こんにちは!画家の黒沼です。
色彩はセンス次第なんて大嘘です。
夕日の描き方を超ロジカルに解説
していくので是非チェックして
みてください。
思いますが是非チェックして
みてください。
目次
夕日の描き方の基本

夕日の描き方の基本をまず初めに
解説しておきます。
夕日を描く場合、
基本的に遠くから絵を見たとき、
このように見える絵を描く訳です。
①が黄色
②がオレンジ
③が青です。
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この3色は私が非常に好きな組み合わせで
古典絵画にもよく使われるものです。
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また、雲一つないよく晴れた日の
夕方に屋外で白いモチーフを見ると
こんな配色になっています。
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ちなみに、良く晴れた日の真昼間だと
強い白い光なので
明るい部分と中間の部分はモチーフの色
暗い部分はやや青いモチーフの色
をしています。
話を戻しましょう。
今回使うこの配色は
デッサンは好きだけど
色がニガテ
そんな人にもオススメなのです。
なぜなら、この配色は最も
光の印象を強調する3色だからです。
モチーフの光を強調したい場合、
もちろん、真っ白から真っ黒まで
使って描くでしょう。
しかし、彩度と色相も
光の表現のアシストができるのです。
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このように今回の配色では
光の色である①と②
陰の色である③
が最大限離れています。
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つまり、明度のコントラストだけでなく
このように色相のコントラストも
利用することで
本当に光が当たっているかのように
描くことが出来るのです。
イラストの世界やCGアニメーションの
世界では、この理論をかなり意識して
描かれた作品も多いです。
私は光と影でモチーフを表現したいから
色を上手く使えない。
そんな方は今回の配色だけでも
マスターすると、表現の幅が
かなり広がると思います。
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正しい夕日の描き方において選ぶ3色目
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夕日の描き方と一口に言っても
③の暗いゾーンの色相を変えると
異なる印象の絵が描けます。
ちなみに今回の下絵は↑のように
雲一つない日の夕方の光の設定ですが
秋の空のような空が真っ赤の
夕暮れ時を描く場合
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このように③の色を赤や赤紫にすると
表現できます。
①が鈍く明るい黄色
②が鮮やかなオレンジであれば
③の色は赤、赤紫、青のどれを
選んでも夕日っぽい印象の絵を描く
ことができます。
夕日の描き方のコツ
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夕日の描き方についてここまで
解説してきましたが
ここでは初心者がやりがちな
失敗とその解決策について
紹介していきます。
白いモチーフで練習すべし
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ここまで解説してきた通り
夕日のような光には色がついています。
そこで、夕日を描く練習をする際は
白いモチーフを選んで描くと良いでしょう。
鮮やかさに注意すべし
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↑の画像をご覧ください。
コチラの画像の問題点がわかるでしょうか?
明るい部分の彩度が高すぎるのです。
すると、夕日が黄色い鳥にあたっている
かのように見えるのです。
↓コチラの表にある通り、明るい部分は
彩度を低くした方が自然になるのです。
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お次は↑の画像をご覧ください。
コチラの画像の問題点がわかるでしょうか?
暗い部分の彩度が低すぎるのです。
すると、カゲの部分が印刷物のように
平板になってしまうのです。
↓コチラの表にある通り、暗い部分は
彩度をやや高くした方が自然になるのです。

情報量に注意すべし
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この色彩理論を使って描く際に
注意すべきなのは、情報量の差です。
明度、彩度、色相の最適な3色を
選んで塗った後、描写を進めていく
わけですが
②のゾーンが最も描写が細かく
その次が③のゾーンが細かく
①のゾーンが最も情報が少ない。
という関係になるようにすべき
なのです。
情報量:②>③>①
となるように調整して描写する
必要があるのです。
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夕日の描き方:Photoshop編
夕日の描き方が見えてきたでしょうか?
ここでは先ほど紹介した
3色の下絵をPhotoshopで作る方法を
動画で解説していきます。
この動画では
①画像を3段階の明るさに分ける
②最適な明度、彩度、色相の3色で
画面を塗り分ける
この流れを解説しています。
これさえマスターしていれば
ここまで紹介したような
↓のような下絵を作ることが出来ます。
是非チェックしてみてください。
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夕日の描き方:メイキング編その1
夕日の描き方について、ここでは
具体的にどんなプロセスで描き進めるのか
解説していきます。
まず初めに白いモチーフの明暗が見やすい
写真を用意します。↓
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↑この写真を↓の表を参照して3色に塗り分けてみましょう。
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白鳥の写真の明るいゾーンを鈍い黄色
中間の明るさのゾーンを鮮やかなオレンジ
暗いゾーンをやや鮮やかな赤に塗っていきます。
この最適な3色で塗り分けられた状態に
早い段階でたどり着くのがポイントです。
①明暗の境界線に注目して形をとる
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モチーフの輪郭線や固有色に囚われず
光と影の境界線に注目して形をとっていく。
②中間の明るさの絵の具を半透明で塗る
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ジェルメディウムが混ざった半透明な
オレンジ色のアクリル絵の具を画面全体に
塗る。
③暗いゾーンの色を塗る
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モチーフの立体感を感じながら暗いゾーンに
やや鮮やかな暗い赤を塗っていく。
④明るいゾーンの色を塗る
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モチーフの質感を感じながら明るいゾーンに
鈍い明るい黄色を塗っていく。
⑤トーンを増やしながら描写

