着彩や彩色画の描き方や色の塗り方、練習方法をプロの画家が解説

着彩のコツや色の塗り方がわからない。
ここに何色を塗ったらよいのか?

こんな悩みを抱える方は
絵を描く人にも意外と多いものなんです。

とくに、漫画や人物など形を描くのが
得意な人に多いようです。

形を正確にとったり、明暗でモノを
見るのは得意だけど

彩度や色味のコントロールができない
方はデッサンだけ上手い方は
以外にも多いのです。

これまでは
「絵を飾って楽しみたい」
「絵を観に行きたい」

人むけに記事を書いてみました。

 

前回に引き続き、今日も

「絵を描きたい人」
「画家になりたい人」

に向けた記事を
書いてみようと思います。

 

自己紹介の記事でも書いた通り、
私はなかなか絵が上達せず、
長い絵の修行時代を送りました。

 

 

そんな私が色んな方から教わった
「絵がうまくなる方法」
について、書いてみようと思います。

今日は付きの絵画(着彩)
の描き方について紹介します。

 

目次

着彩のコツや色の塗り方を学ぶための準備

着彩のコツや、色の塗り方について
今回は解説するわけですが

前回の記事で紹介した、モノクロ3色で
画面を分割する
練習が今回も役立ちます。

モノクロで見る意識もやはり大事

着彩のようにカラフルな色で絵を描く
時にも、やはり明度の関係を
正確にとらえて再現するのは
依然として重要なわけです。

「光の形、影の形を写し取る」力が
つくと、

色を使った描き方も上達するんです。

 

一見、デッサンのようなモノクロの
絵画の描き方と色付きの絵画の描き方は
関連がないと思うかもしれません。

 

しかし、前回練習した
「3色で画面を分割する」描き方が
色を塗る時も役に立ちます。

具体的な練習方法に移る前に
そもそも色って何なのか解説します。

色の3要素とは

 

皆さんは色の3要素という言葉を
聞いたことがあるでしょうか?

 

 

 

  色相のイメージ

 

色の3要素とは
明度、彩度、色相のことです。

この科学的な定義が
絵を描くのに役立つのか?

とても役に立つんです。

 

今回はこの3要素を駆使することで、
鮮やかで立体的な絵画
描く方法を紹介します。

 

 

着彩のコツや色の塗り方は色付きの光を意識するとわかる

着彩のコツや色の塗り方がわからない人の多くが

「色を塗ると立体感がなくなっちゃう」
「何色を塗れば良いのか分からない」

そんな悩みを持っています。

 

一般的に絵がうまい人でも、
色の使い方がわからない
という人は意外に多いです。

3色で塗り分ける意識は大切

実は色にもデッサンのような
科学的な理論があるんです。

色はセンスだけで勝負しなきゃ
いけないわけではないんです。

 

前回練習した、3段階の明度で
画面を塗り分ける描き方

これは色彩のまとまりのある
絵を描くのにも役立ちます。

 

前回は完全なモノトーンで
光をとらえましたが、

実際、光には色がついています。

 

私たち人類のの「光」という経験は
大体「太陽光」または「炎」です。

 

そのため、太陽や炎のように

黄色からオレンジに変化する色の光を、
自然な光だと感じます。

(逆にネオンのような人工的な光を
描く場合は、
黄色以外の光の設定が良いです。)

 

着彩のコツ:明るい色は暖色、暗い色は寒色と覚える

 

着彩や色塗りが苦手なデッサンエリートに
是非覚えておいてほしいのが

明るい色は暖色
暗い色派は寒色

この大原則です。

この記事ではこの先結構
複雑な話をしていきますが

迷ったら、この原則さえ
守っていれば自然な色を
選んで塗ることが出来ます。

明るいゾーンには
黄色、オレンジ、赤、黄緑
のような、色相環の上の方にある

温かみを感じる色を塗り

暗いゾーンには
青紫、青、紫、赤紫色
のような色相環の下の方にある

冷たい印象の色を塗る。

たったこれだけを意識する
だけでも、自然な色を
選んで塗ることができます。

これは太陽や炎など
自然界に存在する光源が
どれも暖色系だからです。

 

