こんにちは!画家の黒沼です。

今回は多くの生徒さんから集まった
「絵画らしさ」「絵画とイラストの違い」
についてのお話をしようと思います。

デザイナー、イラストレーターさんのコンプレックス

このスクールには多くの
イラストレーターさんや
デザイナーさんも参加されていますが、

こんな声を頂きました。

 

私はイラスト系の専門学校卒なので、
イラスト系のギャラリーでの展示は
出来ますが、

美大卒の方々が展示されている画廊や
百貨店での展示は難しいのかなと
思っています。

 

正直申し上げて、イラスト系の出身
だからこうとか、

イラスト系統の作品だから絵画とは違う

といったことはあまり気にしなくても
良いと思います。

 

これは作り手にありがちなことですが、
絵の技法やスタイルで

お客様は購入を決めたり
することはないのです。

 

日本画だから欲しいとか
イラストだから、絵画とは言えないとか

そんなことはお客様にとっては
どうでもよく

「飾りたい」「所有したい」と思う
モノを買うのです。

 

良いと思うものは良い
ただそれだけなのです。

 

また他にもこんなお悩みの声を頂きました。

ここ数年お世話になっている
イラスト系のギャラリーは

出版社の方やデザイナーさん、
同業者のお客さんが多く、

絵の販売が主目的ではないので、
原画を販売しせず展示のみ
される方も居ますし、

販売する場合も絵画より単価は低く
設定されている方が多い気がします。

 

私としては原画を売りたいという
気持ちがあるので、

そのためには展示場所を
シフトしていきたいですが、

学歴や経歴がないと絵画系の画廊では
展示させてもらえないのかなということと、

作品の質やレベルも上げていかないと
難しいのだろうなと思っています。

 

これも過度に気にすることは
ないと思います。

販売を前提にした展覧会において、

作品に価値があるか判断するのは
一人一人のお客様なのです。

 

油絵を売る方法を教えてくださいの話

私はプロの画家としてオウンドメディアや
メルマガを運営しているので、

絵画関係の様々な方々から質問や
相談を受けることがあります。

 

以前、油絵の風景画を数多く、
在庫しているギャラリー方から
こんな質問を頂きました。

「黒沼さんはプロの画家として
活躍されており、油画の出身と
聞いたので質問があります。

油絵を大量に在庫しているギャラリー
なのですが、どのようにすれば、
売れるでしょうか?

油絵の売り方について
アドバイス頂けないでしょうか?」

 

この方へは、私の知る限りの様々な
方法を提案させて頂きましたが、

そもそも、「油絵の売り方」
というものを探し求めていることが

「ちょっとズレているなぁ。」
と思ってしまいました。

 

繰り返しお伝えしていますが、

お客様にとって絵画の技法が
何であるかはさほど
重要ではありません。

 

絵を買うお客様が気にするのは、
大体以下のポイントです。

「飾りたいと思うか」
「自宅のあの場所に飾れるのか」
「この作品はずっとこのままの
状態で楽しめるのか?」

3つ目の疑問を解決するために、
技法の説明をして、

劣化の心配がないことを
お伝えすることはありますが

技法の種類に惚れこんで
絵を買うお客様はほとんどいません。

 

油絵だから買う、イラストだから
買わないなんてことはないのです。

飾りやすい、所有したい と
思えるものが売れていくのです。

 

「絵画らしさ」とは:イラストとの違い

さて、ここまで「売れやすさ」と
「技法の種類」は関係ない。

そんなお話をしてきましたが、

イラストにはなく、絵画にはある
「絵画らしさ」を成り立たせているもの
を紹介していきます。

 

①絵画的な構図

イラストの構図の場合、多くの作品が
「図」が主役です。

図のキャラの部分が重要なので、
多くの場合背景部分には、

さほど目がいかないような
演出になっています。

場合によっては完全に
白紙のこともあるでしょう。

 

これが原因でイラストレーターの方は

「背景部分に何を描けば
良いのかわかりません。」

「背景部分には何色を塗ったほうが
良いですか?」

こんな疑問をもつようです。

 

地の部分と図の部分で意識が
はっきり分かれてしまっているのです。

この悩みはイラストレーターだけでなく、
日本画出身の方にも多いモノです。

日本画は字と図の形のバランスで
構図を考えています。

(あくまでも字と図で意識が
分かれているわけです。)

 

しかし、洋画出身の方は
少し構図に対する意識が違います。

字と図の関係だけではなく

「四角い画面を、いかに
美しく切り分けるか?」

という意識で構図を考えているのです。

 

これが絵画的な構図というものです。

言葉で説明すると、わかりづらいので、
絵画的な構図の考え方を現した
画像を用意しました。

これはフェルメールの作品を
白黒グレーの3段階で表現したものです。

人物の輪郭が部分的に背景と
繋がっている部分にご注目ください。

このように洋画家は構図を
考えるときに明暗の抽象的な形
をまず先に考えるのです。

 

大まかな明暗の3段階を絵画の骨組み
として構築してから、

微妙な色の変化で細部を描写したり、
色を足していくと

白黒グレーの3段階の時のような
ダイナミックな印象を残した、

遠目でも目立つ、お客さんの目を
くぎ付けにするような絵を描けるのです。

 

この絵画的な構図の詳しい説明や、
練習方法は以下の記事にまとめているので、
是非チェックしてみてください↓

絵の練習方法や上達方法を初心者向けにプロの画家が解説

絵画的な構図の練習メニュー

巨匠直伝デッサン理論“3色分割法”

形がとれなきゃ絵は描けないのか?

