どうも、黒沼です。
画家になるシリーズは
昨日で終わりました。
読んでくださった皆さん
ありがとうございました!
今回からは、
絵の具や筆、紙やキャンバス
などなど
絵の材料や道具について、プロの画家の
目線でマニアックに語っていきます。
第一回の今日は
そもそも絵の具って
何なのか
絵の具の定義や種類について
書こうと思います。
目次
絵の具の種類と色が出る仕組み
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/acrylic-paints-174638_1920-300x200.jpg?resize=494%2C329)
みなさんは泥団子を作ったことは
ありますか?
私は実は幼い頃、泥団子作りが
大好きでした。
僕の通っていた小学校のでは泥団子を作って、
壁に投げるという遊びがなぜか流行しました。
泥団子を投げつけられた壁は当然、
泥まみれになります。
ところが、翌日になると、
壁はほとんどキレイになっています!
なぜなのか
用務員さんの活躍
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/building-2748841_1920-300x200.jpg?resize=620%2C413)
ではありません。
謎の真相をお話しましょう。
この壁はとても滑らかな壁でした。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/sphere-2536105_1920-300x240.jpg?resize=488%2C390)
滑らかな壁に張り付いた泥は
翌日になると乾燥して砂になります。
私の通う小学校は海のすぐそばだった
こともあり、壁の付近も、
常に海風が吹いていました。
すると、水分を失いパウダー状になった
泥(砂)は壁から
サラサラと剥がれ落ちます。
こんな感じで壁は綺麗になったんですね。
ところで、
絵の具の話はどこへいったのか
ここからが本題です。
泥まみれの壁がキレイになった
仕組みは絵の具の定義を
理解するうえで役立つんです。
それでは、前置きが長くなりましたが、
絵の具の成り立ちについてお話しします。
油絵具、水彩絵の具、
アクリル絵の具などなど、
全ての絵の具は
顔料+媒材(バインダー)+助剤
で出来ています。
それぞれ解説していきましょう。
絵の具材料その1:顔料
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/paint-2634910_1920-300x144.jpg?resize=636%2C305)
色の元になる粉です。
絵の具の名前は、
顔料の名前になっていることが多いです。
顔料は伝統的には土や鉱石、炭、
動物の死骸、変化した金属などから
作られていました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/sand-2634096_1920-300x169.png?resize=545%2C307)
バーントシェンナ、ローアンバー
などは土から出来た顔料です。
バーントシェンナは焼いたシエナの土
ローアンバーは生のウンブリアの土
という意味のネーミングなわけです。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/peach-2720104_1920-300x200.jpg?resize=446%2C297)
ピーチブラック
アイボリーブラックなどは
炭から出来た顔料です。
ピーチブラックは桃の種を焼いた炭ですし、
アイボリーブラックは象牙を焼いた炭です。
インディアンイエローは
牛の膀胱から作られました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/rocks-2491924_1920-300x235.png?resize=300%2C235)
ウルトラマリンは天然の
ラピスラズリという宝石を
砕いて作られていました。
バーミリオンは硫化した水銀ですし、
緑青は酸化した銅です。
(10円玉につき緑のサビですね)
しかし、
土系の顔料は
色の不安定さから
動物の死骸系は動物愛護の観点から
鉱石系の顔料はコストの面から
金属系の顔料は健康被害の面から
工場で化学的な合成で
作られるようになりました。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/professions-2065191_1920-300x300.jpg?resize=371%2C371)
似たような色を、別の安全で
安価な材料でつくっているわけです。
絵の具材料その2:媒材
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/wood-glue-596161_1920-300x200.jpg?resize=501%2C334)
