[西洋美術史]村上隆やダミアン・ハーストなど現代アートの有名作品を解説

どうも黒沼です。

さて、最近は続けて
西洋美術史シリーズを書いています。

 

美大に通う私が美術史の授業、教授の話
本で手に入れた美術史情報をアップして
いくので、チェックしてみてくださいね。

今回は現代アートについて解説します。
西洋美術史シリーズも今回で最後です。

 

現代の音楽とともにお楽しみください。

 

 

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目次

現代アートとは

 

 

現代アートとはおおよそ20世紀初頭以降の
芸術作品の傾向全体を指す用語です。

原語のcontemporary artは同時代アート
と訳すと意味をつかみやすいかもしれません。

 

伝統的、古典的アートではない
我々の生きる時代のアートが
現代アートなんですね。

このため、現代アートは、従来の芸術の概念に
囚われない斬新さを持っています。

 

わかりづらいイメージがあるのは
このためかもしれません。

 

 

現代アートの成り立ち

 

現代アートは一般的にマルセル・デュシャン
をはじめとする反芸術的運動
ルーツとすることが多いです。

マルセル・デュシャンは油絵の具による
制作を早くから放棄し、既存のアートを
強く批判しました。

 

代表作の「泉」は男性用小便器にサインを
施して作品とし、出展したものでした。

 

結局、「泉」は出品を拒否されましたが
一連の事件は結果的に既存のアートの持つ
アカデミズム、権威主義へ疑問を呈する
重要なものとなりました。

「これは作品だけど、これは作品ではない」
という権威主義的、恣意的な判断を
批判したんですね。

この「泉」以降
「何をもってアートとするのか」
「何をもって表現とするのか」など

 

作品の造形性以上に、作品の背後にある
歴史的文脈や概念が重要になります。

このように実在する作品の造形のみならず
背後の文脈や概念が作品を理解するうえで
重要な作品をコンセプチュアルアート
と言います。

 

現代アートの様々な潮流

デュシャンの「泉」をきっかけに
既存の形式に囚われない様々なスタイルの
アートが登場します。

 

従来までのタブロー(壁画などとは異なる
キャンバスに描かれたような持ち運べる絵画)
に加え

 

 

 

立体、映像、インスタレーション(空間全体を
作品とする形式)、パフォーマンス(身体表現を
作品とする形式)などなど
様々な形式のアートが登場します。

 

現代アートにおいては、作品の理解に仕方
のみならず、形式も多様になったことで
従来以上に美術批評の役割が
大きくなりました。

 

 

現代アートのテーマ

前衛って?

これまでの西洋美術史の記事でも繰り返し
紹介してきたように、アートを始めとする
人間の文化は前の時代のルールを
否定しながら展開していくようです。

今あるアートのルールの原型は
フランス革命以後開放された
ルーブル美術館の展示に見られます。

 

 

それまで貴族のコレクションとして
無秩序に並んでいたアートは制作年代や
作家の出身地などを元に「年表整理」
されていきます。

この考えがアートの展示のルールの
原型であったようです。

 

博物館的な発想で
アートを分類したんですね。

当時の美術館に飾られていたのはこのような
作品
ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」

 

 

こんな絵画のイメージをを下敷きにマネは↓
「オランピア」を描きます。

 

 

この絵画は

「ヌードは女神像として描く」
「人体は陰影を施して立体的に精緻に描く」

 

といったそれまでのルールを否定し
時代を前に進めたんですね。
当時は大変名を賛否両論を呼んだようです。

 

 

このように今では「古典」であったり
「名画」として認められた絵画も当時は
スキャンダラスなものであったようです。

この前時代のルールをスキャンダラスな
やり方で壊していく流れは
現代まで続きます。

 

中でも最も決定的にルールを破壊したのが
マルセル・デュシャンを始めとする
ダダイズムであったようです。

 

 

現代アートはわからない?

 

現代アートにおいては実在する
作品の造形のみならず、背後の文脈や概念が
作品を理解するうえで重要で形式も多様です。

このため、作品の理解に要する知識が膨大
かつ広範になり
難解なものになってしまいました。

 

一部の専門家にしか理解できない
あまりに難解で実感に乏しいエリート主義的な
側面が現代アートにはあります。

「現代アートはわからない」という感想は
この行き過ぎた文脈依存性によるようです。

 

現代アートは難解になりすぎた結果
「現代アートはわからない」という状態が
当たり前になってしまいました。

また、1980年代以降、先進国では社会全体で
保守化が進み、「思想」や「知識人」
の影響力が弱まります。

 

経済成長が鈍化し、抽象的で知的な理想論に
ふけっている場合ではなくなった
といった感じでしょうか。

 

これら、アートの難化と思想の影響力低下
に加え、マーケットの影響力の増大の結果

「よくわからない現代アート」だけど
「高額で取引されているアート」だから
価値がある。

 

といった理解が増えてしまいました。

 

 

 

また、カオスラウンジやchim↑pomなど
社会通念上「悪い」けど
「現代アートだから…」

といった理解も増えてしまいました。

 

 

 

日本人がわからないのは無理もない?

