[西洋美術史]ミロのヴィーナスやパルテノン神殿など古代ギリシャ美術の有名作品を解説

 

どうも 絵画をたしなむ を運営する画家の黒沼です。

 

 

 

これまで、記事を書いてきて

 

 

 

画家の名前を引用して説明したりすることが結構あり、話が専門的になりすぎる

 

 

 

ということが気になっていたので、これから西洋美術史についての記事を易しく書いていこうと思います。

 

 

 

初心者でも、玄人でも楽しめる記事を目指して頑張って書いていきたいと思います!

 

 

 

今回は古代ギリシャの美術について解説します!

 

 

 

当時の音楽とともにお楽しみください!

 

 

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目次

アルカイック期の美術

 

 

 

 

 

 

古代ギリシャの美術はおおまかに

 

 

 

アルカイック期→クラシック期→ヘレニズム期

 

 

 

の三つに分けられます。

 

 

 

アルカイック期(B.C.700~480)古代エジプト美術の影響を強く受けていました。

 

 

 

そのため、エジプトの墓碑のような大型の正面向きの人物像が数多く作られます。

 

 

 古代エジプトの像

 

 

  アルカイック期のクーロス像

 

 

 

アルカイック期の男性の裸像をクーロス、女性の着衣像をコレ―と呼びます。

 

 

 

 

  コレ―像

 

 

 

 

アルカイック期の彫刻の特徴はアルカイック・スマイル(古拙な微笑み)や、片足を一歩前に踏み出すポーズです。

 

 

 

 

静かなたたずまいの中に自然な生命感を宿らせる というのが目的だったようですが、少しぎこちない感じがしますね。

 

 

 

また、この頃には壺絵も多く登場します。

 

 

古代ギリシャの絵画はほぼ残存していないので、陶芸のみから、当時の絵画表現が想像できます。

 

 

 

 

 

↑黒い地に赤い図の赤絵式

 

 

 

 

 

↑赤い地に黒い図の黒絵式があり、どちらも壺に塗った黒い塗料を引っかき落とす という技法で作られています。

 

 

 

 

クラシック期の美術

 

 

 

 

 

クラシック期(B.C.480~323)に入ると、より自然で、均整のとれた人体彫刻が登場します。

 

 

 

古代ギリシャといえば、美術の他に哲学も有名ですが、ソクラテスプラトンが活躍したのも、この頃です。

 

 

 

「健全な肉体に健全な精神は宿る」という思想が流行していたため、哲学者でも体を鍛える者もいたようです。

 

 

 

なかでもプラトンはレスリングでも有名だったようで、「肩幅の広い男」を意味するプラトンというあだ名で呼ばれたようです。

 

 

 肩幅の広さとイデア論で有名なプラトンさん

 

 

 

 

当時はオリンピックなどがさかんに開かれ、優勝選手には最高の名誉が与えられました。

 

 

 

 

 

 ミュロン作 「円盤投げ」上野にもきましたね

 

 

 

オリンピック選手の鍛えられた肉体はクラシック期の美術の最高のモチーフと考えられ、多くの彫刻が造られました。

 

 

 

クラシック期の彫刻の特徴は片足重心の自然な体の動き コントラポストです。

 

 

 

コントラポストによる自然な人体表現の登場により、彫刻からアルカイックスマイルが消えます。

 

 

 

解剖学的な見地のおかげで、微笑みナシでも自然な人体を表現できるようになったんですね。

 

 

 

因みに、どの時代でも、人体のリアルな表現は解剖学の発展とセットでレベルアップするようです

 

 

 エジプト女王ネフェルティティ像 アマルナ美術の代表例

 

 

 

古代エジプトでは、数多くのミイラが作られた時代には、解剖学が発展し、このようなリアルな人体表現が登場しました。

話を戻します。

 

 

 

クラシック期の彫刻の目的はリアルな、現実にいそうな人間の再現

 

 

 

ではなく、理想的な人体の表現でした。理想的な(現実離れした)プロポーションの像が良しとされたんですね。

 

 プラクシテレス作 ヘルメス像 は石膏像でも有名

 

 

微笑んでいない、静かな表情の理想的なプロポーションの神様の像  がクラシック期らしい彫刻なんですね。

 

 

 

 

 

陶芸では、この頃、赤絵とも、黒絵とも違う白い磁器に顔料で描くものが登場しました。

 

↑はアポロンとお付きのカラスだそうです。カラスはあまりにうるさい鳥だったので、太陽神アポロンに黒焦げに焼かれて黒くなったそうです。

 

 

有名なパルテノン神殿もこの頃の作品

 

 

 

 

 

フェイディアス作 パルテノン神殿

 

 

 

 

 

ヘレニズム期の美術

 

 

 

 ラオコーン

 

 

 

ヘレニズム期(B.C.323~27)に入ると、個人的、人間的な表現が増えていきます。

 

 

 

町でみかけそうな、人間らしい彫刻が多く作られるようになります。

 

 

 

ヘレニズム期はアレキサンダー大王がインドからギリシャにまたがる巨大な帝国を築いた時代でした。

 

 

 

 親父を殺してのしあがったすごい男 アレクサンドロス

 

 

 

 

(ちなみに、アレキサンダー大王の家庭教師は肩幅の広いプラトンの弟子のアリストテレスでした。)

 

 

 

この影響で、それまで力を持っていたポリス(アテネやスパルタなどの都市)が衰えます。

 

 

 

 

それまで、人々はふるさとのローカルルールに従って生きていましたが、ふるさとの枠組みが崩壊し、より個々人がいかに生きるか

を考えさせられるようになります。

 

 

 

この頃流行った哲学のストア派エピクロス派も、「個人の心の平安」を目指したものでした。

 

 

 

 

 

 

 

↑こんな顔でも快楽主義者なエピクロスさん

 

 

 

この頃の美術も、このような当時の「個々人」の価値観を反映し、神中心の理想主義、普遍主義から、人間中心の現実主義、個人主義へかわっていきます。

 

 

 

クラシック期が、誰にとってもありがたい、美しい神の像だったのに対し

ヘレニズム期はより個人が鑑賞して楽しむ、個人的な感情を反映したような激しい彫刻になったんですね。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、有名なミロのヴィーナスはクラシック期とヘレニズム期 両方の特徴を持つ像だそうです。

 

 

 

 

 

↑クラシック的な神様らしい理想的プロポーション+ヘレニズム期的な激しい体のねじれ

 

 

 

まとめ

 

 

 

 

 

今回は古代ギリシャの美術について、当時の思想や政治との関係に触れ、解説しました。

美術室でよく見る、石膏像のオリジナルには、色々な当時の人の思いが反映されているのかもしれませんね。

 

 

 

古代ギリシャの特徴をまとめると

 

・ぎこちない動きと微笑みのアルカイック期

・コントラポストで自然な人体を表現したクラシック期

・激しいねじれ、表情で個々人の内面を表現したヘレニズム期

 

 

という感じですね。

 

次回は古代ローマの美術について解説します。

 

それではまた

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