媒材とは糊の成分のことです。
アラビアゴム、リンシードオイル、
膠、ワックスなど様々な種類があります。
この媒材の種類が、そのまま
絵の具の種類となります。
つまり
顔料+アラビアゴム=水彩絵の具
顔料+リンシードオイル
(などの乾性油)=油絵具
顔料+アクリル樹脂
=アクリル絵の具
顔料+膠=日本画絵の具
顔料+ワックス=クレヨン
となるわけです。
媒材の種類によって、絵の具の
描き味が決まるんですね
この媒材(糊の成分)が入っていないと、
乾燥後に絵の具は画面から、剥がれ落ちます。
ちょうど乾燥後壁から剥がれ落ちた
泥団子みたいな感じですね。
絵の具材料その3:助剤
助剤とは、それぞれの絵の具が
それぞれの特徴を最大限引き出せる
ために少々配合されているものです。
水彩絵の具にはチューブの中で
固まってしまわないための保湿剤として
グリセリンが
油絵特有の厚塗り表現のためには
固練りの絵の具が必要です。
そのため、アルミナホワイトなどの
体質顔料が配合されています。
(体質顔料はそれ自体は発色しません)
染料系絵の具と顔料系絵の具の違い
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/ink-2127227_1920-300x200.jpg?resize=437%2C291)
ここまで、
絵の具=顔料+媒材+助剤
というお話しをしてきましたが、
顔料の代わりに染料を使った
絵の具も存在します。
染料は顔料よりも
粒子系が細かく、鮮やか
なのが特徴です。
インクのようなイメージですね。
染料系の絵の具には
プルシャンブルーや
アリザリンレーキなどがあります。
これらの絵の具は
鮮やかでキレイなんですが
不安定な性質を持っています。
どう不安定か?
まず染料系の絵の具は
色褪せしやすいです。
また、染料は先ほど話したように
粒子径が小さく鮮やかです。
このため、上に顔料系の絵の具を
塗り重ねると、
下に塗った染料系の絵の具が染み出す
ということが起こります。
ブリード(泣き)というトラブル
なんですが、こういった理由から、
染料系の絵の具を嫌う作家も多いようです。
専門家用絵の具と園児、中学生用絵の具の違い
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/painting-911804_1920-300x169.jpg?resize=636%2C358)
みなさん幼稚園の頃
クレヨンセットを
小学校、中学校の時には
絵の具セットを図工や美術の時間
に使っていたかと思います。
実はあのクレヨンや絵の具は教育用といって、
画材屋さんで売っている、
専門家用の絵の具とは中身が違います。
教育用の絵の具やクレヨンは
染料を体質顔料で、かさ増しして作った
疑似顔料のようなもので出来ています。
先ほどお話したように、
染料は色褪せしやすいので
教育用の絵の具やクレヨンで
描いた絵は弱いんですね。
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/10/art-2690319_1920-300x200.jpg?resize=501%2C334)
小さい頃描いた絵は、どうしても
色褪せしてしまいやすい
ということなんですね。
また、色の種類が少ない
というのも特徴です。
画材屋で買う専門家用絵の具は
豊富な色数が用意されていますが、
教育用の絵の具セットは最小限なわけです。
そのかわり、教育用絵の具は
専門家用に比べ、
安いのが特徴となっています。
退色が起きるのはウン十年後なので、
教育用の絵の具は
練習用の絵の具としては
最適かもしれませんね。
絵の具には多くの種類があり違いも様々
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2017/09/acrylic-paints-174638_1920-300x200.jpg?resize=540%2C360)
今回は絵の具の成り立ちについて
お話ししました。
色の元である顔料ではなく、糊成分の
媒材の特徴がそのまま絵の具の特徴に
なるんですね。
日本画では岩絵の具という「絵の具」
を膠水で練って使いますが
絵の具=顔料+媒材なので
岩絵の具は絵具ではなく、顔料の1種
といえますね~。
岩絵の具は絵の具ではない
ということですね。
次回からは、水彩絵の具、油絵具、
アクリル絵の具などなど、
それぞれの絵の具の特徴や歴史、
おすすめの画材について書いていきます。
お楽しみに
↓画材や技法についてはコチラ↓
![](https://i0.wp.com/kurohaku.com/wp-content/uploads/2018/06/絵の具と道具-300x176.jpg?resize=725%2C422)