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3色の明度、彩度、色相の関係を守りながら
トーンの幅を増やして描写を進める。

夕日の描き方:メイキング編その2
夕日の描き方をここからはアクリル絵の具
とPhotoshopを使った下絵の両方を使って
解説していきます。
↑動画でも解説しているので是非チェック
してみてください。
この動画で解説した内容をテキストでも
解説しておきました。↓
①トレース

まずはじめに、このように
描くモチーフの線画を用意して
裏を鉛筆で真っ黒に塗ります。
裏を黒く塗った紙を上から
ボールペンでなぞると
このように線を転写することが出来ます。
線画の紙の上をマスキングテープで
止めておくと
線がしっかり転写されているか
確認しながら作業を進められます。
②インプリマトゥーラ
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さて、全ての線が転写できました。
ここから色を塗っていきます。
実際にモチーフを描くときは
いきなり不透明な絵の具で形を
塗り分けるのではなく
中間の明るさよりも若干明るめな
半透明な絵の具で下塗りを
しておくと良いでしょう。
半透明な下塗りをすることで、
形の線が透けて見えます。
また、真っ白な状態から
描き始めるよりも
完成イメージを持ちながら
描き進めやすくなるでしょう。
③暗い色を混色して塗る
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まずは暗めの色から作って
塗っていきましょう。
デッサンの時と同じように、
陰の形を立体感を感じながら
塗っていきます。
④明るい色を混色して塗る
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暗いゾーンを塗り終わったら
明るいゾーンも色を作って
塗っていきましょう。
下塗りの色よりも明るく、
彩度が低い、黄色よりの色を
塗っていきましょう。
さて、この段階で、ある程度
立体感を感じるでしょうか?
立体感を感じなければ、ここまでに
塗った2色の明度、彩度、色相が
間違っている可能性があるので
修正していきます。
最後に最も鮮やかな部分、つまり
中間の明るさのゾーンに鮮やかな
モチーフの色を塗っていきましょう。
この3色で色を塗り分ける
段階が終わったら
このベースを生かして細部を
描き進めていきます。
⑤やや明るめやや鈍めで描き切る
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3色で塗り分けたベース生かして
やや明るめ、やや鈍め
ややピンボケ気味で描き切ります。
色の境界線がぼんやりした仕
上がりになると最高です。
このようにピンボケっぽく
仕上げるコツは
パレット上での混色を
こまめにやることです。
色の境界線を消したい部分を見つけたら
2つの色をパレット上で混ぜて
中間の色を作り、境界線上に
塗ってしまうのです。
かなり手間のかかるやり方ですが、
完成度が上がるので頑張っていきましょう。
⑥黄色から順番にグレーズ
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さて、やや明るめ、鈍め、ピンボケ気味
に描き切る段階がおわったら
ここからは重色のプロセスです。
重色のコツは黄色から順番に
重ねていくことです。
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先ほど紹介した通り、
明るい部分は不透明色で
隠蔽しながら明るくしていき
暗い部分は透明な絵の具を塗り重ねながら
暗くしていきます。
つまり、透明な絵の具を重ねるほど、
その部分は暗く鮮やかになっていくのです。
画面の様子を見ながらジワジワと
暗くしていきたいので、
色味は明るい順に
追加していくと良いのです。
黄色寄りの色から、青紫側の色に
向けて色を重ねていきます。
この色相環は右回りでも左回りでも
どちらでも良いです。
今回は黄色、オレンジ、青
の組み合わせなので
右回りでいきましょう。
また、チューブから出した
絵の具をそのまま塗り重ねると
鮮やかすぎるので、
ジェルメディウムと水を
しっかり混ぜて、
最適な薄さ、粘り気の絵の具を
作って塗り重ねていきます。
⑦オレンジを塗り重ねる
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黄色を塗り終わったので、
オレンジを重ねていきます。
オレンジは中間の明るさなので、
かなり鮮やかです。
明るさと鮮やかさが
ちょうどよくなるまで、
塗り重ねていきます。
⑧青を塗り重ねる
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最後は青です。
青は暗いゾーンの色なので
やや鮮やかになるように塗ります。
オレンジほど鮮やかではないが
黄色のゾーンよりは鮮やかに
なるように塗っていきます。
明るさと鮮やかさが
ちょうどよくなるまで、
塗り重ねていきます。
⑨真っ白と真っ黒の形を塗る
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このように、不透明な絵の具で
立体感を描いてから、
透明な絵の具を重ねていくと
かなり自然な第一印象の絵を
描くことが出来ます。
遠くからみると、かなり自然な
配色になっていると思います。
しかし、このままでは
情報量が少ないです。
そこで情報量を
増やしていきます。
細密描写ですね。
基本的に細密描写で
情報量を増やす方法は
明度の幅を増やすです。
いつまでも、今のような
まったりした調和のあるでは状態では
なかなか情報量は増えていかないので、
この段階で、一回画面上で
最も明るい部分と暗い部分を設定し、
意識的に明度差を作っていきます。
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最初に作ったおおまかな3色の
バランスが崩れていないか
キワのぶつかりがこれで良いか
画面上にある細かい形がこれで良いか
このあたりをチェックして
満足なら完成です。
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