STEP3:オンラインで絵を売る
皆さんが想像する以上にオンラインで
絵を売るのは簡単ではありません。
しかし、成功例はいくつもあるので
不可能ではないでしょう。
STEP1、2で積み上げた経験値を生かした
情報発信を行い、販売に繋げていきます。
オンラインでの宣伝をきっかけに
絵が売れたケースを紹介しつつ、
そのための情報発信方法をSTEP3
では解説していくので、
是非実践してみてくださいね。
それではSTEP3を始めていきましょう。
STEP3でお伝えする内容はこんな感じです。
【悪用厳禁】あなたの信者が増えてしまう5つのストーリー
STEP3の目的はSTEP1,2の経験を生かした
情報発信をオンラインで行い、集客、販売
を行うというものでした。
今回はオンラインでの情報発信を効果的に
行うために身に着けたいマインドセットを
5つのストーリーを通してお伝えしていきます。
どのストーリーも全て私の経験した実話
に基づいているので、役に立つと思います。
展覧会と作品オーダーメイドをやるとわかること
・あなたにとっての売れる絵
「地平線を描いた絵は必ず売れる。」
「花をたくさん生けた絵は必ず売れる。」
「バラを大きく描いた絵は必ず売れる。」
アート市場で活躍する作家に質問してみると、
このように皆ほぼ必ず、
【自分にとっての売れる絵】を
自覚しています。
展覧会での作品販売と作品オーダーメイド
を経験すると、【あなたにとっての売れる絵】
の型が見えてきます。
「このタイプの絵は描けば、すぐに売れるな。」
そんなタイプの絵がそれぞれの画家で
見つかるものなんです。
そして、そんな絵はたくさん描くことになるので、
経験を積むと【あなたにとっての売れる絵】を
狙い撃ちで描けるようになるでしょう。
このような型を3つほど持っていると、制作が
マンネリ化しない上に、バラエティー豊かな
展示空間が作れ、作風の厚みも出てくるので、
画家としてのオンラインでのブランディング
にも役立ちます。
実際、私のTwitterでは、ブログの記事を
シェアする投稿と、売れた絵の投稿を
織り交ぜてbotで自動投稿していますが
この作品画像を見て、メッセージをくれ、
メルマガ登録してくださった方も多いです。
ちなみに、私のメルマガ読者の3分の1は
Twitter経由で登録してくれています。
作品画像は反応やシェアも多いため、
いくつか強い作風を持っていると
有利といえます。
あなたのファンの人柄
展覧会での作品販売と作品オーダーメイド
を経験すると、あなたのファンの人柄が
見えてきます。
あなたの絵を買う人が、どんな年齢層で、
どんな性格で、絵のある暮らしに
何を期待しているのか
これがわかると、より効果的に
投稿内容やデザインなどを検討できます。
人が絵を買う理由
「娘の結婚祝いに小さい絵を
プレゼントしたい。」
「仕事の引退の記念に作る詩集の
詩を題材にした絵を描いてほしい。」
「年老いたペットを絵画という形で
永遠に残したい。」
「思い出のあるバラ園のバラの
絵を描いてほしい。」
「大好きな歌舞伎の演目を
テーマに絵を描いてほしい。」
などなど、絵を買うお客様が絵を欲する
「個別的」、「具体的」な理由が
耳に入ってきます。
そして、これに加え、絵を売り飾って
もらっている写真や、お客様の喜びの声
といった、
実績も手に入れることができます。
基本的に我々個人の画家は大企業のような
信頼と安心、知名度を持っていません。
それらを補償し、お客様に購入の決断を
させるのが、お客様の喜びの声であり、
活動実績の証拠写真なのです。
ここまで、紹介したノウハウを結集すると、
オーダーメイド作品受注ページを
作ることができます。
TwitterやInstagramで
絵のお仕事の依頼はコチラから~
といった文言で受注をとろうとする方が
結構いらっしゃいますが、
これよりも効果的な方法なので、
是非実践してみてくださいね。
ど素人をカリスマに変える魔法
3年間同じクラスなのに話さなかった子
クラスが一度も一緒になったことないのに、
大親友になった部活の友達がいる一方で、
3年間同じクラスだったのに、1度も
話さなかった友達がいる。
同窓会でその子と初めて喋ったら、
すぐに意気投合した。
こんなことって皆さんも経験が
あるかもしれません。
このストーリーが典型的なんですが、
「共通の目的や意志を持った人同士」は
簡単に仲良くなれるようです。
1週間だけ芸能人になった話
「黒沼君の知り合いが絵をみに
来ているよ。急いで戻っておいで。」
百貨店で展示を開いていたある日、
社員食堂で休憩していると、
こんな電話が会場スタッフから来ました。
急いで会場に戻ると、初対面のはずの
相手が親しげにコチラを見ていました。
その方はブログの読者さんでした。
私がブログで日頃書いている内容を
ほぼ全て知っている相手だったので、
初対面にも関わらず、昔からの知り合い
であったかのように
すぐに仲良くなることができました。
3年間同じクラスでも
「何を考えているかわからない」子
がいたのに、
今日初めて会った相手と一瞬で
「志を共有した仲間」になれた!