 

「これ、形狂ってるね~。」

美大受験生時代、私は本当に
絵がヘタクソでした。

 

モチーフの形がなかなか正確に描けず、
描写が進まないことばかりだったのです。

 

特に形の正確さで勝負をする
石膏デッサンは苦手でした。

 

私は本当に形を合わせるのが苦手で

「こんなんで絵をまともに
描けるようになるのかなぁ」

と常に不安な思いをしていました。

 

 

確かに形を合わせる技術は大切です。

この技術の有無が絵の専門家と素人を
分けるといっても過言ではありません。

 

しかし、形がとれなきゃ絵は描けない
なんてことはありません。

画面上で美しい形を描き、自然な
光と影を演出できれば

美しいリアルな絵を描くことができます。

 

今回はヨーロッパの古典絵画の巨匠も
実践していた

明暗のデッサン理論をご紹介します。

名画の作り方

名画を3色に分割してみる

 

美術館などで実物の絵をみると分かりますが、

名画は遠くから見ても、近くで見ても
すごい存在感があります。

 

実はこの「名画のもつ存在感」を身に着ける
秘密の特訓メニューがあります。

今回はこの理論を紹介していきます。

これは様々な時代のヨーロッパの名画ですが、

どの作品も白黒グレーの3色で置き換えても
美しいのです。

 

「絵を上達させたければ、
名画の模写をしろ。」

こんな指導をよく聞きますが、
1から100まで名画をそっくりに
模写していたら、

いくら時間があっても足りませんよね。

 

しかし、名画を3色に
分解したものを模写すると、

名画の持つ白黒グレーのバランス、

美しい形の選び方を
身に着けることができます。

 

遠目にも近目にも耐える
「名画のもつ存在感」

この練習方法であなたも
身に着けることができます。

下絵メイキング動画

ちなみに、今回用意した名画の
3色分割下絵はこのように作っています。

フォトショップを使える人は
実践してみてくださいね。

またフォトショップを持っていない人のために、
何枚かPDFで下絵を用意しました。

こちらも活用してみてください。

https://kurohaku.com/wp-content/uploads/2019/04/フェルメール3色模写.pdf

https://kurohaku.com/wp-content/uploads/2019/04/ドガ 3色模写.pdf

https://kurohaku.com/wp-content/uploads/2019/04/ターナー3色模写.pdf

下絵のトレース方法

練習方法

↑下絵が用意できたら、灰色画用紙、
チャコールペンシル白、黒、練消しを
用意して練習してみましょう。

1、下絵を見ながら、灰色画用紙に
白いチャコールペンシルで明るい形をトレース

2、下絵を見ながら、灰色画用紙に
いチャコールペンシルで暗い形をトレース

3、下絵を見ながら、灰色画用紙に
いチャコールペンシルで暗い面を塗る。

4、下絵を見ながら、灰色画用紙に
いチャコールペンシルで明るい面を塗る。

 

画材紹介

・灰色画用紙
・チャコールペンシル白
・チャコールペンシル黒
・練消し

ゼネラル チャコールペンシル ホワイト
アシーナ
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伊研 ネリゴム Paste Eraser No.30
伊研
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②素材の味を生かす

油絵といえば、ゴッホやレンブラント
のようなゴツゴツとした盛り上げ表現を
イメージする方も多いかもしれません。

これはインパスト(不透明色の厚塗り)
という表現なのですが、

これは数ある油絵ならではの技法の
1つにすぎません。


他にも

スカンブル(不透明の薄塗り)
(↑髪の毛の部分が典型的なスカンブルで、
下地の色が透けています。)


グレーズ(透明色の薄塗り)
(↑闇に溶け込む部分は透明色の薄塗を
何層も重ねて表現されています。)

アラプリマ(下地をいかさず、
はじめから目的の色をのせる)
(↑図像部分はアラプリマですね。)
などの技法があります。

これは、油絵の具に、不透明色、透明色の
2種類があることを生かした技法です。


油絵の具について
詳しくはコチラをご覧ください↓
https://kurohaku.com/2017/10/28/oil-painting/

水彩なら、
濡らした紙に水を多く含んだ
絵の具でにじみを作る

ウェットインウェット

乾いた紙に水を含んだ絵の具で塗る
ドライインウェット
乾いた紙にかさついた筆で水を含まない絵の具を塗る
ドライブラシ
など、素材の特徴を生かした技法があります。

水彩絵の具について詳しくはコチラをご覧ください↓
https://kurohaku.com/2017/10/27/watercolor/
このように、素材の持ち味をいかし、
物質感をあえて、残すことで
存在感のある絵肌を作る

というのも「絵画らしさ」のひとつ
といえます。
印刷されたり、ディスプレイ画面越しで
鑑賞されることを前提とした、

イラストとは異なる価値観
といえるでしょう。

ただうまいに越したことはない

ここまで

お客様にとって技法はどうでもよい
でも、絵画らしい構図や素材の扱い方はある。
そんなお話をしてきました。

しかし、端的に言えば、

うまいに越したことはありません。

イラスト風であろうと、絵画風であろうと、
モチーフらしい形を正確に描く技術や、

細かく描きこむ技術を持った作家は


「所有したい」「簡単にマネできない」
「存在感がある」

と思わせる作品を描くものなのです。


そのため、どんなレベルの画家であっても、

モチーフを正確に細かく描くデッサン力
細かく画面を描きこむ描写力
効果的な構図を選ぶ力
素材をコントロールする基礎的な技術

は制作を通して日々磨いていくべきでしょう。

 

 

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