絵が売れる場所の見つけ方
今回は絵が売れる場所の見つけ方や、
絵が売れる場所で展示できるようになる
方法や考え方について紹介していきます。
絵が売れる場所で展示するということ
ルーブル美術館学芸員の話
「ルーブル美術館で展示できる作家は
ルーブル美術館の価値を高めるような
作家だけです。」
「ルーブル美術館で展示したことで
価値が上がるような作家はウチで
展示するのは難しいでしょう。」
これはルーブル美術館の学芸員の
言葉ですが、非常に示唆に富んでいます。
私たちはどうしても、
「絵が売れる場所で展示する
にはどうすれば良いか?」
という風に考えてしまいますが、
「展示会場にどんな価値
をもたらせるのか?」
という視点を忘れてしまいます。
我々が会場にもたらせるのは、
売り上げだけではありません。
話題性や知名度、集客力、好ましいイメージ
を提供することだってできます。
数年前、ニューヨーク近代美術館(MOMA)
がビョークの展覧会を開き話題になりました。
近代芸術の象徴であり権威であった、
MOMAがポップカルチャーの
スターの展覧会を開いたことが
大衆迎合的だという批判を受けたようです。
しかしながら、今はそういう時代なのです。
売り上げのみならず、オンラインも駆使して
多くのお客様を集め、話題になるような
アートイベントを開き、
それをマスメディアで取り上げてもらう。
その上会期中は作家自身が作品解説をして、
会場のお得意様をもてなし、
休日にはアートイベントを開く
ここまでやると、その作家は話題性や知名度、
集客力、好ましいイメージの全てをその会場に
提供することになります。
勿論、売り上げでも貢献しますがね笑
百貨店で展示する方法
「百貨店で展示するのには、
どのくらいの費用がかかりますか?」
そんな質問をメルマガ読者
の方から頂きました。
百貨店美術画廊での展示は貸し画廊
での展示とは違い、
展示料金を払えば展示できる
というわけではないのです。
今回は百貨店美術画廊で
展示する方法などを
成功例も交えて紹介していきます。
百貨店美術画廊で展示をしていると、
絵がかなり売れます。
人目に触れることも多く、
知名度アップ、キャリアアップにも
向きます。
百貨店美術画廊で展示はそんな
魅力的な活動なわけですが、
あまりそこへのルートは
公開されていないようです。
今回は百貨店美術画廊で展示する
方法を、私が知る範囲で
お話ししていきます。
百貨店美術画廊での展示は基本的に
画廊が百貨店に取り扱い作家を
紹介する形で行います。
なので、コマーシャルギャラリーの
取り扱い作家になるのが堅実な
やり方でしょう。
ギャラリーによっては新人賞や公募、
コンクールを行い、
目ぼしい作家を選出する形を
とっている場所もあるので、
そこがねらい目かもしれません。
また、アートフェア東京などの
イベントでは有力な画廊が数多く
出展しています。
もちろん、百貨店美術画廊での
展示枠を持っている画廊も
数多く出展しているでしょう。
自分の作風に合う画廊を見つけ出し、
スタッフに話を聞いてみるのも
良いかもしれません。
貸し口座屋
百貨店美術画廊での展示枠を
持っているのはコマーシャル
ギャラリーだけではないようです。
貸し口座屋という団体がいるらしく
その団体から口座を借りて
百貨店美術画廊での展示を開催する
個人や企業も最近ではいるようです。
最近はSNSなどの発達により、企業が
作家を見つけてアプローチする
のが簡単になりました。
そこで、埋もれている作家をSNSで
見つけてプロデュースし、
百貨店デビューをさせる企業も
増えているようです。
百貨店やデパートで展示する作家の成功例
百貨店美術画廊で活躍する
売れっ子作家を何人も知っていますが、
今回は最も多いパターンの
成功例を紹介します。
①有名な公募やコンペで入選
②コマーシャルギャラリーの
オーナーが入選作家に声をかける
③コマーシャルギャラリーが口座
(展示枠)をもっている百貨店美術画廊
でのグループ展に参加
④グループ展で売れた作家が個展に昇格
といった流れで成功されている