そんな実感をもてた出来事でした。
このように日常的に情報発信をしていると、
「あなたに興味のある人」だけが
集まってきます。
ノイジーマイノリティ
日本一のチャンネル登録者を誇る
youtuberのはじめしゃちょーの家が
何者かに襲われる
以前そんな事件がありましたね。
この一件の直後、メルマガ読者の方から
こんな質問を頂きました。
オンラインでの集客、PRで不安なことは、
本名や、顔を出し営業するのが怖くて、
未だにチャレンジできていない
ということなんです。
気持ちは本当によくわかるのですが、
情報発信をしていて、
わざわざ噛みついてくるような人は
本当に極わずかです。
そして、そんなノイジーマイノリティは、
いたるところで、いろんな人に
噛みついています。
あなたの情報発信がマズイのではなく、
その噛みついている人が特殊なのです。
日本一のチャンネル登録者を誇る
youtuberなら、そんな特殊な人も
それなりの数、引き寄せてしまう
かもしれませんが
我々は全く気にしなくて
良いと思います。
「営業は足」は今後も有効なのか
予想を裏切るかもしれませんが、
結論から言うと、
「営業は足」は今後もそれなりに
有効だと思います。
実際、私も新幹線で仙台まで行き、
百貨店での展示の営業をしたことがあります。
しかし、力のある情報発信者の
成功例を見ていると、
本を出したこと、テレビに出演したこと、
新聞に載ったこと
など、オフラインでのPRの成功実績を
オンライン上でアピールし、
効果的に集客、販売をしている
というケースがよくみられます。
また、私自身も百貨店で展示を開くと、
数多くのブログ読者が
会場に見に来てくれます。
もちろん、その様子を
会場スタッフも見ています。
オンラインでの影響力はオフライン
での営業にも有利に働きます。
実際、京都の老舗百貨店
との契約の際も
SNSやウェブサイトでの
広報活動に協力してほしい旨の
文言が書かれていました。
保守的であることで有名な
京都の百貨店業界でも、
このように時代に適応した動き
をとっているのを知り、
私は正直驚きました。
なぜ日光で木刀を買ってしまうのか
絵は生活必需品ではないが…
最近、お笑い芸人の
キングコングの西野さんが
絵本作家として大成功したニュースは
皆さんもよく知っているかもしれません。
彼はクラウドファンディングや
オンラインサロンの運営を通して、
莫大な予算と人を動かし、
この事業を成功させました。
彼は書籍の中で
こんなことを言っていました。
「絵本は生活必需品ではないが、
思い出は生活必需品である。」
これは本当に示唆に富んだ言葉です。
我々は修学旅行で日光や京都、奈良
に行くとなぜか木刀を買ってしまいます。
これと同じで、西野さんの絵本の原画展
に行ったお客様は、思い出の品として、
絵本を買うのです。
スペックで物は売れない
一昔前の自動車のCMでは、燃費の良さ、
排気量などのスペックがアピール
されていましたが、
最近はあまりそんなCMは
見かけませんよね。
最近のワンボックスカーのCMでは、
「広々とした車内スペース(スペック)」
のおかげで
「レジャーの道具をたくさん積める
(可能になる出来事)」ので
「子どもと遊ぶ楽しい休日が味わえる
(手に入る良い感情)」
といった構成で車の購入へ誘導しています。
このように、スペックのみを
アピールするのではなく、
スペックのおかげで、
どんな出来事が可能になり、
その結果どんな気持ちになるのか?