雲一つない良く晴れた日
オレンジがかった夕日を浴びる
白い船は

明るい部分が黄色よりのオレンジ
暗い部分は空の反射光を受けて
青っぽくなっていますね。↓

 

 

逆にこの大原則を破って

明るいゾーンには

青紫、青、紫、赤紫色
のような色相環の下の方にある

冷たい印象の色を塗る。

暗いゾーンには

黄色、オレンジ、赤、黄緑
のような、色相環の上の方にある

温かみを感じる色を塗る。

こうすると、非常に
不自然で人工的、作為的な
印象の絵になります。

ちょうど、ネオンライトの光に
照らされたような感じですね。

この光の設定で絵の中に
自然な空間を演出するのは
結構難しいので、あまりオススメしません。

 

着彩のコツや色の塗り方がわかると夕日も描ける

色付きの光の場合

今回は黄色からオレンジに変化する
光の代表として「夕日」を上げます。

 

 

この画像は白いカモメに
夕日が当たっているシーンです。

このように白いものを観察すると、
光源の持つ色を確認しやすいです。

 

次にこの夕日の画像をよく見てください。

最も明るいゾーンは鈍い黄色

中間の明るさは鮮やかなオレンジ色

暗いゾーンはやや鮮やかな赤紫っぽいです。

つまり夕日のシーンを色付きで描く時
最初に塗り分ける三色は

 

 

1.明るく、彩度が低い、黄色
2.中間の明るさで、彩度がとても高い、オレンジ
3.暗い、彩度がやや高い、赤紫色

となるわけです。

葉っぱ越しの光の場合

次の例に行きましょう。

緑色の葉っぱに太陽光が当たっています。

よくみると、明るいゾーンは鈍い黄緑っぽく、
暗いゾーンは青っぽい緑をしています。

用意する3色は

 

 

1.明るく、彩度が低い、黄緑色
2.中間の明るさで、彩度がとても高い緑
3.暗い、彩度がやや高い、青みの緑
となります。

黄色い光の太陽光が半透明な緑色の
葉っぱに当たることで、

森の中は黄緑色の光
降り注ぐことになります。

このように劇的な光と色彩を両立する
場面を描く場合

 

1、明るい、低彩度の、黄色に近い色
2、中間の明るさで、高彩度で、1の隣の色相の色
3、暗く、中彩度で、青に近い色

の三色で塗り分けると良いということです。
この理論を使って、いくつか実験してみましょう。

 

色付きの光をイメージで描く方法

こちらの白いカモメを夕日のシーンに連れていくとどうなるでしょう?

前回の記事と同じ要領でやってみましょう。

 

①モチーフ

②モチーフの白黒コピー

③モチーフのモノクロを3色のみで描く

ここから色つきです。

④用意された3段階の明度に低彩度、
高彩度、中彩度の色相の隣り合った3色を塗る。

 

※画像の3の色は背景色として、
便宜的に2と4の間の色を塗りました。

つまり、画像の1,2,4の色が
用意する3色です。

 

着彩のコツや色の塗り方がわかると屋外の風景を描ける

着彩のコツや色の塗り方について、

ここまで夕日の設定で説明してきました。

メルマガ読者の方からこんな質問を
頂きました。

「夕日の設定で描く方法はわかったのですが
朝や昼間の設定の光を描くにはどうすれば
良いのですか?」

ここではこの質問にお答えします。

良く晴れた日の光の場合

上の画像はよく晴れた日の昼間
屋外で撮ったクリーム色の犬の写真ですが

下の画像はその画像を補正したものです。

 

下の画像は犬の暗いゾーンや草木の
暗いゾーンに空色のフィルターがかかっています。

明るいゾーン、中間は犬と草木そのままの色です。

 