作家が多いです。
ギャラリー巡りのススメ
ギャラリーはピンキリ
「貸しギャラリーの相場を知りたいです。」
こんな質問をよく受けるのですが、
これもまた、「お値段以上」か
どうかが重要です。
展示料金は安いけれど、作家として
の何の足しにもならなかった。
そんな場所で展示しても
仕方がないですよね。
展示を通して作家のレベルを
あげられるような
良いギャラリーの見分け方、
考え方を紹介していきます。
集客と赤札をチェック
良さそうなギャラリーをネットで調べ、
展覧会最終日を狙って実際に
見に行ってみましょう。
展覧会最終日、集客力と豊富な顧客リスト
を持つギャラリーには、
いくつもキャプションに
赤札がついています。
もちろん、その時展示している作家自身の
集客力や作品のレベルによって、
赤札の数も変わりますが、
基本的に「最も絵が良く売れる」相手は、
その会場で過去に絵を買ったことのある方
なのです。
そんなわけで、展覧会最終日の赤札の数は
そのギャラリーの集客力と顧客数の
バロメーターになります。
ギャラリーはセレクトショップ
集客力と顧客数の豊かなギャラリーが
良い会場であることは言うまでもありませんが、
そのギャラリーで展示している作家の作風が、
あなたと合っているのかも重要なポイントです。
貸し画廊の場合、展示料金さえ払えば、
誰でも展示できる場所も多いですが、
そうは行ってもやはり、ギャラリーごとに、
展示される作品の作風に違いがあることは
多いです。
特に企画画廊の場合はこの傾向が顕著で、
さながら、画廊オーナーのセレクトショップ
のようなものです。
リアリズム系の企画画廊には、リアリズム系
の画家が集まっています。
すると、当然リアリズム系の絵を好む顧客を
数多く抱えていることになります。
そんなわけで、自分の作風と似た作品をよく
展示している会場を選ぶことは重要なのです。
展示空間はネットで映えるのか?
「オンラインの空間はリアルの場の
サブスペースだったが、今ではリアルの場が
オンラインの空間のサブスペースである。」
こんな言葉を聞いたことがあります。
ネットで調べて良いと思ったものを実際に、
リアル店舗で確認し、ネットでそれを注文する。
そんな経験が皆さんにもきっとあるでしょう。
こういった意味でも、オンラインで映える画像を
調達できるかどうかは非常に重要なのです。
オンラインでのブランディングや販売方法に
ついては第3章で詳しくご紹介します。
スタッフは本気なのか?
残念ながら、実際の所、ほとんどの
画廊は赤字です。
なぜ、赤字を垂れ流す画廊が
存続しているのかといえば、
他の事業で成功した方や、不労所得を
持っていて利益を上げる必要がない方が
趣味でやっている画廊が多いからなのです。
そんな状況なので、画廊のスタッフの熱意、
本気度次第で売り上げや、集客、今後の展開も
大きく変わってきます。
熱意のある画商さんは、作家がいなくても
絵を売ってくれますし、
抱えている顧客の中から、相性の良い人を
チョイスして、招待状を送ったり、
絵の仕事をとってきたりしてくれます。
ギャラリーストーカーから逃げて作家を
置き去りにしたり、高額な展示料金を
とったあげく、
ほとんど何もせず、
作家に説教をするような
画家の純朴な思いを
踏みにじるような方もいます。
良い画商と出会うためにも、実際に
現場に足を運んで、見極めることが
必要なのです。
グループ展のススメ
作家仲間の見つけ方
「美大を出ていないため、ともに切磋琢磨
できるような作家仲間がいません。」
「絵の販売について相談できる
相手がおらず、悩んでいます。」
こんな悩みを持つ方は本当に多いようです。
確かに美大や、団体に所属していないと
作家仲間を見つけるのは大変かもしれません。
しかし、現代はネットやSNS
の発達した時代です。
SNSを活用すれば、作家の展覧会情報や
在廊日などを簡単に調べることができます。
また、メッセージ機能でダイレクトに
連絡することもできます。
アート関係の方々は本当に善良で
遠慮がちな方が多いので、
こういった機能を使うことに