といった見せ方でアピールしなければ
車でさえ売れないのです。
私のオーダーメイド作品受注ページ
で言えば
これまでの実績
(画家としてのスペックの保証)のおかげで
あなたは安心して、思い出を絵で残すため
の注文ができ
特別な出来事の記念を祝え、
満足した気持ちになります。
といった内容をアピールしています。
気になるあの娘の話は忘れない
歴史の授業で聞いた「高尚な話」は
すぐに忘れるけど
気になるあの娘の言っていた
「中身のない愚痴」はいつまでも
覚えている。
そんな経験は皆さんにも
あるかもしれません。
あなたが、賞をとっていなくても、
1枚も絵を売ったことがなかったとしても
絵を買う人にとっての
「気になる人」になれば、
あなたはお客様の脳内に
住み続けることができます。
もちろん、良い作品を作り実績を
上げることはとても重要なのですが、
優れた作品を作る優れた
作家を目指すことと
気になる作家を目指すことは
全くの別競技なのです。
オーダーメイド作品の受注は
「お客様のオーダーをくみとった、
世界でたった1枚の絵」であるから、
プライスレスな価値を持っている。
というお話をしましたが、
あなた自身がお客様にとって、
「世界でたった1人のプライスレスな価値」
になれるようなオンラインでの発信を
すれば良いのです。
テレビに出ることを辞めた西野さんに今、
これだけの影響力があるのは、
この極意を心得ていたからでしょう。
毎年百貨店で個展を開く大家の話
完全抽象画なのに売れる
百貨店美術画廊は多くの場合、
小画廊と大画廊といった形で
2つの展示スペースをもっています。
そこで、1週間の内に
2種類の展示を行うのです。
私が小画廊で展示をしていたある時、
隣の大画廊では、ジャクソン・ポロック
のような
抽象画を描く作家の展示をやっていました。
正直、百貨店の客層に
抽象画は向いていません。
展覧会初日
「ひょっとしたら、小画廊の売り上げで
大画廊売り上げに勝てるかも…」
そんなことを考えていました。
しかし、その抽象画が
飛ぶように売れるのです。
・作家がいないのに売れる
・完全抽象画なのに売れる
・大きいのに売れる
これまでの私の経験則と完全に
矛盾する結果に私はかなり混乱しました。
その会期中は自分の展示そっちのけで、
その作家の勝因分析ばかりに頭を使っていました。
展覧会最終日、ようやくカラクリが
見えてきました。
どうやらその作家はこれまでに何年も
その会場で毎年個展を開いてきた
大ベテランで、豊富な顧客リストを
持っていたようなのです。
「あなたの絵だから買いたい。」
そんなお客様が大量にいて、
会場に残っている絵のうち、
一番気に入ったものを買っていく
そんな状況が作れているようでした。
お客様はもちろん、その作品を
気に入って買っているのでしょうが
その作家の作品でなければ、
買わない方もたくさんいるでしょう。
この世界の本質とは
ここまで、かなり商売っ気の強い話
が続きました。
純朴な方が多いアートの世界の方には
露骨すぎる内容もあったかもしれません。
そこで、ここで、私の信念について、
やや抽象度の高い話をします。
放送大学の美術史の授業の話
東京芸大合格を目指し、美大受験予備校
に通っていた浪人生時代、
私は完全に病んでいました。
何が正解なのか全くわからない、
油絵科にいたので、
私の悩みは深まるばかりでした。
何が良い絵なのか全くわからなく
なっていたのです。
そんな私が心の支えとしていたのが、
放送大学の美術史の授業動画でした。
古代ギリシャから現代アートまで、
様々な作品を解説し、
「なぜそれらの作品が名作たりえたのか」
について、
当時の政治的、経済的、思想的な動向に
触れつつ解説をするというものでした。
アート市場の現場にたつ今となっては、
ビジネスや社内政治を考慮して
立ち回るようになりましたが
元々は、あまりそういった現実的な力に
興味のない純朴な学生でした。
そんな私の記憶に残る名言が
その授業動画にはありました。
「優れたアートとは、その時代の
世界の本質をとらえたものである。」
この言葉の意味を解きほぐします。
哲学や思想の世界では、
「本質=目的」と解釈するそうです。
なので、
優れたアート
=その時代の目的をとらえたもの
と言い換えることができるでしょう。
それでは、今の時代の目的
とは何でしょうか?
これには様々な意見があると思います。
情報は自由になりたがっている
我々の生きるこの時代の目的の
一つとして、私が信じているのは
「情報を自由にすることです。」
歴史を通して、特権階級や既得権益は
解体され、世界は「情報へのアクセス」
という側面で平等になっていきました。
「情報へのアクセス」の自由と平等こそ、
今の時代の目的だと私は感じます。
戦での勝利を母国に伝えるために
42.195キロを走って死んだ伝令の話
は有名ですが、
現代なら一瞬で、少しも体力を使わず
情報を発信できますね。
皆が知るべきことを美しい形式で表現する
というのも、
芸術の持つ目的の一つだと私は思います。
巨匠はいつの時代もテクノロジスト
ここまで、優れたアートが共通して持つ
目的や主題について考えました。
それとは別に私が自信をもって
言えることがあります。
それは、
「優れたアーティストはどの時代も
最先端の技術を駆使して表現している」
ということです。
ダヴィンチはイタリアに入ってきたばかりの
油絵の具で制作していましたし、
レンブラントは、当時日本との貿易で初めて
ヨーロッパに入ってきた和紙を使って
版画を作っていました。
現代の芥川賞作家で、出版社への入稿を
パソコンを使わずにやる方は少ないでしょう。
私も彼らに倣い、伝統的な技法を使いつつも、
現代の画家にしか使えない技術を使って
作家活動をしています。
3DCGのソフトで崩れかけの屏風のシルエット
の形をシミュレーションし、
その形に板をカットして、
1000年前のヨーロッパの伝統技法で仕上げる
そんな作品を作り、めでたく日本一の百貨店で
DMに使って頂き、売約を頂きました。
その報告をこのようにオンライン配信する
ところまでが現代を生きる私の「表現」
というわけです。
かなり抽象的な芸術論を展開してきましたが、
私が伝えたかったことをまとめると、
「今の時代は画家でもブログを書くべきである。」
「確かにブログは集客や販売といった
経済的目的を果たすのにも役立つが、
しかし、時流に合った方法で表現する
という芸術的な目的を果たす上でも必須である。」
ということです。
なので、純朴で芸術的理想に燃えるアーティスト
の皆さんも情報発信すべきだと私は思います。