現代アートと聞くと多くの日本人は
「現代アートはわからない」
という感想を持つと思います。

しかし、これはある程度仕方がない
ことなんです。

 

既に話した通り、現代アートは
文脈依存度が高いです。

つまり、美術史を始めとする西洋人が
長い歴史を通して培ってきた物語を
共有していなければ理解できない

ということなんですね。

 

現代の日本人が現代アートを鑑賞するのは
ちょうど、外国語の小説の最後の1ページ
だけを読んで、意味を理解するような
ものかもしれません。

 

それでは、なぜ西洋人が長い歴史を通して
培ってきた物語を
未だに日本人は理解できないのでしょうか

これには日本美術の近代化の
特殊性に原因があります。

 

日本は明治維新の時
「西洋に追いつけ、追い越せ」
をスローガンに急速な近代化を目指します。

それまでの日本の持っていた文化とは縁遠い
西洋文化を突貫工事で
とりつけようとしたんですね。

 

かつての日本の親分?の
中国が西洋列強に割譲されるのを見て
黒船の蒸気機関と大砲を見て

「いち早く近代化しないと、やられる。」
と思い、あらゆる西洋文化を無理やり
接ぎ木したわけです。

 

幸い、黒船をよこしたアメリカは
明治維新の頃、南北戦争で対外政策どころ
でなく、日本は侵略されなかったようです。

 

そんな時代、日本に西洋美術の代表として
入ってきたのは当時の前衛の印象派でした。

 

洋画=印象派という多くの日本人が持つ
イメージはこの頃に埋め込まれたのかも
しれません。

 

実際、日本人の好きな画家ランキングには
印象派の画家が多く入っています。

 

この印象派は
「画家が見たままの印象の再現」
を目的としていましたが

これは、従来までの西洋絵画への
反動として登場したものでした。

 

それまでの西洋絵画はキリスト教や
ギリシャ神話、聖書などの教養に基づいて
鑑賞するものでした。

画家のみたままの印象を描いた
印象派の絵画はこのような
教養のない民衆に支持されました。

そしてキリスト教やギリシャ神話、聖書
などの教養に疎い日本人にも
当然支持されました。

 

この歴史的背景は
「アートは感じたままに見て、
感じたままに作れば良い」

という理解が日本でひろまった
原因になっています。

 

このように多くの非西洋人は
アートの物語、文脈に疎い部外者な訳です。

現在世界的に活躍する非西洋人アーティスト
はこの辺りの事情を良く知っているようです。

 

 

日本人の現代アーティストの村上隆
日本のオタクカルチャーを西洋美術の作法を
踏まえ表現しましたし

 

 

中国人の現代アーティスト蔡國強
中国史に所縁の深い火薬(火薬は西洋が
ルネサンスを迎える前の時代の中国で発明
されました)を使い、評価されています。

 

このように非西洋人アーティストで
世界的に評価される作家には西洋的な
アートの作法を踏まえ、自身の
ローカリティーを生かした作品で
勝負する作家が多いようです。

 

 

アートマーケットって?

アートフェアの活況

近代以前美術品は貴族の
独占的コレクションでした。

近代以後20世紀頃までは、アートは
公共の所有物であることが多く
美術館のコレクションでした。

現代においては状況が変わり
個人のコレクターも増えマーケットで
影響力を持っています。

現代アートの本場アメリカでは
クリスティーズサザビーズといった
オークションが古くから賑わって
いましたが

 

最近ではアートフェア東京のような
アートフェアが活況のようです。

 

 

アートツーリズムとは

現代のアートを語る上で外せないのが
地方都市で行われるアートイベントや
芸術祭です。

札幌国際芸術祭、ヨコハマトリエンナーレ、
北アルプス国際芸術祭、Reborn-Art Festival、

種子島宇宙芸術祭、奥能登国際芸術祭、
清流の国ぎふ芸術祭

いちはらアート×ミックス、KYOTOGRAPHIE
京都国際写真祭、中之条ビエンナーレ

六甲ミーツ・アート 芸術散歩
亀山トリエンナーレ
「大地の芸術祭」の里 越後妻有などなど

 