消極的な方が多いのですが
礼節さえわきまえていれば
遠慮はいらないと思います。
実際私もメッセージ機能で
知り合った作家仲間も多く、
彼らの中には強い精神的な
つながりを持っている方もいます。
展示情報をチェックして、
作家仲間になれそうな方へ
メッセージを送り、
在廊日に会いに行くと良いでしょう。
自分の展示をわざわざ見に来てくれた
相手には誰だって親しみを
感じるものなんですよ。
情報は与えても減らない
作家仲間が増えて得られる
最も大きなメリットは情報の共有です。
私自身、惜しみなく作家仲間に情報を
与えることで、数多くの作家と信頼関係
を築き、
彼らからも多くの情報や意見、
仕事をもらっています。
正直申し上げて、私がここまでこれたのは、
この情報を与えることに誰より神経を
使っていたからだと自負しています。
共有できる情報は、ギャラリーの情報、
売れる絵の傾向、お客様の傾向、成功例、
失敗例などなど無数にあります。
割り勘できる
実際にグループ展を開くと、展示料金
だけでなく、在廊日、DMのデザイン、
印刷、PRなど、
分担できると楽なことがたくさんあります。
作家仲間と効果的に協力することで、
これらの負担を軽減し、よりスムーズに
作家として成長することができるでしょう。
競争力がついたら…
グループ展での経験を積み、
【自分にとっての売れる絵】が見つかり、
作家活動に必要な情報や仲間も増えてきた。
そんな段階になり、【作家としての競争力】が
ついてきたら、2人展や、個展などの少ない人数で
の展示に挑戦してみましょう。
担う仕事や負担、場合によっては責任も
増えますが、グループ展の時以上に
売り上げは伸びます。
職業画家として最終的には年2回の個展を
百貨店で開き、十分な収入を得られる。
そんな状態の強者もいます。
いきなりそんなレベルになるのは
簡単ではありませんが、
少しづつ近づいていくことは
できるでしょう。
「絵が売れる場所」の中の「絵が売れる場所」
絵が売れる展示レイアウト
長らく作家活動をして展覧会経験を積んでいくと、
展示会場の中の【絵が売れる場所】が
見えるようになってきます。
最もわかりやすいのは入り口付近と、
入り口を入って正面の場所です。
やはり、絵を見に来る方は、初めの方は
熱心に見ますが、最後の方になると疲れてきて、
いい加減になります。
なので、真っ先に見られる可能性が
高い場所ほど売れるのです。
展示替えという方違え
良い場所を陣取ったのに全く絵が売れない。
そんな時もあります。
在庫ピラミッドの部分でもお話ししましたが、
絵は一枚一枚で見られるわけではなく、
展示空間全体の中での見え方で判断されます。
なので、似たような絵が隣り合って
展示されていると、印象が薄くなり、
スルーされることもあるのです。
そこで、統一した世界観、作風を持ちつつも、
バリエーション豊富な絵の用意の仕方をして、
似た絵が隣り合わないように
展示すると良いでしょう。
赤い絵、赤い絵、青い絵でなく
赤い絵、青い絵、赤い絵
という展示の方がメリハリが
生まれるのです。
グループ展の場合にもこれは言えます。
モノクロ系の絵の人の展示ブースの隣には、
カラフルな絵の人をといった感じで、
似た作家が続かないようにすべきなのです。
もし、会期中、お客さんは来ているのに
絵が全く売れない場合は以上のポイントに
注意して、
展示の仕方を替えてみるのも良いでしょう。
また、絵を飾る高さは、絵の中心が目線の高さ
よりも少しだけ低くなるように
飾ると良いでしょう。
少しだけ低めに飾ることで、近寄って
細部まで見てもらうことができます。
なぜか絵が売れる場所
展覧会中、絵が飾りきれない場合、
売れた絵を奥にしまい、空いた場所に
新しく絵を飾ることがよくあります。
そして、その絵がすぐまた売れる。
こんな不思議なことも結構あります。
展覧会会場の中には絵がなぜか
すごく映える場所があり、
そこに飾った絵はすぐ売れる
という幸運な不思議現象が
時々起こるのです。
これは予想できるものではないので、
ちょっとした小話程度に
聞いておいてください。