朝や昼の光の設定の場合は
 
モチーフの明るい部分と中間の明るさは
モチーフ自体の色で
 
暗い部分はモチーフの色に
青いフィルターをかけたような色でくと
屋外のような印象の絵を描けます。

 

着彩のコツや色の塗り方がわかると実際より鮮やかな絵が描ける

 

着彩のコツや色の塗り方について次は私が実際に
描いた絵画で説明します。

①モチーフ

②モチーフの白黒コピー

③モチーフのモノクロを3色のみで描く

ここから色つきです

④用意された3段階の明度に低彩度、
高彩度、中彩度の色相の隣り合った3色を塗る。

 

⑤固有色(モチーフ自体の色)を足して、
グラデーションを細かくしていく

この絵画は影色(3の色)を
で描いています。

 

 

このように明るい色(1の色)と
中間の明るさの色(2の色)は隣り合った色相

影色(3の色)は1,2の色から
離れた色相の色を使うと
劇的な光を表現できます。

 

またこの絵画の場合、光の3色は

 

1:明るく低彩度の黄色
2:中間、高彩度のオレンジ
3:暗く、中彩度の緑

 

で設定していますが、下の石鹸はでした。

 

モチーフに色がついている場合

こういった場合、色は足し算で求めます。

つまり、赤い石鹸は白黒コピーすると、
暗い色(3の色)です。

そこで、3の色の暗く、中彩度の緑と、
モチーフそれ自体の赤色を足した
色を塗るわけです。

本物の石鹸はとても鮮やかな赤でした。

しかし、絵画の中では、緑の影色との
足し算により、

鈍い赤になっています。

 

この絵画の石鹸の赤色のように
モチーフそれ自体が持っている色を
固有色と言います。

実は固有色も今まで話した理論通り、

明るいゾーンは黄色に近づき、
暗いゾーンは青に近づきます。

 

着彩のコツや色の塗り方がわかると、身近なモチーフもより鮮やかに描ける

 

着彩のコツや色の塗り方がわかると身近なモチーフも
現実以上に鮮やかな状態で自然に描く
ことができるようになります。

赤いモチーフの場合

例えば、真っ赤なリンゴを立体的に描きたければ、

1:明るく、彩度の低いオレンジ
2:中間で、彩度の高い赤
3:暗く、中彩度の赤紫色

の3色で塗り分ければ良いわけです。

この3色を塗り分けてから、より
細かいグラデーションを追っていくと

現実以上に鮮やかで立体感のある
リンゴを描けるわけです。

緑のモチーフの場合

緑色のピーマンの場合はどうでしょうか?

1:明るく、彩度の低い黄緑
2:中間で、彩度の高い緑
3:暗く、中彩度の青緑


の3色で塗り分ければ良いわけです。

この3色を塗り分けてから、より
細かいグラデーションを追っていくと

現実以上に鮮やかで立体感のある
ピーマンを描けるわけです。

 

光の色×モチーフの色で描くことが大切

実際にモチーフを描く場合は光のもつ3色と、
モチーフの固有色の持つ3色の足し算
で描くわけです。

今回はとても複雑な話になってしまいました。

 

 

これは私の思いつきや経験則ではなく
光学的にも正しい理論らしいです。

なので、習得すればより、
リアルな絵を描けるようになります。

 

気になる方はは『カラー&ライト』
読んでみてくださいね

詳しくはコチラ

 

 

着彩のコツのまとめ

着彩のコツはわかったでしょうか?

今回も絵の上達方法、

使いの練習方法について
解説しました。

 

これまで、線描、光とカゲ、色彩と
ステップアップ式で、

絵の描き方を紹介してきました。

今回の色彩の理論が最も複雑だと
思いますが、使えるようになれば
絵が大分上達すると思います。

是非練習してみてくださいね。

それでは今日はこのへんで

絵の上達方法、練習方法その1はコチラ     

絵の上達方法、練習方法その2はコチラ

絵の上達方法、練習方法をまとめた本はコチラ

 

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2018.07.28

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