最近だけでもこれだけの数の芸術祭が
開催されています。

 

「西洋絵画といえば印象派」という状態の
日本でなぜこれだけの現代アートイベント
が開かれているのでしょうか

地方都市の自治体が地域振興のために
アートイベントを開き観光業を盛り上げる
というのが裏にはあるようで
この現象はアートツーリズム
呼ばれています。

 

冷戦構造の崩壊以後、対立軸が国家同士から
都市同士に変わりました。

最近ではカタルーニャ州がスペインからの
独立を要求するなど、都市と国家の利害が
一致しなくなってきているようです。

 

アートツーリズムにはこのような
自治体同士の競争という側面も
あるようです。

 

 

アートツーリズムの成功例の一つが
直島です。

直島は世界的にも有名なアートスポットと
なっているようです。

 

 

美術館の現状

アートツーリズムの流行は
日本に限ったことではないようです。

ニューヨークのグッゲンハイム美術館や
ビルバオのグッゲンハイム美術館のように

有名建築家による奇抜な建築で美術館を
観光名所として売り出していくという現象は
世界中で広がっているようです。

 

それまで美術に興味のなかった人も
美術館に来るというメリットはありますが
良いことだけではないようです。

美術館建設前、観光地化する前の
歴史的町並みが破壊され
ブームが過ぎると維持費がのしかかる

といった問題が危惧されています。

 

現世代の利益を優先して
子どもたち世代に歴史ある町の景観を
残さなくて良いのか
という議論があるんですね。

 

このように現在の美術館は
経済成長の鈍化から、商業主義に走っている
と指摘されることも多いようです。

 

 

アートをビジネスに生かす有名企業

アートのコレクションは個人コレクター
のみならず、多くの有名企業が
取り組んでいるようです。

マイクロソフトやドイツ銀行、ダイムラー
など多くの企業はアートを
コレクションしたり、社内に飾っています。

 

アートのある空間での仕事は生産力が上がる
と考えているようです。

従来の企業イメージアップのための財団や
美術館設立にとどまらず

より積極的に身近にアートを楽しむ動きが
企業の間でもあるようです。

 

現代アートの作り方?

現代アートの難解な印象やルールを
うまくとらえた動画があったので紹介します。

 

 

 

現代アートの有名作家

マルセル・デュシャン

ダダイズムの代表的作家。
男性用小便器に架空の芸術家muttのサインを
入れ、作品とした「泉」

 

モナリザの複製にヒゲを描き「L.H.O.O.Q.」
(彼女の尻は熱いという意味)の
猥雑なタイトルをつけ提出した作品など

 

既存のアートの定義に挑戦するような
作品が多いです。

既製品をほぼ加工せずに作品として提出する
レディメイドという形式を生み出した
ことでも有名です。

 

 

ジョン・ケージ

従来の音楽の形式にとらわれない様々な
実験音楽を制作しました。

一向に演奏を始めないオーケストラを前に
ざわつく観客の声を音楽作品とした
「4分33秒」が有名です。

 

 

アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホルはポップアート
代表的作家です。

ウォーホルは大衆社会においては絵画も
消費されるものだとしました。

 

作品制作を自分以外に委託しファクトリー
と名付けたアトリエで
芸術作品を量産することで

 

「素晴らしい芸術作品を一人の芸術家の
天才性が0から生み出す」

というロマン主義以降の芸術家観へ
挑戦しました。

 

 

ナム・ジュン・パイク

 

ナム・ジュン・パイクはビデオ・アート
の先駆者でした。

映像を始めとする、新たなメディアを使った
メディアアートの潮流は
ここから始まりました。

蔡國強

蔡國強は中国の現代アーティストで、火薬
を用いた制作が特徴です。

 

北京オリンピックの開会式では
ビジュアルディレクターとして
花火の作品を発表しました。

火薬を爆破させ、焼け跡を絵画として
発表する作品が有名です。

 

 

バンクシー

バンクシーは世界中のあらゆる壁に
スプレーでラクガキをする
覆面アーティストです。

 

バンクシーのラクガキは社会性のある
示唆に富んだ物も多く、作品として
取引されることから

グラフィティーアート、ストリートアート
として評価されています。

 

バンクシーは本名、生年月日などの一切が
不明でメディアにも登場しない
ミステリアスなアーティストです。

 

 

ダミアン・ハースト

ダミアン・ハーストはイギリスで活躍する
現代アーティストです。

 

サメをホルマリン漬けにした作品や
頭蓋骨を煌びやかにデコレーションした
作品など「死」を感じさせる
作風が特徴です。

 

