下塗りが終わったら、黄色い花の
中間トーンの部分に鮮やかな黄色
を塗っていきます。
さきほどよりは濃い黄色を
塗っていきますが、
まだまだ制作の序盤なので
水が多めに混ざった絵の具
を塗っていきます。
先ほど塗った色が剥げないように、
優しいタッチで塗っていきましょう。
同じ部分で何度もぐりぐり筆を
動かしていると下に塗った
絵の具がはげるので、
できるだけ少ない手数で綺麗な色面を
塗れるように塗っていきましょう。
コツとしては筆に少しだけ絵の具を付けて、
塗るのがポイントです。
また、画面に水たまりが
できた場合は
すぐにそれを塗り広げるように
するのがポイントです。
④暗いゾーンに一色塗り重ねる
画面が乾燥しているのを確認して
次の色を塗っていきましょう。
先ほど塗った、やや鮮やかな
黄色のゾーンの中で
さらに暗い部分を塗っていきます。
イエローオーカーのような、
やや暗いオレンジがかった黄色
を塗って色幅を増やしていきます。
お次は葉っぱの部分を
塗っていきましょう。
花の部分と同じように
最も明るいゾーンは避けて
中間トーンの部分をやや鮮やかに
やや暗くしていきます。
広い面を塗る時は大き目の筆を使い
狭い部分を塗る時は細い筆に
持ち替えて色を塗っていきます。
こうすることで、より少ない手数で
下に塗った絵の具層を傷つけずに
綺麗に色を塗り重ねることが出来ます。
⑤暗いゾーンの色幅を増やす
少しずつ必要な色を薄く塗り重ねて
光や立体感を感じるように
やや明るめ鈍めにモチーフを
描いて行きましょう。
⑥種の部分の描写をはじめる
さて、ヒマワリの花の種
の部分に入っていきます。
この部分は暗い色をしていますが
いきなり暗い色を塗ってしまうと、
この部分にある細かい形を描くことが
出来なくなってしまいます。
この段階ではいきなり
細かい形を描くのではなく
大まかな形をアタリ線をとる
要領で明るめに描いて行きます。
このように水彩絵の具で
黒い色のモチーフを描くときは、
最終的に塗る黒がどんな色味を
持っているのか確認して下塗りの色を
塗っていきましょう。
今回の場合は茶色っぽい黒なので、
このようにオレンジ色っぽい色で
形を探っています。
次は葉っぱや茎の部分の
暗い色を塗っていきます。
基本的に暗い部分はやや青っぽく
描くと自然になります。
今回は特に屋外の光の設定で
描くので、暗い部分は空色っぽい色の
フィルターがのっているイメージで
描いて行きましょう。
⑦種の部分の形を探る
種の部分のさらに暗いゾーンを
塗りつつ描写を進めていきます。
このくらいの段階では、
まだ細かい形を厳密にあわせて
いくのは難しいです。
引く線や筆のタッチの方向性を工夫して、
それっぽい表情を再現していきましょう。
種が密集しているっぽい表情を
筆のタッチで演出していきます。
このような細かいモチーフの表情は、
形が細部まで細かく正確に
再現されていることよりも
色味やタッチの雰囲気が似ていること
の方が重要なので、
形の狂いを恐れず
どんどん描いて行きましょう。
ただ、水彩画は明るくもどす操作
ができないので、やや明るめに
描き進めるのがポイントです。
葉っぱや茎の部分も、さらに
暗いゾーンを作ることで
描き進めていきます。
⑧明るい部分の彩度も上げる
さてここからはモチーフの明るい部分
にも積極的に色を置いていきます。
ここまでのプロセスでは、モチーフの
暗い部分や中間の明るさの部分を
中心に絵の具を置いてきました。
明るい部分は鮮やかになりすぎると
立体感がなくなるので
白っぽい色のまま残してきたのです。
しかし、中間の明るさ、暗いゾーンの
描写が進み鮮やかになってきたので、
明るいゾーンの彩度も上げていきます。
実際に絵に絵の具を塗る前に
このように別の画用紙に試し塗りをして
色味と鮮やかさを確認して
から塗っていきましょう。
これまで塗った黄色やオレンジのゾーン
にもかぶさるように
黄色い絵の具を重ね塗りしていきます。
下に塗った絵の具がはげないように、
柔らかい毛の筆を使って
できるだけ少ない手数で
優しいタッチで塗っていきましょう。
葉っぱや茎の部分の明るいゾーンも
同様に塗っていきます。
これまで塗った黄緑色や緑のゾーン
にもかぶさるように
黄緑の絵の具を重ね塗りしていきます。
下に塗った絵の具がはげないように、
柔らかい毛の筆を使って
できるだけ少ない手数で
優しいタッチで塗っていきましょう。
⑨明るい部分を描き進める
ここからさらに絵の具を塗り重ねて、
明るいゾーンをさらに鮮やかに
仕上げていきます。
このように、透明水彩絵の具で
緻密に描くときは、
いきなり濃い絵の具を塗って
いきなり鮮やかにするのではなく
薄い絵の具を何層も積み重ねて、
徐々に暗く徐々に鮮やかに
していきます。
⑩空を平塗り
さて、この段階になったら一度
背景の空を塗っていきます。
実際に絵に絵の具を塗る前に
別の画用紙に試し塗りをして
色味と鮮やかさを確認してから
塗っていきましょう。
細い筆を使って輪郭線を縁取り
するように塗ってから
広い面を早い手の動きで
塗っていきましょう。
筆にあまり絵の具を付けずに塗ること
画面に水たまりができたら
すぐに塗り広げること
この2つが透明な塗膜を
ムラなく塗るコツです。
⑪中間トーンの彩度を上げる
さてだんだんと全体の雰囲気が
見えてきましたね。
色のバランスや立体感が
だんだん見えてきたので
ここからは、あまり水の
混ざっていない濃い絵の具で
鮮やかに仕上げていきます。
花の部分の中間の明るさのゾーンは
かなり鮮やかなオレンジをしています。
花弁の形に添った向きで筆を動かし
暗く鮮やかに仕上げていきます。
水彩絵の具の場合、この段階で一気に
モチーフの固有色や光の印象、空気感
が出てきます。
葉っぱや茎の部分も鮮やかな黄緑
を塗り重ねていきます。
明るい部分が鈍く
中間の明るさのゾーンが鮮やかに
暗いゾーンがやや鮮やかに
この関係を常に意識して
描き進めていきましょう。
モチーフ全体が鮮やかになってきたので、
これにマッチするように背景の青空も
彩度を上げていきます。
下に塗った色が剥げてしまわないように
柔らかい筆で優しいタッチで少ない手数で
塗り重ねていきましょう。
画面全体が鮮やかになってきたので、
明るいゾーンももう少し
彩度を上げていきます。
⑫全体の彩度を上げながら描写を進める
最後にマスキングテープをはがして完成です。
さて、今回はこのような
仕上がりになりました。
透明水彩絵の具はアクリル絵の具ほど
自由な使い方はできませんが
このように軽やかな発色の良い絵を
描くことが出来ます。
慣れれば細かい表現もできるんですね。
水彩絵の具は他の絵の具に比べれば
慣れ親しんだ画材かと思います。
皆さんも是非挑戦してみてください。