ダミアン・ハーストはアーティスト
でありながら、政治的な影響力まで持った
人物で世界的に有名なアーティストです。

 

 

日本の現代アーティスト

草間彌生

草間彌生は水玉模様で覆われた空間や
オブジェ、絵画で有名な現代アーティスト
ですが

若い頃はハプニングの女王と呼ばれ
ニューヨークなどを中心に過激な
パフォーマンス作品で評価されました。

 

 

統合失調症による幻覚が制作の源泉と
なっていることでも有名なで作家です。

草間彌生が絵を始めるきっかけに
なったのは

「世界が水玉に侵食される幻覚」
に苦しめられたことのようです。

 

 

鑑賞者に「無限」を感じさせる作風から
60年代には「前衛の女王」と呼ばれました。

この頃、草間彌生はゴムや繊維などで
作ったソフトスクラプチュアを発表します。

ウォーホルなどと並び
ソフトスクラプチュアの時代を築きました。

 

 

赤瀬川原平

赤瀬川原平は日本におけるネオダダ
代表的作家です。

千円札を忠実に模写した作品で訴えられた
千円札裁判」は美術史上に残る
有名な事件でした。

 

村上隆

日本のオタクカルチャーをアートに高め
世界に発信したことで有名な
アーティストです。

ローアート(大衆芸術)と
ハイアート(高尚芸術)の垣根を取り払った
業績は高く評価されています。

 

日本の美術業界、美大の教育制度を
鋭く批判し、独自に若手育成も手掛ける
アーティスト、実業家、教育者を兼ねる
人物です。

 

 

会田誠

エロ、グロ、戦争、社会問題などを
過激なテイストで描く、スキャンダラスな
作品で有名です。

 

過去には美術館で展示した作品が
会期中,過激さゆえ撤去されるといった事件
もあった話題に事欠かない作家です。

実際、2015年には東京都現代美術館から
「檄」という「文部科学省に物申す」
「もっと教師を増やせ」という文言の
記された作品が撤去されています。

 

会田誠は多動性障害(ADHD)に苦しむなか
芸術に出会ったことが制作のきっかけ
になったようです。

 

 

奈良美智

奈良美智は青森出身の画家、彫刻家で
ドイツでの活動を経て、現在は日本で
制作する作家です。

ニューヨーク国際センター賞や
芸術選奨文部科学大臣賞などの賞を受賞した
世界的に評価されたアーティストです。

 

奈良美智の描く、にらみつける少女の絵は
大人や権力者中心の現代日本の社会への
不信を表現しています。

 

 

宮島達男

宮島達男は様々な速度で点滅、変化する
数字を表示するLEDが特徴の作家です。

 

過去に戦争や虐殺で消えた多くの命を
点滅するLEDで表現した「Mega Death」
はヴェネツィア・ビエンナーレで
評価されました。

 

「それは永遠に続く」「それは変化し続け
る」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」

というテーマで制作しており、東洋思想
との近似性を指摘する声もあります。

 

 

現代アートが見れる日本の美術館

青森県立美術館

 

十和田市現代美術館

 

諸橋近代美術館

 

 

水戸芸術館現代美術センター

 

 

東京オペラシティアートギャラリー

 

 

東京都現代美術館

 

 

原美術館

 

 

森美術館

 

 

ワタリウム美術館

 

 

越後妻有里山現代美術館キナーレ

 

 

 

富山県美術館

 

 

金沢21世紀美術館

 

 

軽井沢ニューアートミュージアム

 

 

セゾン現代美術館

 

 

池田20世紀美術館

 

 

 

豊田市美術館

 

 

伊勢現代美術館

 

 

滋賀県立近代美術館

 

 

京都国立近代美術館

 

国立国際美術館

 

 

兵庫県立美術館

 

 

奈義町現代美術館

 

 

広島市現代美術館

 

 

 

徳島県立近代美術館

 

 

地中美術館

 

 

豊島美術館

 

 

ベネッセハウスミュージアム

 

 

丸亀平井美術館

 

 

福岡アジア美術館

 

 

熊本市現代美術館

 
 

まとめ

今回は現代アートを紹介しました。
現代アートの特徴はまとめると

・既存の様々なアートのルールを 破壊しながら展開し今日にいたる ゆえに難解。
・グローバルな資本主義の影響下で 商業主義化しやすい。
・個人コレクターによる所有も多い。

といった感じですね。

 

長く続いた西洋美術史シリーズも今回で
おしまいです。

気になる方は最初の記事から
読んでみてくださいね。

 

それではまた。

 

 

↓西洋美術史についてはコチラ↓

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